盛り場放浪記

花街を歩くことが楽しみな会社員による、酒とアートをめぐる冒険奇譚。

池上本門寺で花見をし、蒲田で餃子を食べる

春になったのでゼミテンで集まった。

※「ゼミテン」とはゼミのメンバーの意で、ドイツ語「Seminarist(ゼミ生)」の複数形「Seminaristen」の略称。主に一橋大学生が使うスラング

もともとは筑波大学 比較文化学類の江藤先生を慕い、2016年から私含む2~3人で集まったのが始まり。季節ごとに街歩き+純喫茶や酒場めぐりをするささやかな会が、いつの間にか10人以上のメンバーを集めることになった。入学年度2004~2011年あたりと年代バラバラでかぶってない人も多いけれど、そこは江藤先生の人望がなせるわざ、何だかんだ共通の話題も多く楽しい。あとみんな酒が強い。

これまでいろいろな場所に出かけて行き、花見は2017年の隅田川、2018年の光が丘に続き、2019年は3回目。

ついでに書き出してみた、これまでのゼミテン。参加者は一部曖昧。

  1. 2015年10月「浅草 どぜう鍋+電気ブランの会」(江藤、水谷、中嶋)
  2. 2015年12月「いま、赤羽が熱い!年忘れ一番街潜入ルポ」(江藤、水谷、福元、中嶋)
  3. 2016年4月「赤羽 馬鹿祭りで馬鹿になる」&「南千住 丸千葉‐バッハ‐浄閑寺(江藤、水谷、福元、中嶋)
  4. 2016年7月「上野 鈴本夏まつり~笑いで暑さを吹き飛ばす~」(江藤、水谷、福元、中嶋)
  5. 2016年12月「柴又・立石クリスマス会~ディープな昭和を求めて~」(江藤、水谷、めがわ、中嶋)
  6. 2017年4月「墨堤さくらまつり~桜の花の満開の下~」(江藤、加藤、安原、福元、中嶋)
  7. 2017年8月「新宿 歌舞伎町~東京の限界集落に挑む~」(江藤、加藤、篠原、大村、安原、福元)
  8. 2017年10月「上野 アメ横~中嶋退院祝い~」(江藤、水谷、福元、中嶋)
  9. 2017年12月「吉祥寺 ハーモニカ横丁~江戸東京たてもの園を添えて~」(江藤、加藤、篠原、安原、福元、山田、中嶋姉弟
  10. 2018年3月「光が丘と北町楽天地~グラントハイツの残照を訪ね歩く~」(江藤、加藤、篠原、浅野、安原、福元、山田、めがわ、中嶋姉弟
  11. 2018年8月「有楽町から立石~呑んべ横丁よ永遠に~」(江藤、加藤、篠原、安原、福元、めがわ、菊島、中嶋弟)
  12. 2018年9月「池袋 ふくろ」(江藤、加藤、篠原、安原、山田、菊島、中嶋姉弟
  13. 2018年12月「歌舞伎町ホストクラブでシャンパンコール」(江藤、山田、菊島、阿部、中嶋)
  14. 2019年3月「蒲田で餃子&花見」(江藤、加藤、篠原、安原、福元、山田、松下、中嶋姉弟

そんな蒲田編、蒲田発祥の羽根つき餃子を食べ、その辺で桜を愛でようというゆるい企画。当日は都内満開のニュースもありつつ、雨も予想される肌寒い日だった。

集合して、桜が咲いているというブログを参照して「西蒲田公園」に行ったところ、1本も植わっていなかった。ブログ主は何を見たんだ?とあやしみつつ、急遽作戦会議。「你好」にて。

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你好。餃子の皮が厚めでモチモチ。今回は餃子しか食べない趣旨なので、1人1皿の餃子とビールのみ。

大田区の桜の名所を調べたところ、池上本門寺なら電車で近いことが分かり移動。東急池上線は、池上本門寺への参拝客を運ぶために計画された路線だが、あくまで地元ベースであって観光マインドの薄さが好ましかった。

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「花見せんべいください!」と駆け込んだら、「それはうちの屋号です」と言われた。

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所々に渋い店がある。池上、案外奥が深そうだ。

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参道近くの「萬屋酒店」は明治8年に建てられた国登録有形文化財

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ようやく池上本門寺のお出まし。ゲッ、この階段登るの!?

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登り終え、門の手前で記念写真。

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境内には満開の桜が咲いている。花見シーズンなのに人もまばらで、歩きやすい。

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「バンパイヤ」と描かれたキャップをつけるおじさんに撮ってもらった。

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池上本門寺日蓮聖人入滅の霊場。1282年創建の歴史あるお寺。

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テキ屋もちらほら出ており、懐かしの宝つりも・・。

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人生相談を引いてみた。前向きな内容だったが、恋愛「現在の生活を長く続けると婚期を逃す」うるせぇ。

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五重塔は国の重要文化財

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日本プロレスを作った力道山の墓。

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すっかり墓石探訪を始めるゼミテン。協調性のなく好奇心旺盛な比文生によく見られる脱線。

雨の気配がないどころか晴れ間まで見えてきたころ、池上本門寺詣でを終えて蒲田に戻り当初の目的である餃子を食べることとなった。しかし帰り道、私がふと覗いた路地に、魅惑的な外観の酒場や横丁があることに気づいてしまった。

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大衆酒場 喜代美。来店時は開店直後だったためのれんもでておらず、店主にいぶかしがられた。

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狭いカウンターを占領した。30分くらいで引き上げるんで!1杯だけ!

内部空間は店先ほど渋くなかったが、店主に池上のことを教えてもらえ、横丁にある「栢山」という店の情報を得た。後で調べたら「喜代美」は吉田類の酒場放浪記のロケ地だったことが分かった。すりおろした大和芋をフライパンで焼きあげる「山芋焼き」がしみじみうまかった。

www.bs-tbs.co.jp

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渋くたたずむ横丁。多くの店は軒先が荒れており、営業していなそうだ。

 

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運良く「栢山」が営業していた。店なのか何なのかわからない風貌だが、いざ。

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店内は予想よりもきれいで洗練されている(失礼)。明るい店内に、常連とのBBQ大会やボーリング大会などの情報や記念写真が貼られていた。

「栢山」は忘れられない店になった。食事が、何を頼んでも、うますぎる。

はじめにビールや焼酎お湯割りなどもらいつつ、突き出しのえびしんじょをつまみ、新物ザーサイの浅漬けやイカと里芋の煮物を食べた時に絶句した。誰もがそれまでの会話を止め、「うまっ!!」と漏らした。そして食欲に火がつき、当初の目的であった餃子のことは忘れ去った。

「次なに頼む?」「アスパラ!え、塩ゆでかバター?バター!みなさんバターでいい?(決めてから意見を聞く)」「桜エビと新タマネギのかき揚げ!」「鯖味噌!」「もつ煮込み!」「パリパリ焼きそば!」「新アサリのパスタ!」食った、たらふく食った。

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写真を撮ろうと思う前に箸をつけてしまう人間なので食べかけばかり。本当に何食べてもうまい。

至福の時間を過ごし、仕事を終えためがわが合流するというので蒲田に戻った。「もうお腹いっぱいだけど、餃子1皿くらいならなんとか食えるかな(笑)」と言って。

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「歓迎」は中国の大衆食堂のようなカジュアルな雰囲気で、餃子や中華料理がスピーディーに食べられるコスパのいい店。

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餃子って無限に食べられる。

いざ餃子を食べ始めたらついほかのものを頼みたくなり、結局、焼き・水餃子コンプリート、カシューナッツと鶏肉炒め、炒飯も食べた。

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食いしん坊と飲み助の集まるゼミテン。

「もう食べられないよ」23時の閉店まで粘り、蒲田駅に向かう。コンセプトをいろいろ練っても最終的にはディープな店に流れてしまう我々の「らしさ」を強く感じた会でした。ごちそうさまでした!