盛り場放浪記

花街を歩くことが楽しみな会社員による、酒とアートをめぐる冒険奇譚。

日本酒バーに行き谷中霊園で花見をする

花冷えのせいか今年の桜は息が長い。まだ満開をギリギリ保っていることもあり、荒木さんと夜桜見物を企てた。

夕方、東京文化資源会議のシンポジウム「上野ナイトパークが日本を変える」を傍聴。パネリストが、秋元さん(東京藝術大学大学美術館館長・教授)、上山さん(慶應義塾大学教授)、杉浦さん(文化庁審議官)、二木さん(上野観光連盟会長)と豪華な顔ぶれ。司会は売れっ子吉見さん(東京大学教授)。

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上野あたりは夜がさみしいから活性化していこうぜという話なんだが、上野公園は縦割り行政博覧会のように管轄が分かれているからいつまでたっても進まない。吉見さんは踏み込んだ議論をしようとしていたけれど、東京都の人引っ張り出してこないとなかなか厳しいだろうなぁ。

質疑応答で、「ナイトタイムって何時から何時くらいの想定か」という質問があって、パネリストと司会それぞれ答えていたけれど、みんな「20時~終電まで」という回答で、早すぎやしないかオジサンたち・・とカルチャーショック。そこは「日没から日の出まで」でオールナイトを可能にしてくれないと。いちばん盛り上がってお金つかうのって、24時すぎてからじゃないかなぁ。

シンポジウム聞き終えて荒木さんと合流。昨年度まで東京都写真美術館の副館長だったのが、新年度から東京計量検定所の所長に就任したのだ。計量って何すんの?と思いつつお疲れ様会&就任祝いを名目に酒を飲もう!

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昭和骨董屋「EXPO」冷やかし。魔空間が広がっています。

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2014年に火事で全焼したものの奇跡の復活を果たした。新しくなったとは思えないほど店内はゴチャゴチャにぎやか。

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万博グッズや資料も多いので、1970年万博研究者は必見なのでは。

さて今夜のお店は、荒木さんご紹介の日本酒バー「慶(よろこび)」。うどんの名店「釜竹」の姉妹店。日本酒好きがヨダレを垂らして喜ぶラインナップなんですが、バカなのでメニューの写真撮り忘れた。

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乾杯はビールの代わりに生酛どぶソーダ割。さっぱりして食前酒にいい。

荒木さんが思い出したかのようにウコンをくれた。いつもつい飲み過ぎちゃうからね。

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本日のお通し。スルメイカのペーストと季節の野菜、サヨリの酢ジュレ和え。

このスルメイカのペースト、すごく美味しい。ワインにレバーペーストが合うように日本酒にはスルメイカのペーストだ。サヨリも歯ごたえあってさっぱりして好き。お通しからでも日本酒の肴に合うものばっかり出す店だって分かる。

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鯛とタコのお刺身。お酒は辻善兵衛。

栃木県真岡市のお酒「辻善兵衛」好き。華やかな吟醸香で飲み口すっきり。雄町米LOVERとしては要チェックですね。

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若竹煮。1年で1番タケノコとワカメがうまい季節です。

どんどん頼んだ。メニューすべておいしそうで、端からオーダーしたくなる。若竹煮もいいお味。こういうシンプルだけど手の込んだ家庭料理ってなかなか最近家では作らないので外食では真っ先に頼みたい。タケノコのあく抜き分の人件費を考えたらね。つくばに住んでいた頃は、朝その辺の竹林で掘ったタケノコ仕込んだりしたなぁ。

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空豆のコロッケ。俵型がいいね。こんなの見るからにうまいっしょ

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はぁーん中が緑色!桜エビと新ジャガも入っていて、春の到来。

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酒の肴と言えば珍味三種盛り。貝柱の粕漬け、下記の塩から、へしこにしました。ほかのも食べたい。

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合わせるお酒は「大倉」。どっしりとした奈良のお酒。

珍味三種盛りが最高で、特に牡蠣の塩辛とは運命の出逢いを果たしたって感じ。脳天まで突き抜ける海の味がするよう・・癖のある山廃特別純米との相性抜群で、どこに売ってますか持って帰りますと言いたかった。塩辛いへしこもチビリチビリ大事に食べる。

お酒もご飯もおいしく、かつ私は家から近いので気楽ないい気分。そして「慶」と言えばシメにうどん!グッとコシの入った力強い麺が美味しい。

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春らしくアサリと春キャベツのおうどん。ボリューミーだけど瞬殺。

呑んだ後にうどんっていいよね。小麦粉大好き!荒木さんのぶっかけ冷やしも頂戴した。いい感じで酔ってきたところで夜桜見物へ。谷中霊園目指して暗い夜道をうろうろです。

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怖いくらい綺麗な桜が見られるのに宴会がひとつも行われていないのは墓地だから。

ほぼ誰も通らない夜の谷中霊園の幽玄な桜、目黒川や千鳥ヶ淵とは大違いです。そういえば今年の花見は池上本門寺谷中霊園と、両方墓地でした。桜の下には死体が埋まっている・・。

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昔谷中に住んでいて、上野の仕事も長くしていた荒木さんはずんずん先導してくれる。

桜を堪能したところで、せっかく日暮里も近いし初音小路に向かう。

 

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昭和24年に作られたアーケード横丁「初音小路」。昔ながらの飲み屋だけでなく、隠れ家的なワインバーや沖縄料理屋もある。

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今晩は「C'est qui?(セッキー)」へ。オーナーが関さんのワインバー。

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日本酒のあとにワインという流れ、2日連続だ!

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お通しのフランス風水餃子(オリーブオイルとトリュフ塩がかけてある)がめちゃうま。

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オードブル盛り合わせ。野菜たっぷりが嬉しい。

オーナーは昔ソルボンヌ大学に留学していて、帰国後企業で働いたあと、パリ仕込みの家庭料理を武器に店をオープンしたらしい。バーだけどお料理のバリエーションが豊富でちょっとしたレストランみたい。ワインもバラエティー豊かで選び甲斐がある。同じくパリで駐在していた荒木さん(一応私も)、パリのローカルな話で盛り上がり、いい夜だった。

お客さんの中で、4月に入社して東京に引っ越してきた若い男の子がいて、いきなり初音小路のこの店に来るとは見所があるなぁ。地元山形にも姉妹店があり、そこの人からここを紹介してもらったとか。ピカピカのスーツがちょっとくたびれた頃、初音小路でまたお目にかかりたいものです。