盛り場放浪記

花街を歩くことが楽しみな会社員による、酒とアートをめぐる冒険奇譚。

出光美術館「染付展」、すみだ北斎美術館「北斎アニマルズ展」を観る。

映画「グリーンブック」を観た後、出光美術館へ。「染付ー世界に花咲く青のうつわ展」が開催中です。2018年の「色絵 Japan CUTE!展」もとってもよかったですが、出光はやきものの展示が白眉です。idemitsu-museum.or.jp

西アジアから中国、朝鮮、ベトナム、日本、ヨーロッパに伝わる青花(染付)。染付のルーツや知識などをわかりやすく解説してくれ、初心者も安心。器の美しさもさることながら、各国のお国柄が垣間見える。伝播の様子や国ごとの表現の違いを明快に示す展示方法も面白く、真似したい。大阪のみんぱくでもやっていそうな展示手法だけど、工芸や美術品でも楽しいね。

「色絵展」でもそうだったけれど、輸入した作品に描かれている主題を理解せぬまま、描かれているものだけを一生懸命まねて、結果的におかしな表現になってしまう現象(解説では「伝言ゲーム」と表現)がとても興味深く、いとおしい。例えば、日本の作品に描かれている御所車が、中国ではヘンテコなガラクタになってしまっていたり、中国の作品がフランスを経てオランダでもつくられたら取っ手が反転してしまっていたり・・。東洋を真似たオランダのデルフト焼のなんとチャーミングなことか。ベトナムのうつわの脱力具合も良い。

展示としては「色絵展」の方が色鮮やかな作品が多く目を楽しませてくれたが、「染付展」でみられるさまざまな青(なんて神秘的!)にも惹かれる。青への憧憬はユニバーサルで共通なんだなぁ。

所要時間1時間半。小粋な同行者と行ったので、あれこれ語りながら観ているとあっという間にそのくらい経つ。

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出光美術館の休憩コーナーは無料の給茶サービスがあり気が利いている。

下界に降りると有楽町は結構な混雑。みんな何しに来てるのかな。おなかも空いたので上野に移動して、めしにしましょう。ダーリンが魚が食べたいと所望したので刺身系。御徒町だと「味の笛」を愛好しているんだけど、立ち飲みだし、飲みすぎちゃうから・・。

tabelog.com

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やかんで熱燗。

ご休憩をはさみ、餃子が食べたくなったので博多劇場で鉄鍋餃子。湯島でご宿泊。土曜日の夜はどこも混んでるな。新しいラブホテルが湯島駅前にできていたので驚いた。

hotel-u.jp

朝チェックアウト。フロントで、年配のカップルがチェックインをするところだった。朝からバッチリ決め込んでイカしてた。

朝ごはん何にしましょ、って歩いていたらすしざんまいが。朝からお寿司食べちゃお!

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朝から海鮮丼&寿司。すしざんまいLOVE。

よく晴れた日曜の朝、何のお祝い事でもないけれど、いい男とお寿司をつまむ。景気がいいね。小さな幸せって感じで素敵だ。湯島のすしざんまいは24時間営業で、夜勤明けらしい人たちがビールを飲んでいた。

上野広小路の交差点のレンタルスペースで古本屋が入っていたので覗いた。

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上野広小路の角、前は適当な雑貨屋なんぞ入っていたけど、古本屋になっていた。

入口に旧い映画のパンフレットが、むむ、これはなんて手に取ってつい店の奥へ。

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なかなか奥深いラインナップ。こういうアメリカの雑誌って格好いいんだよね・・。

すごく状態のいい「つげ義春作品集」(1969年出版、青林堂)が1000円で売られていて、掘り出し物!ダーリンがすかさず買っていた。「ガロ」の連載をまとめたもので、大判だから書き込みや筆致が見やすい。総集編って小さくなりがちで、少なくとも連載時の大きさは保ってほしいと思う。

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こういうポスターの類、ついほしくなってしまう。

思わぬ収穫をしてホクホク。天気もいいしどこに行こうか、と話して墨田方面に行くことに。錦糸町まで都バスでのんびり行って、すみだ北斎美術館寄って付近散歩することに。

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錦糸町駅からすみだ北斎美術館の間にある「森田鋼板株式会社」。なんて渋い外観。こういうリアルエイジングは、本当に年月経ないと出ない味わいだ。

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すみだ北斎美術館周辺のタイル製マップ。かわいい!

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すみだ北斎美術館。いつ見ても使いづらそうな・・独創的な建築。

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前より遊具増えてない!?

北斎アニマルズ展」では、北斎とその門人の描いた動物や、玩具や道具としてデザイン化された動物、物語や伝記などの文脈と共に描かれた動物や、創造の生き物など、絵画の中のさまざまな動物モチーフの作品が観られる。

http://hokusai-museum.jp/

解説がちょっと面白くて、「『カレイ』とあるが腹を手前に置いて左に顔があるのでこれはヒラメ」など、北斎の描いた動物の正誤判断が多かった。ここの学芸員さんって、動物にまで詳しくないとだめなのね。

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すみだ北斎美術館は常設展が好き。𠮷原ネタが多いので。

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ジオラマ、前はもっと勢いよく動いていた?気のせい?

観終わって、江戸博あたりをぷらぷらして、「江戸遊改装中かぁ」なんて言いながら、「亀戸ぎょうざ」へ。

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亀戸ぎょうざ両国支店。いつ行っても大人気だが回転が早いのでたいてい入れる。

亀戸ぎょうざは、餃子1皿を食べ終わると1秒後には「餃子食べたい」と思い、追加オーダーしている不思議な店だ。薄くぱりぱりの皮とざくざくの野菜がおいしいシンプルな餃子だが、クラックコカインが入っていることは間違いない。

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とりあえず1人1皿と瓶ビールを頼んで様子をみましょう。

「昼からビール飲む人間じゃなかったのに・・男をだめにする女だ」とぶつぶつ言われながら乾杯。日の高いうちから飲むビールほどうまいものはない。

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食べ終わったら可及的速やかに次のオーダーをしましょう。

餃子を1人3皿食べたあたりで、ほかの客がオーダーする麺類も気になってくるので、すかさず頼みます。醬油ラーメン、タンメン、焼きそば、なんでもおいしい。

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醬油ラーメン。「こういうのでいいんだよ」と思わず口をつく。

ザ・中華そばを啜り、日本に生まれてよかったと思う。中国のラーメンより、日本のラーメンの方が好きだ。

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こじゃれたラーメン屋もたまにはいいけれど、やっぱり町中華が好き。

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すっかり食べました。いい気分です。

外はもちろんまだ明るくって、散歩日和。お手てつないで隅田川のほとりを歩きましょう。(残念ながら数秒後に手は振りほどかれた)

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隅田川テラス。今日は満潮。

浅草まで歩いてすぐ。「浅草ライヲン百貨店」のビル前を通ると空いているではありませんか。(旧いビルをレンタルスペースとして貸していて、たまに雑貨市などをやっている)

 

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革小物や帽子、こじゃれた雑貨が売られている。

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ROUTE66と書かれたキャップをゲット。スカーレットカラーがかわいい。

ちょっとご休憩して、上野までてくてく歩いた。おしゃべりしながら歩くとほんとにあっという間。下町を満喫した楽しい一日だった。