盛り場放浪記

花街を歩くことが楽しみな会社員による、酒とアートをめぐる冒険奇譚。

蕨ミニ劇場5月中公演に通う

蕨ミニ劇場5月中の香盤が好きで通っている。4月で13周年を迎えたかすみ玲さんと、横浜ロック座5月頭の活躍が懐かしい友坂麗さんの「ダブル・レイ」を観るためだ。

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京浜東北線から見える、駅徒歩3分にあるストリップ劇場。狭い階段を上がればパラダイス。

蕨ミニ劇場は、現存するストリップ劇場のなかで、日本でいちばん小さな小屋。客席数は少ないし、ステージは狭いし、天井は低いし、通路はすれ違いが困難。でもかぶりつき席は踊り子さんから30cmほどの距離で、ステージとの距離感の近さは断トツかもしれない。身長の高いかすみ玲さんはヒールを履かずに素足で踊る。友坂麗さんは動きの幅が大きい演目「B'z」を封印。そのくらいミニな劇場。

5月中は土日スタートで満員・立ち見続出の好発進だったが、月曜はまばらで3回公演。

1.夕樹

天板(天狗マナ板ショー)の名手。ベテランの踊り子さんは、お客との掛け合いが楽しい。男性陣がジャンケンして、勝った人からステージに上がって指と張型で疑似セックス。おねえさんの見事な腰遣いや息遣いが見物。タッチショーもあり、おっぱいを触らせてもらった。「好きに触っていいのヨ!顔以外どこでも触っていいからネ」なんて言ってもらい、恐る恐る指をのばす。夕樹さんの身体はしっとりと柔らかかった。

2.かすみ玲

完璧なボディラインを持つ、業界屈指の美脚ストリッパー。骨格の美しさって生まれもったものが大きいので、整形できない。玲さんは健康的に細く、体幹をしっかり鍛えているのでダンスの安定感がある。細い足首に光るアンクレットがセクシー。脚の指の長さも驚異的。蕨は2個出汁。うっとりするくらい美しいポージングと、凝った衣装と素早い衣装チェンジが見物。ポラタイムの人懐こい応対も嬉しく、くしゃくしゃっと無邪気に笑う顔がたまらなくキュート。ビールを差し入れすると「めっちゃうれしー★」と喜んでもらえる。競馬好きなので、出番中に馬が走ると気になって仕方ないらしい。1、2番に追っかけたい踊り子さんなんだけど、地方巡業も多いので悔しい思いをすることも。関東近辺の時はできる限り行きたい。

3.玉

玉のようなおっぱいとお尻を持つ踊り子さん。浴衣演目良かった。浴衣からのバスタオル1枚という、おじさんたち垂涎の衣装チェンジ。ちょっと昔の歌謡曲使ってくれるのでみんな口ずさむ。オナベッドもエロい。かぶりつきで観ると大迫力。

4.永瀬ゆら

キュートなルックスと身体の柔らかさが魅力。演目「セクシーキャット」好き。アメリカンダイナーの衣装で元気に踊る観客参加型の曲から一転、猫マスクとキャットスーツに身を包む変わりようったら!もはや紐ですらない「糸」パンティーも可愛い。しっかり鍛えられた腹筋とつるつるの身体が可愛い。

5.友坂麗

麗様、蕨でも絶好調。黒髪をかきあげさせたら日本一。「目で殺す」方なので、目が合ったらイチコロ。強い目力はメデューサのよう。ふとした瞬間にウインクしてくれたり、じっと目を見て数秒見つめてくれたり、潤んだ目で雄弁に語る。「もしかして僕・私のこと・・!?」という期待を持ち、惚れてしまう。どの演目もドラマがあり、クオリティが高い。色気のあるタメとキレの良いポージングは天下一品。ポラタイムも丁寧で、ひとりひとりに優しく語りかけてくれる。この次は川崎なので追いかけます。

月曜は恒例のパンティープレゼントのイベントがあり、最終公演後にジャンケン大会。「パンティー欲しいヒト!」という麗さんの呼びかけに会場総立ち。もちろん私も手を挙げる。10人ちょいいるなか、まさかの一発ひとり勝ちをしてしまった。お客さんがたから拍手をいただき、麗さんも「女性にあげるのは初めて(笑)」と笑ってくれた。麗さんに手渡された、黒いレースがついた鮮やかなブルーの生脱ぎパンティー、ほんのり温かかった。思わず「大切に履きます!」と宣言した私。これから麗さん拝見する時は「勝負パンティー」にしようかななんてことを考えています。

自宅が御徒町なので、近い順にシアター上野、浅草ロック座、新宿ニューアート、DX歌舞伎町、ミカド劇場、蕨ミニ劇場、川崎ロック座、渋谷道頓堀劇場、横浜ロック座かな。どこも30分~45分程度で行けるのがありがたい。都心に住む踊り子さんたちは行き帰りの移動も大変だよなぁ、ますます応援しなきゃなぁと思うばかり。

春琴抄コミカライズ作品『ホーキーベカコン』(作:笹倉綾人)を読む

秘め事やスキャンダラスな事件はいつの世も私たちの好奇心を刺激する。秘められた内実を明らかにしようと、不可解な出来事を読み解くためのわかりやすいストーリーをつくることもある。

文学や芸術は、ときに理解しがたいものや不条理なものをつくりだすことができる。回答の存在しない問いを提示し、私たちに混乱や恐怖や疑問をもたらす。理解できないものとは、「ひとの心」。他人の頭のなかを覗き、見たことのない世界が見たい。

前置きはここまで。ここからは本題について。

谷崎潤一郎の小説はストーリーがわかりやすい割に登場人物の心が複雑怪奇で、共感が容易ではない。特に『春琴抄』『痴人の愛』『卍』のような痴情のもつれを描いた作品は、およそ常人には理解しがたいマゾヒズムと過剰なほどの女性賛美にあふれている。中でも一等好奇を刺激するミステリアスな作品が『春琴抄』で、作品から受ける印象や解釈がひとによって異なるように思う。それほど、盲目の三味線奏者「春琴」と彼女に心酔して仕える「佐助」の関係性が異様で、閉鎖的だからである。秘すれば花なり秘せずは花なるべからず――しかし、秘密があれば暴きたくなるのが人間の性。

電撃G’sコミックにて2018年1月号より連載中の漫画作品『ホーキーベカコン』(作:笹倉綾人)は、数々の先人が取り組んできた「春琴抄」を意欲的に解釈し、男女の仄昏い関係や欲望を漫画表現として描くべく、いろいろなチャレンジが見られて面白い。

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絢爛豪華な表紙が目を引く。1巻の装丁と色使いは新潮社版『春琴抄』を彷彿とさせる。
ホーキーベカコン1

ホーキーベカコン1

 
ホーキーベカコン2

ホーキーベカコン2

 

作者の笹倉さんは、これまではライトノベル原作のコミカライズを中心に活動されてきたようだけれど、純文学のコミカライズにも向いていると思う。若い世代が親しみやすい当世風の絵柄なのに、しっかりとした時代考証と精緻な背景画のもとに物語が展開するので、嘘くさくなく、ちぐはぐ感がない。成人向け漫画の経験もあるようなので、適度にお色気描写を入れるサービス精神もある。余談だが笹倉さんがこれまでコミカライズを手がけた『灼眼のシャナ』や『アクセル・ワールド』は私世代(1990年前後の生まれ)で流行した作品なので、そういった有名作品の絵を描いていた方が、『春琴抄』という大作に挑んでいるのはすごいと思う。オタク的には応援したい。

いくつか感想。

①春琴のキャラクター造形はロリータ・コンプレックス垂涎。

春琴抄』は谷崎作品の中でも断トツに映像化・舞台化数が多い。その理由は春琴の類い稀なる美貌と、見た目に反したサディスティックな性格とのギャップが魅力的だからだと思う。だから数多の映画人や演劇人が殊更こだわったのは春琴のキャスティングだろう。(原作でも、春琴に比べると他の登場人物の外見描写はほとんどなく、いかに谷崎が春琴の描写に心血を注いだかがわかる)原作によると、春琴とは下記のような女性らしい。

「当時は婦人の身長が一体に低かったようであるが彼女も身の丈が五尺に充たず顔や手足の道具が非常に小作りで繊細を極めていたという。今日伝わっている春琴女が三十七歳の時の写真というものを見るのに、輪郭の整った瓜実顔に、一つ一つ可愛指で摘つまみ上げたような小柄な今にも消えてなくなりそうな柔らかな目鼻がついている。(中略)朦朧とした写真では大阪の富裕な町家の婦人らしい気品を認められる以外に、うつくしいけれどもこれという個性の閃めきがなく印象の稀薄きはくな感じがする。年恰好も三十七歳といえばそうも見えまた二十七八歳のようにも見えなくはない。」

27歳に見える37歳、うらやましい限り。小説だけを読むと、案外スッキリとした儚げな顔立ちをしていそうだなと思う。当時の美人の条件というのもあると思うが。私がいいなと思う春琴像は、映画『春琴物語』(1954年、制作:大映、監督:伊藤大輔)の京マチ子

春琴物語 [DVD]

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『春琴物語』で春琴を演じる京マチ子。大きな眼と意志の強そうな眉、女性らしい丸顔、しっかりと栄養がいきとどいてそうな豊満な肉体が魅力的な彼女。目をつぶった姿は菩薩のようで、手を合わせたくなるありがたさ。

子ども時代はともかく、成長した後の物語は女性美が見所。京マチ子は『痴人の愛』などでもファム・ファタルを演じていただけれど、彼女ほど谷崎作品にハマる女優はいない。大の男がひざまずきたくなるくらい美しい女性、ぴったり。

対して『ホーキーベカコン』の春琴は、子ども時代と成人後の姿が見分けづらいほどロリータ。成長が止まってしまったのかと思うほど幼い見た目。連載雑誌のカラーもあるのだろうか。

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幼少期の春琴。

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成長した春琴。三十路超え。

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春琴37歳。すごくきれいなんですが、熟女の色っぽさをもう一声ほしい。

見た目がロリータな37歳熟女が超サディスティック!というアンバランスさ萌えも分からなくもないけれど、私は年相応に成熟した大人の女性が放つ匂い立つ官能にそそられる。(今はそうでもないけれど、谷崎時代の37歳って「中年女性」の域で、旬をとっくに過ぎた女性扱いされていそう)しかし笹倉さんの描くロリータ少女は実に可愛らしく、作者のフェティシズムを感じさせる。書いてて気づいたけれど、なるほど、谷崎のフェティシズムに自分のフェティシズムをぶつけたのか。うん、ロリ熟女、需要はあると思う。安達祐実さんとかYUKIさんとか人気だし。私の一押しは百瀬れなさん。超人気ストリッパーです。ぜひ教えてあげたい。

 

②美しくないものを描くかどうか。

笹草さんの漫画は線が細く柔らかく、美しい。春琴のような美しい女性や絢爛豪華な衣装や小道具を描くのにはぴったり。しかし果たして、春琴に欲情する脂ぎった中年オヤジ、醜くただれた春琴の火傷跡のような美しくないものを描けるのか。その点、漫画では苦労していそうな気がする。男性陣もみんなきれいだし。

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どうせならもっとゲスくキモく男性陣を描いてもいいと思う。

「掃き溜めに鶴」じゃないけれど、きれいなものだけを描くより、醜いもののなかで光る美しいものを描くほうが美が際立つように思うし、美と醜は両方あってはじめて成り立つ。きれいはきたない、きたないはきれい、シェイクスピアが言うように美と醜は表裏一体。

その点、敬愛するイラストレーター吉岡里奈さんは進んで汚いオヤジを描く。いつだが、「きれいな女性より汚いオヤジ描くほうが楽しい」と言っていたけれど、何か彼女にそこまでオヤジを描かせるのかはわからない。

rina-yoshioka.jimdo.com

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吉岡ちゃんの描くエエ顔したオヤジたち。

③女性が描く谷崎ワールドは、男性がミステリアス。

谷崎は女性性を崇拝していたきらいがあり、多くの作品でミステリアスな女性と、彼女に追従する男性を描いた。正体のつかめない神秘的な存在として女性を理想化していたのか、そんな女いないよと突っ込みたくなるくらいリアリティがないキャラクターが多い。対して男性像は自分を投影していたのかやたらリアル(しょうもないことでくよくよしたり、プライド高かったり)。

笹倉さんはWikipediaによると女性。今どき性差でどうのこうの言うつもりはないけれど、女性が描く春琴は谷崎ほど神格化されていない気がする。むしろ春琴を取り巻く男性陣(佐助を筆頭にして)のほうがミステリアス。春琴は生身の女性としての欲や汚れや俗っぽさも持つように描かれている。メシも食うし排泄もするし、結構現実的。対して、春琴に人生を捧げる佐助どんの方が、なんでそこまで仕えるのよ~と笑っちゃうくらい一途。佐助の心のうちがまったく読めないあたり、感情むき出しの春琴よりも佐助のほうが怖い。佐助にスポットライトを当てるあたりは、谷崎原作とは異なる解釈ができて面白い。

 

④背景画が上手すぎる。

薬種問屋が並ぶ道修町通りや、春琴の実家の薬問屋「鵙屋」の建築など、舞台美術が作り込まれていて、作品としての深さや力が段違い。笹倉さんって、ここまで描ける作家さんなんだ!?と一番驚いた部分でもあります。可愛い女の子だけならイラストレーターも描けるけれど、話をつくって二次元の紙の上で動かせるのは漫画家だけ。各話の合間のおまけページで建物の見取り図が掲載されていたりして、気合いが入った作品だということがよく分かる。プロに監修頼んでいるのかもしれない。

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漫画作品における背景美術ってすごく重要で、どれだけその世界観にのめり込めるかを左右すると思う。

もしかしたら『ホーキーベカコン』を読んで春琴抄に興味を持って、原作を買い求めるひともいるかもしれないと思った。 春琴抄自体は源氏物語のように国語や古典の受験問題になることはほぼないだろうから、受験漫画としては用途がないんだけど、名作文学に親しみを持つのはいいと思う。谷崎潤一郎ノーベル文学賞受賞候補だったし、若い人にもっと読んでほしい。

江戸川乱歩あたりの文学作品再評価の動きもあるし、『ホーキーベカコン』アニメ化してほしいな~。漫画で唯一残念なのが琴の音色が聞こえないことなので、耽美な映像美と音楽が合わされば、もっと素敵な作品世界が広がると思う。

漫画は次巻でいよいよ最終巻。衝撃のラストをどう描くか、笹倉さんならではの春琴抄を期待しています。

 

ゴールデン・ストリップ・ウィーク

10連休はストリップ観劇に忙しかった。あちらこちらで良い香盤だし、好きな踊り子さんの周年があったので駆け回っていた。なかでも、一番の推しである真白希実さんのステージを、平成最後と令和最初に観られたのがうれしかった。川崎ロック座の4月結では「Spring」と「Jazzy」、横浜ロック座の5月頭では「Spring」と「PLAY」を踊られていた。どんなに言葉を尽くしても語り切れない美しさだった。まっしー最高。「Spring」は観るたびに元気をもらえるのでこれから毎春楽しみです。大好きな「Jazzy」を川崎のキレイな照明で観られたのもよかった。「PLAY」のバトントワリングも素晴らしいですが、何よりも官能的なベッドが至高ですね。セクシーなまっしーにドキドキしてしまいました。

ほか、浅草ロック座の5月公演「EARTH BEAT」でデビューされた君島みおさんのグラマラスボディにも圧倒された(かつて別名義でデビューされましたが名義を変えたので初陣ということになります)。パツンパツンの巨乳に信じられないほど細いウエスト・・マンガみたいなスタイルの方、本当にいるんだ。お顔も超美形。堂々たる出で立ちと思い切りのいいベッドで、デビュー戦とはとても思えないレベルの高さ。これからの活躍が楽しみです。ポラ館に出られたら大変なことになりそうだ。

各所であたたかく接してくださる常連さんがたにも感謝。席を譲っていただいたり、おやついただいたり、周年タオルや小道具貸してくださったり、皆さんにやさしくしていただいています。

5月中からもいろいろ行かねばならないので、頑張って追いかけます。日に日に好きな踊り子さんが増えてしまい、基本は全劇場まわりたいんですが物理的に難しく。厳選してもこんな感じです。好みがバレますね。

~絶対行きたいリスト~

〇5月中:川崎ロック座(星崎琴音、中条彩乃)、蕨ミニ劇場(かすみ玲)、DX東寺(秋月穂乃果)

〇5月結:DX歌舞伎町(桜庭うれあ)、川崎ロック座(鈴香音色、鶴見つばさ)、横浜ロック座(秋月穂乃果)

〇6月頭:川崎ロック座(桜庭うれあ)、横浜ロック座(小向美奈子・周年)、渋谷道頓堀劇場(中谷ののか)

〇6月結:DX歌舞伎町(真白希実ほか)

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浅草ロック座にて、バラをキャッチしたわたくし。

 

アーツ千代田 3331「シド・ミード展」を観る

シド・ミード展 PROGRESSIONS TYO 2019』を観ました。

sydmead.skyfall.me

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11時のオープンに合わせて行ったら、館内の階段はすでに長蛇の列。30分ほど待って入館。平日はそうでもないと思います。

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展示入り口。この写真、若い頃のですよね。今のお姿も見たいなぁ。

SF映画の金字塔『ブレードランナー』(82年)および同シリーズ最新作『ブレードランナー2049』(2017年)、『エイリアン2』(86年)などの多数の大作ハリウッド映画の美術に携わった方として認識していましたが、『∀ガンダム』のモビルスーツのデザインなんかも手掛けていたのですね。そのおかげか、館内は意外と若い人が多かった。でも90%男性。30~40代男性がメイン層って感じ。

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3331はそんなに広くないので、通路が狭め。照明が作品のアクリルに反射して見づらかった。

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やたらとスマートフォンをいじっているお客さんが多いなと思ったら、専用アプリのコンテンツを見ている人が多かった。

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どんなアプリかというと、スマホを通じて特定の作品を見ると、その作品に関するコンテンツが出るのです。これはARが浮き上がるパターン。

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スケッチ段階の作品が見られるパターン。ARのものと同一作品です。

私はシド・ミードの完成作品より、スケッチ段階のエスキースが好きなので、このアプリはありがたかった。美術館や博物館でいろいろアプリがあるけれど、スケッチを見せるのは良い試みだなと思った。

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大型作品のスケッチも。この作品は動画も付いていた。音が流れるので、展示室内では遠慮して消音にしている人も。

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通して見ても、やはり初期の作品に惹かれる。アメリカの雑誌の広告ページに載っていそうな、古き良き時代の雰囲気が好き。

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とは言いつつ、ガンダムコーナーで写真を撮る。

グッズもいろいろ出ていたけれど、目玉は図録かな。連休中に売り切れたらしく、再版してくれという声がネットにあふれているよう。このまま入荷されなかったらオークション転売されそうなので、ぜひ重版してほしいところ。

新緑の季節、三溪園に行く

去年、加藤種男先生の『芸術文化の投資効果 メセナと創造経済』を読んで以来、暖かくなったら三溪園に行こうと決めていた。

芸術文化の投資効果 メセナと創造経済 (文化とまちづくり叢書)

芸術文化の投資効果 メセナと創造経済 (文化とまちづくり叢書)

 

 で、お天気のよさそうな日を選び、連休中に行きました。お天気がよいので、前日泊まっていた寿町から歩いて行きました。だいたい40分くらい。本牧のあたりは久しぶりだったのでお散歩も楽しい。

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青空がきれい。ハマは海の印象が強いけれど、川の景色も好き。

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本牧周辺の商店街がシブい。どこかで朝ご飯を食べようとしたけれど喫茶店すらない。

むかし磯子の方に住んでいたので、三溪園にはよく連れて行かれたらしい。ほとんど覚えていないけれど。初めて行く心持ちで、いざ。

www.sankeien.or.jp

実業家として成功を収め、芸術を愛した原三溪がつくりあげた理想郷、三溪園。面積はなんと175,000㎡。広大な敷地のなかには、京都や鎌倉など歴史的建造物も数多く移築しており、横浜版たてもの園としても楽しめる。いち個人がこれだけの規模の庭園を作り上げたことは驚きに値する。戦後、三溪園横浜市に寄贈され、維持管理も横浜市がしている。(もっとも、維持管理すべき項目が多すぎるので、庭や道の整備なんかは下請けの下請けに出され、最終的に寿町のおじちゃんたちの日雇い仕事になっていたりする、と寿町の飲み屋で聞いた。)

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感想は、どの風景を切り取っても美しいこと。どこから見ても破綻せず、個性ある風景が見られる庭園ってなかなかない。おかげで写真を撮りまくってしまう。季節ごとに楽しめるんだろうな。通う人の気持ち、分かるわぁ。(煙突のことは気にしない)

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初めて全体をまわるならば、春か秋がおすすめ。なぜなら夏は直射日光と暑さで死ぬからです。秋も紅葉シーズンは寒いかも。起伏が激しいので歩きやすいスニーカー推奨。

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展望台を上ると、工業地帯が広がっている。運がいいと富士山が見えます。見えました。

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「旧矢箆原家住宅」は大きな茅葺屋根が印象的な合掌造の建物。気分は岐阜。

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館内、2階で古い民具の展示を行っています。照明も少なく、外から来たうちは目が慣れずに展示に気づかない人もいるけれど、なかなか見応えがあります。

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扇が彫られた欄間も見所。畳や襖もきれいで、大事に手入れされていることが分かります。

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畳があると寝転びたくなります。お行儀悪いですが、ひんやりして気持ちいい。なんだかアラーキー風な激写。

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茅葺きや建築を持たせるため、年末年始以外、囲炉裏には火がくべられている。家の中は煙たいけれど、たまりません。

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三溪記念館では、原三溪に関する資料、三溪自筆の書画、 ゆかりの作家作品や美術工芸品、臨春閣の障壁画などを展示。定期的に展示替えをしているみたい。

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旧燈明寺本堂で、美術保存修復センター横浜による、文化保存修復の紹介(油彩画、掛軸、仏像など)が行われていました。

マップを見ながらうろうろ歩き、2時間半ほどで見学可能施設をコンプリート。きらきらきらめく新緑のなか、一生懸命配置を練られた庭園の道を散策し、命の芽吹きを感じさせる春の植物や、大切に使われ続ける古建築を見た。連休中と言えども混雑でごった返すことはなく(そりゃそうだ、こんなに広いんだし)、むしろヒト気の無い空間のほうが多い。結婚式の前撮りする花嫁・花婿さんとすれ違ったり、和服を着た外国の方が楽しそうに写真を撮っていたり、赤ちゃんを連れたファミリーがベビーカーを押していたり、原さんが生きていたら見せてあげたい、幸せな光景が多かった。時代が変わっても愛されていて、いいなぁ。大事なひとと来たい場所だ。いつかまた来られますようにと三溪園天満宮にお願いしたので、きっとまた行きます。

横浜美術館の次回の企画展が原三渓コレクションなので、原さんにはすぐ会えそうです。またねー。

harasankei2019.exhn.jp

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すべり込み餃子。街中に戻り、餃子の翠葉 本店にて。リーズナブルで量が多い。

 

熊本市現代美術館「大竹伸朗 ビル景」「浦川大志&名もなき実昌二人展」を観て、餃子を食べる

衝撃の「村上隆 バブルラップ」展から早1ヶ月。またまた熊本市現代美術館がやってくれました。大竹伸朗展!いや、ほんと、担当学芸員さんと桜井館長天晴れ。ここ数年、東京や大阪でも観られないレベルの現代美術展が熊本で開催されている。みんなおいでよ熊本!

sakariba.hatenablog.com

さて、「ビル景」展は、大竹伸朗が約40年間にわたって制作し続けてきた「ビル景」シリーズ800点以上、未発表作品から最新作まで展示しちゃう企画展。このあと水戸芸術館に7月13日~10月6日、巡回するそうです。

www.camk.jp

「ビル景」とは、現実の風景をそのまま描いたものではなく、大竹の中に記憶された香港やロンドン、東京といった様々な都市の湿度や、熱、騒音、匂いなどがランダムにミックスされ、「ビル」という形を伴って描き出される仮想の風景。要するに都市や時代の心象風景ですね。

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通町筋から美術館を臨む。今回ののぼりはモノクロでおとなしめ。

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展示入り口は久々に右側から。展示室の使い方、毎回工夫が凝らされていて面白い。

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《bldg.》(1984年)よ、良さ~~!!冒頭のこの作品好きだ。シンプルな構図とは裏腹に、油彩のディテールが凝っていて見応えがある。

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見通しの良い展示。壁に絵画、展示台に資料やスケッチ。たしかに展示数が多くて、美術館の気合いを感じます。

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展示台。ここではあまり観たことのない什器だけど、こんなにたくさん持っていたのですね。国立近代美術館が好みそうな、アクリルを載せただけのシンプルなつくり。

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平日だからか、お客さんは少なめ。村上隆展もそうだったけど。おかげで独り占めできます。

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「日常とビルの窓」シリーズ。イカス。なんでこんなに格好良いんだ。《キカイダー好きの青い女》良い。

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「ボロッボロ」と題されたコーナー。以下抜粋。「『度を超えたボロッボロ』のモノに出会うと反射的に気持ちが反応する」分かる~~!!

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新作《ビル景A》(2019年、和紙・鉄)。これぞ詫び錆び。和紙の質感がたまんない。

これまで大竹さんの作品で一番好きなのは《直島銭湯「I♥湯」》でしたが、「ビル景」格好良いわ。数点ずつしか観たことなかったので、まとめて観て印象変わりました。すごく上手いし計算高いし、題材が好み。絵画の上で勝負できるアーティストなんだね。

熊本でこの展示が始まったの、本当にすごいし、私は熊本って「ビル文化」のある街だと思っている。美術館を出ると、あちらこちらにビルが集まっている。東京みたいににょきにょき高いオフィスビルじゃなくて、居酒屋やスナックやクラブやバーがぎゅうぎゅう入居するテナントビル。熊本の人たち、ビル名で会話したりするし。「今日の飲み会の店どこ?」「蘇州ビル!」「ああ、キャサリンズバーの向かいね」とか。ビルが日常の中で息づいているのが良いなと思う。そういえば「熊本ビル部」という、熊本の建物リサーチを行う素敵な団体の活動も活発だ。

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作品830点を収録し、特製活版画まで付いた画集も販売しています。10,584円とお値段も豪華!でも我々は横浜美術館の「村上隆スーパーフラット」展の図録が10,800円で、しかも発売が遅れまくったことを経験しているので、「よく展示に間に合ったなぁ」と感動しています。

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ギャラリーⅢでは、浦川大志&名もなき実昌 二人展「終わるまで終わらないよ」を開催中。この二人をチョイスした学芸員さんもスゴイ。

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展示の挨拶文を読んで、なるほどと思う。熊本地震を経験した地域だから、平成が終わろうとも復旧・復興が終わるまでは終わらないし、その後も終わることはないんだなぁ。

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今回の展示は、学芸員の佐々木玄太郎さんよりお話があったそう。この二人の作品はかなりエッジが立っている(ウェブから拾ってきた画像を無断使用、暴力描写アリ)ので、公立施設で展示されるとは思わなかった。

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元号「令和」が組み込まれた作品、初めて観たよ。

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ちなみに熊本市現代美術館は無料エリアが多く、市民の憩いの場でもあります。淺井裕介の作品で彩られたキッズスペースで遊べるなんて、熊本は本当すごい。

カフェが4月から閉まっていたので、業者さんでも変わるのかしら。新装オープンが待ち遠しいですよ。
さて、熊本市現代美術館に深々とお辞儀をして、街に戻る。めしにしましょう。美術館出て数秒で酒が飲める熊本、LOVE・・。いつもなら市役所勤めの友人やその辺で働いてる人たちに声かけるんですが、今夜はたまには一人飲み。餃子DAYにしたいからです。

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勢いのある餃子屋「弐ノ弐」。ハッピーアワーは焼き餃子とビールが半額なのです。18時前には市役所の人たちが続々と来店する。

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焼き餃子2人前と生ビール1杯で530円。安すぎて涙が出る。ここの餃子は甘みが強く、卓上に専用タレしかなくアレンジはできない。とりあえず4人前いただきました。

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お次は「扇里」。飲み屋のお土産として人気を誇る。イートインよりテイクアウトのお客さんの方が多いのでは。

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扇里の餃子は小ぶりで扇形。きれいに並べられたカリカリパリパリの餃子を1つ口に含み、冷えたビールで流し込むのが好き。

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コスパの良い居酒屋「アントニオ」で、焼き餃子・水餃子・豚骨餃子。シンプルな焼き餃子は地元民にも評判が良い。あと茹でタンも旨い。

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日本人は餃子好きと言われますが、私は常軌を逸した餃子好きなので、1日2食餃子でもいいし、1食につき30個は食べたい。餃子を食べたい日は、餃子以外のメニューは注文しなくてもいいくらい。ビール餃子餃子ビール餃子餃子餃子。餃子ってなんでこんなに美味しいんだろうね?ちなみに熊本では「ぎょうざの丸岡」もあるけれど営業時間が短いので要注意。

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熊本のシメはやっぱりラーメン。「ライフイズジャーニー」の濃い方「ここから」が本当旨い。人生とはサ、長い旅なんだヨと語りかける一杯が沁みます。

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アレッ何しに熊本来たんだっけ?と言うほど満喫してますが、仕事で阿蘇にも行きました。業務上写真は挙げられないので、「道の駅 あそ望の郷くぎの」に鎮座する「ラブチェア」をご覧ください。みんな熊本においでよ!

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性具です。「究極の全自動ピストンマシーン」と呼ばれ、海外で人気らしい。旧いラブホテルにもたま~にある。マジでなんで阿蘇にあるんだ?

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八丁堀のスペインバル「maru」で食べまくる

良いバルの条件とは「旨くて安い酒と肴」が供されることである。客は、安かろう悪かろうではなく「エッ、この価格でこのクオリティ!?」という感動を求めている。八丁堀には良いバルが多く、「maru」はバルブームの先駆けと言える名店。老舗酒屋の宮田屋が運営。1階はスタンドバー、2階は炭火焼きがメインのビストロ、3階はちょっと良いレストラン。同じビル内で同じ運営会社による飲食店で、シーンによってフロアを使い分けられるというスタイル。

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先月の麻布十番「可不可」の食事会で知り合った揚羽の湊さんと、今夜は2階で呑みましょう。スパークリングワインで乾杯!maruは食事メニューが豊富なので「どうしよ~迷っちゃう~」と可愛いこぶっていたら、「全部頼んじゃえ!好きなだけ食べていいよ!」という神の声。よっしゃ食べよう!

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宮崎県産岩牡蠣。こんなに大きい立派な牡蠣はじめてで、口に入らないよ!なんてカマトトぶらず、一口でペロリ。海のミルクを感じる。上手すぎてこの後お代わりしました。

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季節限定・ホワイトアスパラガスのグリエールチーズソース。筋ばったところは無く、とろける食感。春といえばホワイトアスパラガスですねぇ。

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スペイン産最上級ハモンイベリコ・ホセリートの盛り合わせ。「私、生ハムの原木欲しいんです」と呟くと「あれ可食部少ないぜ?」と答える湊さん。経験豊富な男って素敵。でも原木欲しい。骨は煮出して豚骨スープ作りたい。

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カリフラワーのムースと生ウニのコンソメジュレがけ。キングオブ酒に合う!生ウニのピュルピュルした旨味とカリフラワーのポクポクとした風味がこんなにマッチするとは。

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子羊のロースト。肉が柔らかくジューシー。赤ワインを持て!最後は骨までしゃぶりましょう。

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九条ネギとカラスミのペペロンチーノ。「俺ダイエット中だから・・」という湊さん。ダイエットとは今のところ無縁の私は、炭水化物が友達です。

パスタまで食べたのに、まだちょっとおなかに余裕のある二人は、鴨の串焼きと牛串焼きとブラジリアンソーセージと、あとクレソンとアボカドのサラダを追加オーダー。店員は「よく食べる二人だなぁ」と笑っていた。ちなみにクレソンとアボカドのサラダもべっくら美味かった。ワインはボトル2本分くらい呑んだ。

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デザートは、ココナッツアイスとマスクメロンのスープ仕立てと、ベリーアイスと本日のタルト。ココナッツアイスのサッパリとした甘さが食後にぴったりで、ほとんど独り占めした。

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ワインセラーをバックによく食べた二人。湊さんエエ顔している。

結局4時間以上飲み食いしていたわ。たくさん食べて呑む方との食事は楽しい!ストリップと風俗の話ばかりしていた気がするけど、ありがとうございました。

八丁堀は丸ノ内あたりから来るサラリーマンも多いらしく、こういう良い酒場の多いエリアで勤めたいものです。また呑みましょう。