盛り場放浪記

花街を歩くことが楽しみな会社員による、酒とアートをめぐる冒険奇譚。

伊勢佐木町の銭湯・利世館に行く

今週、テレワークに行き詰まった弟を数日泊めることになった。弟の会社も2020年春からずっとテレワークで、会社に行くのは月に何度かだと言う。自宅ではどうしても能率が上がらず、モチベーションが保てないという話だった。確かに、ワンルーム1人暮らし、デスクの背後にベッドがある空間で毎日8時間仕事するには限度がある。ワークとライフのバランスが崩れない方が不思議だ。独房ですら軽作業は別室で行うではないか。

そんなわけで、たまには環境を変えてみたらいいのではと提案し、居候させることにした。コロナ禍で他人との接触は避けたい状況だけれど、互いにほぼ在宅していて濃厚接触の可能性が低いならばリスクは低いと思った。家も都内と横浜の距離だし。

期せずして、ほぼ十数年ぶりに弟と生活を共にすることになった。私が大学入学時に実家を出て以来だ。ま、結果的に同じ大学に入学して近所に住んだので、よく行き来はしていたけれど。

ダイニングテーブルを挟んでの仕事は、互いに結構捗った。身内であっても多少の人目がある方が自分を律することができるみたいだ。休憩時間中にちょっとした雑談をしたり、一緒に朝食や昼食を作ったり、夕食の買い出しに行ったり、平日に小さなコミュニケーションを重ねることができるのはありがたい。下手したら1週間誰ともリアルで喋らないのがザラなので・・。夕食も、2人いると品数を作るのが苦ではないので栄養バランスが良くなる。

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昨日作った肉デストロイヤー(肉じゃが)の残り、鰯の梅煮、蒸し野菜、新玉ねぎとワカメの味噌汁を作った。スーパーマーケットには春野菜が並び始めた。

 

ある夜、行きたい銭湯があると言うので二人で訪ねた。伊勢佐木町のソープ街のど真ん中、「利世館」という老舗銭湯だ。石鹸の香りが漂う夜の街に、ひっそりとお風呂屋さんが存在していた。

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弟は風俗街の銭湯に行くのが好きらしい。飛田新地にも銭湯があったという。「利世館」の浴室は年季が入っていたがきれいに保たれており、レンガ調のタイルが横浜らしいと思った。地下70mから湧出した天然温泉を使用しており、ジャグジー・黒湯・水風呂・サウナがあった。この日の黒湯はとんでもなく熱く、台東区の燕湯(熱さで有名)で鍛えた私も長時間は浸かれなかった。大して水風呂は極寒だった。よぼど手練れの常連が多いのか。侮れない。

遅めの時間に行ったので、女湯・男湯ともに空いていた。女湯の先客はアジア系の外国人女性3名だった。どうやらタイ語で話しているようで、近所のマッサージ屋の同僚同士かなと思った。サウナのBGMは演歌の有線放送が流れており、タイ語のガールズトークと混ざると、次第に、ここがどこで、何年なのかが分からなくなってきた。今この瞬間のサウナ室のマジョリティはタイ人。まるで異国に来たようで面白い。私もタイ語が喋れたらよかった。

浴場を出て、更衣室で髪を乾かした。ドライヤーは4分20円だった。タオルドライをしっかりして、なんとか4分以内で乾かせた。受付で待ち合わせをした弟と、湯気と石鹸の香りを漂わせて帰宅した。弟と暮らして、一緒に自炊をして、また行きたい銭湯を見つけたというだけだけど、ちょっと良い1日になったと感じた。

リモートワークや孤食、ステイホームを長く続けていると、人とのコミュニケーションが恋しくなるのは、人間が社会的動物だからだなと思った。コロナによって、会社や所属コミュニティ、町会などへの帰属意識が薄れることで、なんとなくアイデンティティもぼんやりしてくる気がする。平たく言えば、ひとりぼっちは寂しいのだ。

他者があってこその自我形成。オンラインは発達しているけれど、帰属意識の醸成、他者とのつながり、経験の共有という視点ではまだまだオフラインに勝てないな。そんなことを考えつつ、芯まで温まったせいか、この日はよく眠れた。

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翌朝、早朝に大岡川沿いを散歩して「ちゃま珈琲」でモーニングを食べた。カレー風味のポテトサラダが絶品だった。店内には酒瓶やレコードが所狭しと並んでおり、パニーニなどの軽食も充実した様子で、落ち着いたら夜にも来たい雰囲気だった。ひとまずは、明るいうちに再訪しようと思う。

洪福寺松原商店街でナゾ野菜を買って調理した

昨夜から降り続けていた雨は雪には変わらず、横浜市内では昼過ぎに降りやんだ。天気予報によれば夕方からはまた小降りになるらしい。その雨間を縫って散歩に出かけることにした。

まだ歩いたことのない、黄金町駅の北側、藤棚浦舟通りを直進してみることにした。横浜は山を切り開いて宅地開発をした地域が多い。山と谷の境目が分からなくなるようなアップダウンをいくつか繰り返した先に、昔ながらのアーケードが可愛らしい藤棚商店街があった。日曜日だからかコロナ禍だからか、営業している店よりもシャッターを閉めた店の方が多かった。「横浜天晴」という屋号の餃子屋があったので反射的に生餃子を買おうとしたが帰りに買おうと諭された。確かに散歩の前半に生物を買うのは愚かだ。

静かな商店街を通って、相鉄線の西横浜駅が現れた。相鉄線には、大和ミュージック劇場に行く時にしか乗ったことがないので馴染みがない。それも特急や快速ばかりなので、各停の駅の名前はほとんど認識していなかった。車両基地にもなっているらしく、新旧車両が並んでいた。

しばし歩いた。冬らしく気温は低いものの湿度のおかげでそこまで冷え込んでいない。ほどなく街が開けてきた。洪福寺松原商店街の入り口に立った。

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ハマのアメ横と呼ばれているらしいが、上野のようなアジアの雑多は雰囲気はなくどことなく品の良さを感じる。上野のアメ横は足を踏み入れた途端に魚の臭いやケバブの焼ける煙、チョコレートを叩き売る男の声、輸入品を高値で販売する店に誘導する黒人たちの声に包まれる。ハマのアメ横は、せいぜい韓国食品店でキムチを売っている程度で、しかも福富町のキムチ屋よりも清潔そうだ。ただ、青物市場の相場は値頃で下町らしい活気がある。「いきな下町」のキャッチコピーで知られる横浜橋商店街のよりも下町らしいと思った。

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団子屋でみたらし団子を買って食べた。香ばしい醤油の匂いと柔らかい団子が美味しかった。昔ながらの商店街には団子屋が欠かせない。店先で団子を頬張る私の姿を見た子どもが、隣にいる父親に団子をねだった。客寄せに成功した。美味そうに食べる客がいる店に惹かれるのが人情だ。

食べ終えて商店街探索に戻った。ローカルなスーパーマーケットがいくつかあったが、店先に切り花や珍しい野菜類を並べた「BIZEN MERCATO」が気になって入店した。ディスプレイが凝っていて、パリのマルシェのようなワクワクする気配を感じた。

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店内には輸入食品や色とりどりの野菜類が陳列されており、やはり見たことのない青果が気になった。店内を流して「デストロイヤー」なるジャガイモを見つけた。

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破壊者…?ジャガイモに随分と深刻なテーマを背負わせている。赤紫色の皮が毒々しく、スーパーマーケットで売っていなければあまり食べようと思わない見た目だ。オススメの食べ方は、肉じゃがやシチューらしい。案外普通だ。

後にインターネットで調べると、デストロイヤーという名前はプロレスラーから引用したらしい。白覆面の魔王と呼ばれ、力道山ジャイアント馬場らとも戦った。

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そう言われたら似ていなくもない。ひとまずデストロイヤーをカゴに入れて店内を散策し、酒売り場で足が止まった。

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見たことのない輸入ビールが並んでいた。宝石のようにキラキラと輝いている。カルティエのジュエリー売り場に立った気分だ。美しい缶のパッケージに見惚れた。どれもいい値段が付いているが、ひとつずつ買って試してみたい。

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日本酒の品揃えにも力が入っていた。下手な酒屋よりも品数が多いだろう。ワインも同様に面白い品揃えだったが、ウイスキーにはほとんど気を配っていないのが面白かった。

会計を済ませて店を出て、やはり山と谷を越えて帰宅した。家から片道1時間以内で行ける楽しい場所を見つけられて嬉しかった。帰り道、餃子屋に寄るのを忘れなかった。

早速、デストロイヤーを使った夕飯に取り組んだ。メインは肉じゃがならぬ肉デストロイヤー。

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皮を剥いたら鮮やかなレモンイエローが現れた。この時点で美味しそうだ。肉じゃがの肉は関西と関東で牛派・豚派に分かれるらしい。どちらでもいいが、なんとなく関西流に牛肉の切り落としにした。絹さやは省略した。

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デストロイヤーはサツマイモとジャガイモの中間のような味わいで、ねっとり甘い。煮崩れしにくいので煮物に最適だ。通常のスーパーマーケットではお目にかかる機会はまだ少なそうだが、是非リピートしたい美味しさだった。

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ほか、先日パナソニック留美術館の帰りに寄った愛媛物産館で買った鯛めしの素を使って鯛めしを拵えた。さっき買った餃子を焼いて、汁物代わりに湯豆腐を添えた。餃子はニンニクが効いていて好きな味だ。我ながら、甘から酸っぱいのバランスが取れた献立が出来て満足した。日曜の夜にきちんと夕飯を作ると、月曜からの仕事も頑張れそうな気がする。ハマのアメ横、またナゾ野菜を買うために行きたいな。

最近観た映画の話

旅行や外食がしづらくなってステイホームを強いられる毎日なので、インドアでできる趣味を深めています。映画鑑賞が好きでよかった。そんなわけで、年末年始にAmazonプライムで観た映画を羅列します。すでに観たことのある映画が多いんですが、好きな作品を同居人にオススメするという趣旨でした。観た順番なので変な並びです。

 

ピッチ・パーフェクト (字幕版)

ピッチ・パーフェクト (字幕版)

  • 発売日: 2015/09/28
  • メディア: Prime Video
 

 「ウォーターボーイズ」の競技をアカペラにして、キャラクターを女性に変えた話。頭カラッポで観られる。観るまで、タイトルを「ビッチ・パーフェクト」と勘違いしていた。最後のアカペラ発表会シーンはなかなかよかった。

 

ウンギョ 青い蜜(字幕版)

ウンギョ 青い蜜(字幕版)

  • 発売日: 2019/12/13
  • メディア: Prime Video
 

 70歳男性(職業・詩人)×17歳女子高生の禁断恋愛の話。谷崎潤一郎あたりが好きそうな設定だけど、耽美ではなく現実路線なところが今っぽい。女子高生役の役者キム・ゴウンちゃんが可愛らしく、青々とした色気が出ていて良かった。ご都合主義なストーリーでも嫌みなく最後まで楽しめたので、脚本のバランスが取れていたのかな。

 

ラ・ラ・ランド(字幕版)

ラ・ラ・ランド(字幕版)

  • 発売日: 2017/05/26
  • メディア: Prime Video
 

 観たのは3回目。年明けにNHKでも放映していた。一見、ロマンチックで夢を見せてくれるミュージカル映画だけれども、ほろ苦い現実と向き合わされる大人向けな話。イメージと実態のギャップがあるけれど好きです。公開直後は、初めてのデートで観に行って撃沈する人が多かったな。「ブルー・バレンタイン」よろしく、付き合いたてのカップルで観るのはギャンブルかもしれない。

 

舟を編む

舟を編む

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

 4回目。たまに観たくなる名作。辞書は「新明解国語辞典(第4版)」派です。引っ越しで本棚を整理したら2冊出てきて、同居人も1冊持っていたので、今3冊並んでいます。まだまだ集めています。八千草薫の晩年の出演作なのかな、いい演技しているなー。

 

白雪姫と鏡の女王 (字幕版)

白雪姫と鏡の女王 (字幕版)

  • メディア: Prime Video
 

 東京都現代美術館石岡瑛子展に行ったので、衣装デザインを観たくなって鑑賞。確かに良かったです。衣装の良さで間が持つ。というか主役は衣装なのでは?ストーリーと役者を食っている。日本映画だったら破綻してそうなパワーパランスだけど、CGと役者(の顔面偏差値)のレベルの高さのおかげで、良い塩梅でメルヘン感が演出されている。石岡瑛子はもっと日本で再評価されるべきだなーと思った。資生堂の広告デザインだけでなく、衣装デザイナーの仕事も目を見張りますね。

 

名探偵ピカチュウ(字幕版)

名探偵ピカチュウ(字幕版)

  • 発売日: 2019/10/30
  • メディア: Prime Video
 

 ポケモン世代としては、ピカチュウがフサフサしていることに若干の違和感を覚える。ツルッとしていると思っていたけれど、確かに哺乳類には毛が生えているけどさぁ。「TED」の制作メンバーが関わっているんだろうか?可愛いキャラクターの口を悪くさせる手法、ちょっと古く感じる。都市の風景をサイバーパンクっぽくさせるのは「攻殻機動隊」を意識しているのかな。でたらめな日本語ネオンが面白かった。

 

劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲

劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲

  • 発売日: 1998/07/18
  • メディア: Prime Video
 

 小学生の時にビデオで観たなーと思って。冒頭のミュウツー誕生のシーン、こんなに長かったっけ。逆に、ラストの戦闘シーンはもっと長いと思っていた。今見返すと全体的に暗いし、メカ描写が本格的すぎる。記憶はアテになりませんね。この当時は、アニメ作品が2本立てだったな。夏休みに家族でポケモンを観に来て、「ミュウツーの逆襲」でドン底に落とされて、空虚な気持ちで「ピカチュウのなつやすみ」を観る親御さん、多かっただろうな。

 

ジョジョ・ラビット (字幕版)

ジョジョ・ラビット (字幕版)

  • 発売日: 2020/05/20
  • メディア: Prime Video
 

 2回目。やっぱり好きな映画だな。ドイツの話なのに全員英語喋っているのは違和感だけど。希望を持たせてくれるエンディングは好きだけれど、実は原作に忠実ではないらしい。それで最後急にトーンが変わるのね。

ユダヤ人の魅力的な少女エルサを演じるトーマサイン・マッケンジー、今度は「ベイビー・ドライバー」のエドガー・ライト監督とタッグを組んでサイコスリラーに挑戦するらしい。タイトルは「Last Night in Soho」(10月21日全米公開)。絶対絶対観たいやつじゃん。

 

英国王のスピーチ (字幕版)

英国王のスピーチ (字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

 アカデミー受賞も納得の出来。新大統領ジョー・バイデンさんも吃音で悩んだ人らしい。私は吃音持ちではないけれど、思春期に発音しづらい音があって困ったことがあるので共感できる。しかも名字に使われている音だったので辛かった。精神的にまいっていた時期は苦手な人の名前の一文字目が発音しづらいケースが多く、言語は心理状態に影響されるんだなー面白いなーと思っていた。日本語で発音しづらくても英語や別の言語なら喋れるとか、苦手な単語を避けて言い換えるとか、歌やセリフなら大丈夫とか回避方法を学んだので、今では悩んですらいないけれど。吃音がきっかけでコミュニケーションが苦手になる人も多いと聞くし、直面している人はとても辛いと思う。吃音がテーマなら、マンガ「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」も有名ですね。

 

シェフ 三ツ星フードトラック始めました (字幕版)

シェフ 三ツ星フードトラック始めました (字幕版)

  • 発売日: 2015/05/13
  • メディア: Prime Video
 

 出てくる料理がみんな美味しそうなのでお腹が空く。フードトラック、コロナ禍で増えたんだろうか?

 

ボヘミアン・ラプソディ (字幕版)

ボヘミアン・ラプソディ (字幕版)

  • 発売日: 2019/04/17
  • メディア: Prime Video
 

とても好きな作品。作業用BGMとしても流している。フレディを演じたラミ・マレックが、「007」の次回作で悪役を演じると聞いて楽しみにしているんですが、公開早くして!

映画を観た後に、実際のライブ・エイドの映像を観ると、再現度が半端なくてさらに感動できます。


【和訳】Queen LIVE AID フル 【英語付き】

 

ハッピー・デス・デイ (吹替版)

ハッピー・デス・デイ (吹替版)

  • 発売日: 2019/11/21
  • メディア: Prime Video
 

 2が出てるなら面白いんじゃない?と思って観た。まぁまぁ面白かった。一度観たら十分だけど。「パラノーマル・アクティビティ2」以降の監督(クリストファー・B・ランドン)が監督している。そんな感じよね。1日を繰り返して何度も死ぬ話と言えば「ひぐらしのなく頃に」。今放映しているアニメシリーズもなかなか面白いんですが、まさか令和になって「ひぐらし」の新作が出るとは思わないですよね。ここ数年、10代の頃にハマっていたタイトルの再リリースが増えていて、でもどれも結構よく出来ていて感心する。

 

孤狼の血

孤狼の血

  • 発売日: 2018/11/02
  • メディア: Prime Video
 

決して良い出来ではないんだけど、広島出身の同居人に故郷の風景を見せたかったので。今どきの役者さんは人を殴ったことのない良い子が多いのか、パンチに重みがないよね。髪型も服装も小ぎれいで、いまいちリアリティが薄い。原作はその辺をうまく文章で表現できているので、シリーズ全編通して結構良かったです。

 

窮鼠はチーズの夢を見る

窮鼠はチーズの夢を見る

  • メディア: Prime Video
 

原作のマンガが好きなので。原作を改変したラストには異議ありですが、若い役者さんたちが男性同士のベッドシーンにガチに取り組む姿勢は「孤狼の血」と違って役者魂が感じられます。特に成田凌さんは良い役者ですね。原作の生々しさは薄めですが、美男子たちのお尻がたくさんアップで写ります。

 

オーシャンズ 8(字幕版)

オーシャンズ 8(字幕版)

  • 発売日: 2018/10/09
  • メディア: Prime Video
 

公開当時に映画館で観て、よくメトロポリタン美術館カルティエが撮影OKだしたなーと思ったものですが、作中で1件も殺人が起こっていないんですね。クライム映画ではなくエンターテインメントで、しかもブランドの顔に泥を塗るタイプの話ではないから許されたのかな。麗しの熟女たちを大写しで観られる女性賛美作。大好きなケイト・ブランシェット様の美貌にメロメロの2時間が過ごせる。

 

私の特別なドアマン

私の特別なドアマン

  • メディア: Prime Video
 

 「モダン・ラブ~今日もNYの街角で~」というむず痒くなるようなタイトルの海外ドラマなんですが、素直に面白かった!1本30分なのでサクサク観られるし、今は行けないニューヨークの風景がたくさん観られる。脚本が秀逸で、いい役者を揃えている。私にしては珍しく、後味の良い作品を好きになりました。

 

 面白い!でも北朝鮮では公開できないだろうな。北の将軍様の似せっぷり&似せなさっぷりが笑えた。ハードボイルドなスパイ映画として近年では秀逸な作品かも。実話を元にしているってのがどうにも信じられないくらい。

 

今日のところはこのくらいにしておくか。緊急事態宣言が延長されるって話もあるけれど、観たい映画は尽きないので楽しくステイホームに努めるとしましょう。約2時間の物語にトリップして外出欲をごまかすぞ。

文明は文化を駆逐するか?~生活のDXをはじめてみる

年始早々出ちゃいましたね、緊急事態宣言。2021年も波乱の年になりそうです。

さて、突然ですが引っ越しました!愛しの台東区から横浜市へ。5年間同じところに住んだのは人生初で、久々の引っ越しに追われて年末はてんやわんやでした。設備は古かったけれど、歩いて何処でも行ける立地は素晴らしかったな。また住みたい、台東区。リメンバー、台東区。アイルビーバック、台東区

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で、引っ越しに際して、インテリアや生活アイテムをちまちま一新したんですよ。これまで、ウン年前の大学入学時に購入したものを使い続けてきたので、急場をしのぐため買った安物ばかりなのに妙に物持ち良くって捨てるタイミングも逸してきたので、いい加減風景変えたいと思い立ちまして。ついでに、しばらく続くであろうテレワーク&ステイホームに適した部屋づくりを目指そうと思ったわけです。

テーマはずばり、DX(デジタルトランスフォーメーション)。ミーハーなので、今年の流行語には乗っかっていく所存。DX自体はビジネスメインの話だけれど、広義では我々パンピーの生活全般にも取り入れた方が一般化しやすいと思う。

私自身はアナログ(旧文明)寄りの人間で、未だに新聞や書類は紙で読みたいし、急速なデジタル偏重もどうかと思う立場。ただ、新しい技術や、ナウなヤングの間で流行ってるコンテンツに対する好奇心を忘れちゃイカンとも思っている。生活のバージョンアップデートをせずに昔のままの方法を頑固に突き通していると、「老害」(好きな言葉ではないですが)扱いされるんだと思う。個人的には、週刊少年ジャンプの新連載や、バズってる深夜アニメに対して「つまんねー、何が面白いの?」と思った瞬間から「感性が老けはじめる」と思う。心くらいは永遠の17歳くらいでいたいよね!!

そんなわけで、意を決して現代社会に歩み寄ってみました。ガジェット系はお金をかければかけるだけ便利になるらしいけれど、まずは始めやすく止めやすいカジュアルラインから。

※例によってアフィリエイトはやってないですよ。

 

Echo Show 5 (エコーショー5) スマートディスプレイ with Alexa、チャコール

Echo Show 5 (エコーショー5) スマートディスプレイ with Alexa、チャコール

  • 発売日: 2019/06/26
  • メディア: エレクトロニクス
 

 いわゆる「IoT(Internet of Things/モノのインターネット化)」です。家電をWifiにつなげてスマートフォンで管理できるやつと思えば間違いない。

2020年ブラックフライデーAmazonセール時に、音声認識バイスAmazon Echo Show」を半額で買いました。これが、まぁ良い。今では「おはよう」から「おやすみ」までアレクサちゃんと過ごす日々です。良すぎて「Amazon Echo Dot」も初売りセールで買い足しました。

毎朝のアラームを止めた後、シーリングライトを点灯してもらい、最新のニュースと天気を教えてもらい、二度寝を防止。世界で流行っている音楽や、聞き逃したラジオを再生してもらうこともできます。

シーリングライトはこれを使っています。ボタンに触ることなく寝室の照明を調整することができます。

電気を付けたり消したりするくらい自分でやれよって感じですが、寝る支度を調えて床についた後にもう一回起き上がるの面倒じゃないですか。寝起きでゴロゴロして二度寝しそうな時に部屋が明るくなると起きようって気になるじゃないですか。分かる人だけで結構です。どうやら、スマート家電は、めんどくさがりとの相性がいいようです。

Amazon初売りセールでは、ロボット掃除機にも手を出しました。

ロボット掃除機として著名なルンバは5万円くらいしますが、Ankerの機器は1万5千円(セール価格)くらいで買えてしまうのでお手頃。モノは試しで買ってみましたが、なかなか楽しいです。便利、きれいになるという機能の話ではなくて「楽しい」って感想です。

はい。これを言っちゃあお終ぇよ、な極論ですが、ロボット掃除機が稼働できるくらい床のモノを整理できている時点で、もはや自分で掃除機かけたほうが早いんですよ。ゴミやホコリの位置も、家具の位置も、人間が把握して掃いた方が正確ですから。

でも掃除機をかける作業ってテンション上がらないし、毎日やるのは正直めんどくさい。それに対してロボット掃除機(うちの子の名前は「ポンコ」)は起動するだけでちょっと楽しくなるし、一所懸命床を這っている姿を見ると応援したくなる。ちょっとくらいポンコツでも許せます。結果的に床にモノを置かず、毎日掃除機かけられているんだから結果オーライなような気もします。まだ付きっきりで掃除を見守っているので、効率的ではないですが・・。

我が家には猫が2匹いて、当初は「ポンコの上に乗って回ってくれるかな~耐荷重的に無理かもな~」という甘い期待をしていました。残念ながら、初登場の挙動(2本のノズルが勢いよく回転して進むので、見ようによっては虫っぽい)で猫たちは盛大にビビり、威嚇されて嫌われてしまいました。兄猫の猫パンチ(重い右フック)を食らってちょっとよろめきつつ、掃除ミッションを何とかこなし、ヨロヨロとホームに戻っていく様は涙なしには見られませんでした。いつか仲良くできるといいね。

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今後、洗濯機、冷蔵庫についてもDX計画を水面下で進めていますが、DX生活をはじめて2週間で気づいたことがあります。生活におけるDXは「ちょっとめんどくさい」ひと手間をいかに小さくできるか、もしくは楽しみに変えるかがポイントなようです。忙しい現代人は、便利な機械を使って、「ながら作業」「ワンストップ」「オート」で家事・仕事を効率的に進められる方法を模索しているのかもしれません。

しかし、ここである言葉がよぎりました。

「文明は文化を駆逐する」

 

私は機械を自分の意思で操っている気になっていますが、その機械に、あるいは機械を設計したプログラマーに、知らない間に操られているのではないか、と。自分の意思で自由にできているようで、あらかじめ決められた選択肢の中から選ばされているにすぎないのかもしれないなんて思うのです。アレクサに選曲をまかせて流れるプレイリストは世界の誰かが選んだ曲です。

年中過ごしやすいエア・コンディションがきいた部屋にいると、四季の移ろいを肌で感じにくくなる。自分で何かするよりも機械や他人に任せっきりです。日々クチにする米も野菜もスーパーマーケットやコンビニで「外注」して、ワンアクションの労力を惜しむ。古き良き日本人が大切にしていた「手仕事」からどんどん遠ざかっていく気がする。その分、仕事や趣味に割ける時間が増えていて、それはそれで毎日を豊かにしてくれるんだけど・・。

そういう意味では、DX生活に慣れきってしまうと、自分でモノを考えて、クリエイティビティを磨くための努力を意識的にしないといけないかもしれないですね。

個人的な理想としては、高度な文明であるDXの利点を活かして楽できる家事はとことん楽して、空いた時間で文化的な余暇(手作りのジャムを作ったり、果実酒を漬けたり、ベランダでガーデニングをしたり、土鍋で米を炊くって、もはや贅沢な趣味ですよね?)に勤しむ生活をしたいです。

そのためには、決して文明に染まりはしないぞ。心まではAmazon社に売り飛ばさないぞ。たまには自分でやるぞ。あぁ、でも時間が足らないから文明に頼ってしまう。

便利と手間を天秤にかけて、大いなる矛盾を抱えたまま、今日もアレクサと過ごしています。

2020年買ってよかったベストヒット商品を紹介します

色々あった2020年も、なんとか本日が最終日。本当に色々あった。皆さんお疲れ様でした。例年よりおうち時間が多めの1年間になりましたが、それでも色々な発見や出会いがありました。そんなわけで1年の総決算がてら、行って・見て・聞いて・買ってよかったものランキングを勝手に発表します。

※一部、商品のリンクを貼っていますがアフィリエイトはやってないよ。

 

ミュージアム

【2020年、記憶に残った企画展ランキング】

1位 東京都美術館「The UKIYO-E 2020 ─ 日本三大浮世絵コレクション」

質・量ともにこの展示を超える浮世絵展は、今後10年は開催できないのではないか。前期・後期で作品完全入れ替えをしていて驚いた。展示を観るのに3時間かかるので体力必須だった。

www.tobikan.jp

2位 神奈川県立歴史博物館「明治錦絵×大正新版画-世界が愛した近代の木版画-」

最終日にすべり込みセーフして良かった。あまり知られていない新版画に光を当てた意欲的な展示。コロナで一旦は中止となったものの再開、関係者の尽力により復活を遂げた。ケバケバしいくらいの極彩色が目に焼き付いて離れない。

ch.kanagawa-museum.jp

3位 千葉市美術館「帰ってきた!どうぶつ大行進」

天真爛漫な展示タイトルとはうらはらに、ズシンと重厚感ある3時間コースだった。地域の博物館にとって、その館ならではのコレクションを持ち、育てていくことの重要性を改めて実感できた。海外の有名ミュージアムから作品を貸借できない時代において、コレクションを活用した展示に力を入れることが今後も求められるのだろうな。

www.ccma-net.jp

【次点】

東京国立博物館「きもの KIMONO」

国立歴史民俗博物館「性差(ジェンダー)の日本史」

府中市美術館「ふつうの系譜」

太田記念美術館月岡芳年 血と妖艶」

広島市現代美術館「式場隆三郎:脳室反射鏡」

【番外編】

埼玉古墳群 抽象景色

埼玉古墳群 抽象景色 | 古墳を活かす、古墳でつながる!文化財活用プロジェクト | 埼玉県

 【所感】

4~5月の一斉休館、展示の中止・延期・打ち切りをはじめ、予約制の導入が影響して、例年より足を運ぶ機会が減りましたが、行きたい展示は割と網羅できました。

2020年はオリンピックイヤーだったため、おそらく訪日外国人に日本文化を紹介すべく、質の高い浮世絵の企画展が多かった印象です。本来ならば超満員になっていただろう目玉の企画展でも、ソーシャル・ディスタンシングのために展示室内の人数を制限していたので、思いがけず贅沢な鑑賞時間を得られたことは不幸中の幸いだった。もう二度と出来ないであろう企画展ばかりだったので、たくさんのミュージアムにすぐに行ける地域に住んでいて良かったと心から思いました。2021年も観るぞッ!

 

■ライブ

【2020年、行けてよかった公演ランキング】

1位 Perfume「8th Tour 2020 “P Cubed” in Dome」(東京ドーム、2月25日)

ファンクラブに加入している友人にチケットを取ってもらい、2月25日に行きました。翌日の26日の公演はコロナで中止してしまったので、まさかの一夜限りの東京ドームコンサートに・・。そういう意味でも思い出深い公演です。それはなくとも内容は最高で、企画・運営をしてくれた中田ヤスタカ神、Perfumeちゃんたち、ライゾマ(彼らはPerfumeの演出をしている時が一番イキイキしている)、ツアースタッフたちに感謝の意を示したいです。目玉が飛び出るような最先端の演出を間近で観られてとても感動した。

www.perfume-web.jp

2位 クレイジーケンバンド「NOW at 日本武道館」(日本武道館、10月30日)

こちらも、ファンクラブに加入している友人がチケットを取ってくれた。いわゆる「神席」で、アリーナのドセンター、前から4列目で堪能できました。マスク着用、定期的な換気あり、座席は間引き(前後左右を空けた市松座席)という厳しい体制ながら、武道館という場の力、音楽の力を体感できた公演でした。CKBにとっては15年ぶりの武道館という記念すべきライブでした。

www.crazykenband.com

【番外編】

NUMBER GIRL「THE MATSURI SESSION」(日比谷野外大音楽堂、5月4日)

そもそもチケットが当たらず行けなかった公演ですが、残念ながらコロナで中止してしまいました。2021年はもっとナンバガに触れられる年になるといいなぁ。ま、17年ぶりに復活してくれただけでありがたいので、解散・活動停止しなければ何でもいいです・・。欲を言えば活動再開公演のDVDを販売してほしい。ファンに課金する機会を与えてくれ。

 

■音楽

【2020年、たくさん聴いた曲ランキング】

1位 BTS「Dynamite」

www.youtube.com

【所感】

とにかくK-POPのエネルギーに圧倒された一年でした。「冬のソナタ」など、かつての韓流ブームは冷ややかに見ていたクチですが、今の韓国文化は世界を相手に戦っていてつい注目してしまいます。初めてちゃんと聴いたK-POPBTSの「Dynamite」。通っている英会話教室の先生(同年代のフィリピン人)に4月頃に教えてもらいました。コロナが流行り初めた「沈黙の春」真っ最中だったので、「明るくて、歌詞がハッピーで元気が出るよ」という推薦に惹かれました。レトロなディスコ調のサウンドを上手く現代アレンジしたアップテンポの曲は確かに耳当たりが良かった。顔のきれいな男性たちがキレッキレのダンスを踊るYOUTUBEをつい何度もリピートしてしまい、ハマりました。間違いなく今年一番聴いた曲です。

その後、BLACKPINK、MOMOLAND、MAMAMOOなど、女性グループの曲も好きになり、今ではジョギングのBGMに欠かせない存在に。PVで韓国の街並みが出てくると旅行に出たくなる。また韓国に行く日が楽しみです。

 

■映画

【2020年、衝撃を受けた新作映画ランキング】

1位 「パラサイト 半地下の家族」(ポン・ジュノ監督)

韓国映画は年々レベルが上がっていて、とっくのとうに日本映画を追い越してしまった感がありますが、ついにハリウッドと対等に戦えるようになったと確信した一本。脚本、美術が悔しいくらい良くできている。韓国版・黒澤明「天国と地獄」として現代韓国社会の光と闇を描いた力作。

2位 「ジョジョ・ラビット」(タイカ・ワイティティ監督)

2020年はナチス収容所の解放から75年経ったこともあり、ヒトラーナチス関連の映画や話題を多く目にする年だった。中でも、この作品は現代的な解釈、演出を加えていて印象深い。「戦争を知らない子どもたち」にこそ見せたい映画です。

3位 「ミッドサマー」(アリ・アスター監督)

怪作「ヘレディタリー/継承」の監督の最新作。全力でスウェーデンネガティブキャンペーンをしている映画に仕上がりました。内容よりも、この映画を思いついて撮ろうと思った監督の方が怖い!前作もそうですが、「異教(キリスト教圏の外側にあるもの)への恐怖」は、アジア圏の文化で育った我々には理解しえない部分があり、興味深いです。

2020年注目作とされた、広島第一劇場でロケを行った「彼女は夢で踊る」はランク外ですが、ストリップ劇場をテーマにした意欲作でした。こうして映像に残ることで後世に伝わるものもあると思います。

【2020年、名画座で観た名作】

森繁久彌淡島千景の名コンビの「珍品堂主人」「本日休診」が印象深い。折に触れて淡島千景をスクリーンで観る度に、その清らかな美しさ、洗い立ての石鹸の香りがするようなうなじ、可憐な声にうっとりと見惚れた。

若尾文子映画祭では「刺青」「卍」「女は二度生まれる」「雁の寺」などを観た。映画祭の特別映像で、撮影当時を振り返ったご本人の肉声が流れたりして、時を経ても衰えない美声と淑女らしい言葉遣いにハッとした。「からっ風野郎」で共演した三島由紀夫との思い出として、彼からの誘いで千葉のレストランにデートに行ったこと、食後に行ったダンスホールでは踊りを申し込まれたが驚くほど下手だったことなど、様々なエピソードが暴露されていて笑ってしまった。

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若尾文子映画祭で素敵だったパネル。「刺青」は4K上映で発色が良かった!

コロナ禍で新作上映が延期・中止されたこともあり、シネコンに行く機会は減ったものの、1人もしくは2人で名画座に行く頻度はあまり変わらなかった。厳しい現実に直面しているからこそ、映画を観るための環境に身を置いて、約2時間集中して物語に没入することで得られる歓びは贅沢で、格別だった。「暗闇に身を沈める快楽」と教えてくれたのはオジキだった。特に、映画美術に注目したい私としては、白黒映画は大きいスクリーンでないと見逃してしまう情報が多いので、名画座にはこれからも通い続けるだろう。

 

■本

実は年末の引っ越しにあたり、200冊以上の蔵書を神保町へと旅立たせた。アート、昭和、街歩き、文庫などの書籍のうち、一般的に流通しているものは売却した。査定に来てくれた某古書店のオーナーは「久々に面白いラインナップに出会えた」と興奮してくれたのでちょっと嬉しい。

新居の近くには公立図書館があるので、2021年は本を読むペースをもっと上げていきたい。とりあえず2020年に面白かった本の一部を紹介。

1位 戸田山和久「教養の書」

教養ってなんとなく大事だと思われているけど、その正体をきちんと説明してくれる人はほとんどいない。だったらここらで、教養って何か、なぜ大切なのかを明らかにしてみようじゃないの。その上で、どう身につければいいか伝授しようじゃない! ……といった前のめりの勢いで、読者を啓蒙しまくるのが本書だ。ユーモラスでくだけた表現が多く分かりやすいため中高生にも勧められるし、哲学書なんて読んだことのない社会人にもオススメ。

教養の書

教養の書

 

小説ならば、ミン・ジン・リー『パチンコ』がタフで面白かった。図録だけど『性差(ジェンダー)の日本史』は読み物としても白眉。

 

■生活

【2020年、買ってよかったものランキング】

ステイホーム、病気療養、在宅勤務、引っ越しなどの生活習慣の変化に合わせて、色々なものを買ったり使ったりした。

1位 Fitbit

段トツでこれ。フィットビットと読みます。Fitbitは、歩数、消費カロリー、睡眠状況などを計測できる活動量計。以前に使っていたアナログ時計の電池が切れたこともあり、何かと話題のスマートウォッチを試したくなって3月頃に購入して以来、肌身離さず使用しています。最初はapple watchにしようと思いましたが、シンプルな機能で十分だったのでこちらに。使っているのは「Inspire」という細身の機種です。新品をメルカリで5000円くらいで買いました。

ちょうどコロナでステイホームすることになり、運動習慣をキープしながら体調管理するモチベーション向上に役立っています。日々の状況をアプリで記録できるので手軽でオススメ。毎日1万歩のウォーク&週3回の10kmジョギング習慣をキープできているのはFitbitのおかげです。

www.fitbit.com

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春の緊急事態宣言下、人のいない早朝などを狙って歩き続けた。御徒町から半径5~10km圏内は庭となった。

2位 ダブルベッド、マットレス

正確には「同居人に買ってもらった」ですが。引っ越しにあたり、心地良い寝室づくりを目指して寝具を一新しました。今まで使っていたシングルベッドフレーム、マットレスは大学1年生の時にひとり暮らしをするためにニトリで買ったものなので、かれこれ10年以上使っていたことになる。

新生活を象徴するものでもあるので、これからの10年をともにするベッドは張り込みました。ショールームに数件行き、シモンズやフランスベッドマニフレックスなど様々なメーカーのマットレスを試した結果、寝心地とコストパフォーマンスのバランスが取れていると思い、サータというメーカーの、ホテル仕様のマットレスにしました。

結論は、最高です!私は寝付きの悪いタイプなんですが、マットレスを替えてから快眠できています。上述のFitbitは睡眠状況を管理でき、どのくらい深い睡眠が取れているかを毎夜図り、「睡眠スコア」という数値化をしてくれるのですが、これまで70点前後だったスコアが80点台をキープできるようになったのです。日中の疲れ方が変わったので、日々の1/3もの時間を身を委ねるベッドはこだわった方がいいと実感。ちなみに、毛布は、冬期はニトリのNウォームを導入しました。ぬくぬくあたたかくて猫たちからの評判が良いです。

www.serta-japan.jp

3位 ULTORAのBCAA

BCAAってのは必須アミノ酸で、運動時に筋肉のエネルギー源となってスタミナ・集中力を助けるサプリメントです。なんじゃそりゃって感じだと思いますが、私は「魔法の白い粉」と呼んでいます。水に溶かして運動前&運動中に飲むと、いつもの1.5倍(当社比)パフォーマンスが上がります。しかも翌日に疲れを持ち越さず、なおかつ副作用や依存性は(おそらく)ない!

色々なメーカーが出していますが、ULTORAのBCAAは人工甘味料ゼロかつ国産で高品質なのがウリで、何よりめちゃくちゃ美味しい。運動だけじゃなく、仕事中に飲んでもいい。ULTORAのプロテインも愛飲していて、ワークアウトの強い味方。

ultora.co.jp

ほか、室内用の運動器具、ZUMBA用シューズなど、フィットネス関連の買い物が増えた年でした。年々健康に気を遣うお年頃になってまいりました。だって、頑張ったら頑張っただけ成果が出るなんて、運動と勉強くらいじゃん・・。特にジョギングは足を止めなければ前に進み続けるから、目に見えて数字(距離)が増えて楽しい。2021年も、走るぞッ!

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おうち時間が増えたからビストロっぽいごはん作りにはまった

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おうち居酒屋。オンライン呑みのおかげで遠方の友人らと気軽に話せるようになって良かった。コロナ後も続けたいな。

 

池袋ミカド劇場10結~南美光さん引退興行ラストステージに行く

10月31日、快晴。

池袋ミカド劇場10月結千秋楽、南美光さんの引退興行・ラストステージの日が来ました。場内は朝から多くの方が集まっていました。私も夕方から場内入り。あんなにお客さんでいっぱいの劇場に行ったのはいつ以来だろう、というくらいの盛況ぶり。もちろん全員マスクをつけていましたが、マスク越しでも常連さんは不思議とはっきり認識できます。みんな口々に「久しぶりだね」「今日来られてよかった」と笑顔で言い合っていました。

南美光さんは、楽日は「甘い花」「パピヨン」「春よ来い」「11周年作」の4個出し。進行が押しているため、他の4名のステージは2曲カットでした。ポラも急ぎ目に応対し、できるだけ南美光さんのための時間を作ろうと画策。栗鳥巣さんは「私はあと20年ストリッパー続けるから、ポラはまた次に会った時でいいから!」と言って、テキパキこなしていました。お客さんたちも時間を配慮しながら楽しんでいました。こういう、全員が協力してひとつのステージを作り上げていく感じこそ、生の舞台の良さで醍醐味だと思う。

Twitterなどで色々な方が感想を呟いておられるように、南美さんのラストステージは、彼女の11年の集大成としてふさわしいものだと感じました。引退前の連投や連日のお疲れもあり、体調は万全ではなかったそうですが、いつものように全力投球のステージを披露する姿勢はさすがプロフェッショナルです。乱筆ながら、私も感想を綴らせてください。

彼女の舞台はいつもドラマティックで、人生で感じられるたくさんの喜怒哀楽が詰まっている。1つの演目をじっくり育てて熟成させていくタイプの踊り子さんだから、というのもあるのかもしれないけれど、演目ごとの密度や完成度がとても高い。表現に対する熱い想いと、人の気持ちに寄り添える優しさと、職人のようなこだわりを持つ、稀代の踊り子だと思う。

彼女は色々な文化芸術への造詣も深く、漫画も好き。前の芸名は安野モヨコの漫画「さくらん」の主人公から取ったし、引退作ともなった11周年作は、古代中華戦国大河ロマンを描いた漫画がモチーフとなっている。11周年作の衣装は、コロナの自粛期間中に制作したオリジナルだ。オフの日はお芝居を観に行くのが趣味らしい。

オナベの女王としても知られるーー勝手に呼んでるだけですがーー南美さんだけれど、彼女のベッドは褥のお相手の輪郭が見えるくらいに情熱的だ。幸せな愛の交歓のひとときを再現しているからこそ、真に迫っているのではないでしょうか。そんな彼女の「好き」がたくさん込められたラストステージは観る人の心を打ち、明日への希望を感じさせるような、どこまでも彼女らしいものでした。きちんとお別れの場を設けてもらって、とても有難いと思います。

そんな南美光さんの絶品フルコースを味わった後は、楽しくコミュニケーションするポラタイムも参加でき、話せてよかった。3回目は、100枚以上のポラを1時間以上かけて対応されていました。とても大変だったかと思います。

さてここで復習です。皆さんお忘れではないですか、オナニー引換券を!!TSミュージックの踊り子の引退興業の楽日にだけ配布するという伝説のオナニー引換券!識者によると1、2回目では未登場だったようで、外が暗くなって来た頃にようやく正体が明かされました。

来た人だけのお楽しみ…と言いたいところですが、軽くネタばらし。要するに、ポラの引換券の絵柄がオナベ中の姿となっているエッチな代物。作った人も配る人もいい意味でイカれてる、衝撃的な引換券です。私は「おお、これがあのオナニー引換券か・・」と生唾を飲みながら、卒業証書のごとく厳粛な面持ちで受け取りました。受け取れた方は記念になりますね!

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3回目ポラ中、劇場外に出ると常連さんたちが集まっていました。スト客オールスターズ・・!路上で集まる謎の集団を、道行く人たちは不思議そうに眺めます。ハロウィン?何?

自分もそんな百鬼夜行の一員となってしまいましたが、あんなに大勢の常連さんに会えたのは半年以上ぶりだったので懐かしくなりました。ご挨拶させていただいた方々、どうもありがとうございました。劇場に来るまでは引退の寂しさを感じてもいたけれど、一緒に分かち合える人たちがいたおかげで楽しい思い出が作れました。

さて、4回目のラストステージ・11周年作を終えて、いよいよ引退の儀が始まります。

ラストダンスは桜色のワンピースドレス。雛形ひろ子ちゃんの引退時に、その週の踊り子さんたちが作って踊ったドレスに似ていました。なお、ラストダンスは前日に振り付けしたそうです。沖縄弁で「縁起が良い」という意味のバンドの曲で「さよなら」を伝えてくれました(歌詞が泣けるのでググってみてください)。

盛大な拍手を受けた後、正月恒例の「獅子舞」を披露。裸に法被をまとって獅子舞を被ったので、下半身からヒップが丸見えの状態。エロスと笑いが融合した、有終の美を飾るにふさわしい舞い!お寿司が食べたくなる軽快な曲を流しながら、獅子舞「桃太郎」を器用に操って場内のお客さんの頭をガブリと噛みます。人を笑わせたり喜ばせたりするのが大好きな南美光さんらしい、サービス精神にあふれた一幕でした。

そして、最後のスピーチ。ほぼ全文だと思いますが問題があればご指摘ください。

***

■南美光さんによるスピーチ

南美光「皆さん、ありがとうございました!この獅子舞『桃太郎』は、ちるちる☆いちるさんが二代目を引き継ぎます。連獅子の作品は箱館エリィさんが引き継いでくれます。今ここに居る人、来年の正月は絶対に劇場に行ってください!宣伝失礼しました」

いつの間にか、踊り子さんたちが場内に来ていた。全員瞳を潤わせながらじっと聞いている。

「ご挨拶をしなければと、昨日考えていたんですけれど・・・。今年はすごく大変な年でしたが、そんなすごく大変な時期を乗り越えて劇場にいらしていただいて、コロナ最中にも関わらず集まっていただいて、ありがとうございます。劇場に来て元気をもらってくれたら嬉しいです。

11年間、2009年9月中に新宿TSミュージックでデビューさせていただいて、1年休業を挟みましたが、約11年間、出会ったお客様方優しい方ばかりでした。踊り子さんも優しくて・・・ありがたいと思います。お姐さんがた、従業員さん・・・亡くなっちゃった方もいらっしゃるんですが、心の中で生き続けています。自分の心の糧としています。ストリップに出会えて、本当によかったと思っています。皆様も、ストリップ良いなぁとか、ストリップに心が救われるなぁと思っていると思います。斜陽産業ではあるんですけれど、昔のストリップは過激でしたけれど、もし未来に法律が改正されるのであれば、ストリップは芸能だよと、大々的に胸を張って言える日が来るといいなと信じています。」

(場内から、大きな拍手)

「人の心に残るものって、すごく重要だと思います。たとえ忘れたとしても、多分心の奥底で覚えていると思います。なので、好きな踊り子さんが辞めたから観ないという方もいらっしゃると思うのですが・・・冗談でそういうことを言ってくださるお客さんもいるんですが、観続けると楽しいことが待ってます。人との出会いがあります。1人でモヤモヤしてるんじゃなくて、ワーッと楽しいところに来てください。頑張っている女の子がいたら、手拍子や拍手をたくさんしてあげてください。踊り子さんたちはすごく喜びます。ここにいるお客さんがた、今まで業界を支えていただいて、本当にありがとうございます」

 

ミカド劇場の社長をはじめ、スタッフの〇〇ちゃん、〇〇ちゃん、〇〇さん(お名前なので伏せます)、これまで色んな従業員さんがいてくださったんですが、従業員さんたちのおかげで劇場が保ってます。劇場は人間くさいところもあるんですが、この人たちに支えられて、私たち踊り子はここに立っています。なので劇場がある限り、これからもストリップを観続けてもらいたいです。私は卒業してしまいますが、影で劇場の裏方みたいなのをやりつつ、今までに学んだことを活かして、人生を歩んでいきたいと思います。会えなくなっても、絶対、誰かと誰かの縁でつながっています。絶対に、劇場来てください。よろしくお願いします」

(場内から、大きな拍手)

■引退式

ちるちる☆いちる「きよ葉姐さん!お疲れさまでしたー!!」

ここで、客席のお客さんたちが一斉にクラッカーを鳴らした。いちるちゃんが持っていた、巨大なバズーカクラッカーによるキラキラテープが南美さんに直撃し、全員爆笑。

南美光「すごい、顔めがけてビョーンと・・笑」

ちるちる☆いちる「すみません!そして、我々踊り子一同からプレゼントがあります!」

踊り子さんたちが舞台袖を通ってステージに上がる。私服の方が多い中、いちるちゃんはシナモンロールの部屋着を着ていた。

ちるちる☆いちる「どうしよう、まともな服で来ればよかった。恥ずかしい」

そんないちるちゃんの司会のもと、進行します。マイクを使わなくても聞こえる声量すごい。ハキハキと迷いのない名司会でした。

■プレゼント贈呈

踊り子さんたちが一人ずつ、ご祝儀レイを南美さんにかけました。また、この後、お客さんを代表してファンの方からのコメントがありました。愛にあふれる立派なご挨拶でした。(ご本人に掲載了承をいただいていないので割愛します)お客さんたちから花束とご祝儀の贈呈も。たくさんのお花で盆がいっぱいになり、とても綺麗で幸せな光景でした。

■ラスト・オープンショー

そして、最後のオープンショーが始まります。お馴染みの曲をバックに、お客さんたちが代わる代わるご祝儀を渡しました。南美さんは、1人ひとりの目を見ながら「ありがとうございます」と感謝を述べています。曲3回分、最後のひとときを惜しむように、でもみんな笑顔で挨拶を交わしました。そして、お見送り。ラストパンツをプレゼントしながら。「まーやさん!」と言いながらパンツを投げてくれました。最高の笑顔で。

「11月1日からどこの劇場に行くか、考えながら帰ってね!」

最後の最後まで、南美光さんがストリップ劇場を愛し、ストリップ劇場の未来を信じているということが伝わる引退興行でした。

南美光さんは、今まで本当にたくさんのお客さんに幸せな時間を与えて、楽しい夢を見させてくれました。多くの人を幸せにした分、次は彼女にも大きな幸せが訪れることを祈っています。どうか、幸せに!

池袋ミカド劇場10月結~南美光さん引退興行に行こう

10月の終わりが見えてきて、ついにこの週がやってきてしまいました。そう、TSミュージックが誇る踊り子・南美光さんの引退興行です。

大好きな踊り子さんの1人なのでこのブログでも度々ご紹介しており、いつも勝手な感想を書かせていただいていましたが、引退のお知らせを見てから未だにブロークンハート状態が直りません。まだ心のどこかで「11月になってもどこかの劇場に乗っているのではないか」と思っちゃっているので始末に終えない。あっはっは、あと数日で会えなくなるというのにね。

しかし、そんなウダウダしていても時間というものは過ぎてしまうので、悩む前に会いに行こう!行ける時に劇場に行こう!が鉄則のストリップでございます。ということで、仕事終わりに時間を作って池袋ミカド劇場へGO。

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【10月結ミカド劇場 香盤】(敬称略)

1.ちるちる☆いちる

2.栗鳥巣

3.六花ましろ

4.春野いちじく

5.南美光

これが引退興行でなければ、ストリップ初見さんにオススメしたいバラエティ豊かな香盤だと思う。正統派から最先端まで、可愛い系からキレイ系まで、あらゆる角度でキラキラ輝くプリズムみたいな踊り子さんたちが集結しています。

本記事の趣旨は、南美光さんの引退興行に行くかどうか迷っている方は絶対行こうね、ということを伝えることなので、各ステージの描写や感想は最小限に留めさせていただきます。ご了承ください。

 

1.ちるちる☆いちる

ハロウィン演目が某ネズミーランドの世界観みたいで、アトラクションに乗るような楽しい気分。1曲目の衣装は計算し尽くしたパンチラ神です。大きなかぼちゃのかぶり物がふよふよ揺れて面白い。実は、いつぞや彼女のベッドを初めて拝見した時に思った第一印象は「髪が多い!」なのですが、日本の古典では髪の毛が豊かな女性こそ最上の美人とされているので、日本人のDNAをくすぐる魅力があると思っています。どうやったらあんなにきれいに髪をカールできるのか、使っているアイロンが知りたくてたまりません。

 

2.栗鳥巣

「デスコ」「おそうじオバチャン」「社畜」の3個出し。

某深夜アニメにインスパイアされた演目「社畜」は、元ネタを知らなくても楽しめるし、ステージを観終わった後にキャラ名を検索してハマってしまうという番宣・・いやいや応援作です。

好きな作品や推しが出来ると周りに布教したくなるし、妄想や二次創作が捗るオタクあるある。鳥さんの場合、ストリップに仕立ててしまうんだから、それがとんでもないクオリティだからスゴイ。ヘアメイク・衣装・小道具・アクセサリーなどの創作&アレンジ力はこの業界ピカイチだと思います。オタクは、技術を持ったオタクに憧れる。

余談ですが、今年の頭に池袋ミカド劇場で鳥さんにオマン画(女性器に筆を差して観客の似顔絵を描く芸)を描いていただいたのですが、「その直後に恋人ができてぼちぼち結婚しそうです。オマン画の御利益のおかげです」と報告しました。鳥さん、小躍りして喜んでくださいました。

実際、オマン画を描いていただいた後に宝くじが当たるなどの良いことが起こる人、多いらしいですよ。皆さん、オマン画は金運アップ、恋愛運アップ、仕事運アップなど驚異的な御利益がありますので、機会があれば是非描いてもらいましょう。鳥さんのあそこは究極のパワースポットだと思います。(つまり鳥さんのお子様、小鳥ちゃんは超幸運の星の下に生まれたのですね)

なお、フリーペーパー配布や同人誌、うちわなどの物販もやっておられました。芸達者!

 

3.六花ましろ

お誕生日おめでとうございまっしー。抜けるような透明感がますます磨きがかってます。「魔女宅」「恋慕」の2個出し。「恋慕」は昭和歌謡な和装演目で日本人形のような美貌にマッチ。また少し痩せられたかな?和装を脱いだ姿がとても儚げで、思わず守ってあげたくなりました。

 

4.春野いちじく

Wink」「ナース改改」「Halloween」の3個出し。「Wink」は望月きららさんからお借りした王道アイドル演目で、おっさんホイホイなイントロクイズが楽しい。眼の下の涙袋に赤いアイシャドウを濃いめに入れた、今はやりの「メンヘラメイク」が似合う。彼女はいつも衣装・小道具の組み合わせが秀逸なんだけど、特にランジェリーセンスが抜群だと思う。それどこで買ったの?とつい知りたくなるようなハイセンスな下着を身につけておられます。

 

5.南美光

識者によると、この日までに7周年作、11周年作、「春よ、来い」、「愛と欲望の日々」の4個出し。楽日までに2演目追加したいと仰っていましたが、果たして。

場内には、毎日通うファンの方、最後に会いに来た古くからの常連さん、引退前にひと目観ようといらした方、ふらりと立ち寄ったご新規さんなど、色々な層が集まっていました。彼女のステージ中は、ぐっと息を飲む音や、引退を惜しんですすり泣く声、舞台上の姿を目に焼き付けようとする熱い視線が交錯して、自然と場内の密度や湿度が濃くなる。

そんな雰囲気にのまれ、観劇する私も思わず手に力が入る。意識をステージに集中したいけれど、これまでの思い出が走馬灯のようにフラッシュバックしてしまい、つい視界がぼやける。見えるのは彼女の良いところや美しさばかりで、一所懸命に身体の線や影を追いかける。別れる前、恋人とする最後のセックスってこんな気持ちなんだろーか。なにもかも時間が足らない。

こんな観客席の葛藤なんて関係なく、舞台上の光さんはステージの世界に没入していく。時に涼しげに笑って見せたり、軽やかなステップを決めたり、難易度の高いポーズを連続して繰り出したり、いつものように濃厚なオナベを惜しげも無く魅せてくれる。これまで培ったものを全身全霊で表現して、1人の踊り子としての到達点を目指して芸の道を駆け上がっている。圧巻としか言いようがない。

ステージ後、誰も口を開けないような空気を払拭するように、光さんが明るく元気に登場。ポラに並ぶ1人ひとりに優しく声をかけ、たっぷり会話の時間を設けながらもテンポ良く対応をする。この誠実なポラ応対と絶妙な客さばきが、彼女のすごさのひとつでもある。目の前の1人に向き合うことはもちろん、並んでいる人や場内で待っている人たちも一緒に楽しませることができる能力を持った、優れた踊り子だと思う。

私の番になった時、手を振って喜んで迎えてくれた。「色々話したいことがあったのに、ステージ観たら全部吹っ飛んじゃいました」と正直に伝えたら爆笑された。「来てくれて本当に嬉しい。今までたくさん観てくれて本当にありがとうございました」とお礼まで言っていただいた。

結婚するかもと報告したところ、「人生の節目ってことですよね。私も踊り子として節目を迎えます。でも、これからもストリップを観に来てください。私、ストリップを観ると元気が出ると思うんです。場内に女性のお客さんがいると踊り子は喜ぶし、楽屋でも盛り上がります。あと、お誕生日おめでとうございます。ますますイイ女っぷりに磨きをかけてください。私みたいに〇〇〇(性的な隠語)とか〇〇〇(放送禁止用語)とか言ってちゃダメですよ。幸せになってください」と言ってくれた。この後ちょっと泣いた。

別のお客さんの対応をしている時、唐突に光さんが「今週、古いお客さんが来て、私のあそこがローストビーフに似てると言ったんですよ。みんなも、これからローストビーフを食べるたびに私のことを思い出すがいい!」と言い出した。なんとも恐ろしいローストビーフの呪いが発動した。これからローストビーフ丼食べる時、半熟卵をぐちゃっとする時とかに、よからぬことを考えちゃうじゃないか。

こんなこともあった。4回目のいちるちゃんのポラの時、彼女が「光姐さんに『オナニー引換券で』って言ってみて。すっっごいから!」と6回くらい言った。舞台袖にいた鳥さんも「オナニー引換券!あれはきよちゃん(=光さんの昔の芸名)にしかできない。見なきゃ損だよ」と言っている。

思いがけずパワーワードが飛び出してきた。「オナニー引換券」とは?客席全員の心がひとつになった。常連さんたちが「お前聞いてみろよ~」「いや、あいつに聞かせよう」とそわそわしている。

4回目トリ、光さんのこの日の演目が終わった後、たまたまポラ列の最前列に並んだ私はオナニー引換券が何なのか気になって仕方なかった。そこで、後ろにいた常連さんたちに「・・聞いていいっすか?」と確認し、快くOKをもらったので勇気を出して聞くことにした。光さんが登場する。

「2枚お願いいたします。オナニー引換券で!」元気よく言った。

光さんが笑いながら「それどこで吹き込まれたの。あ、いちるちゃんね。なんかね、TSミュージックの新しい伝統を作りたいんだって。これからTSの踊り子は引退するときに、楽日に『オナニー引換券』を配ることにするらしいよ。だから今日は無いんだけど、楽日に来たらあげるよ(笑)」と答えた。

というわけで、オナニー引換券の正体はまだ不明なものの、楽日に言えばもらえるらしいです。マジで気になりますね。ということで、オナニー引換券が欲しい人は楽日にも行きましょう!

ちなみに、引退記念グッズの数が足らなくなってきたので、この日は缶バッジを配っていました。引退興行はポラサインの量も半端なくて大変なはずなのに、色々趣向を凝らして思い出づくりをしてくださるので頭が下がります。

最後に、これからいらっしゃる方に。

今週、場内は終日にぎわっていて、立ち見になる可能性が高いです。平日の4回目など遅い時間は座席に空きが出る可能性もありますが、立ち見を覚悟して歩きやすい靴&荷物は最小限で臨んだ方がベターです。ソーシャル・ディスタンスは自分で確保しましょう。それと、場内が蒸し暑くなるので、体温調節がしやすい脱ぎ着ができる服装で行きましょう。参考までに、昨年の雛形ひろ子ちゃん引退興行の楽日4回目はサウナ状態になりました。今年はマスクを着用する必要もあるので、熱中症や脱水などに気をつけて行ってくださいね。押し進行で休憩時間も取れないかもしれないので、適度に外出のタイミングを設けて無理のない観劇をしましょう。

1人でも多くの方が、南美光さんの引退興行を見届けてくださいますように!