池袋ミカド劇場に行き、吉岡里奈ちゃんの新作絵画を買い、味坊鉄鍋荘に行く
ストリップ日和の好天だ。土曜の朝、起きて最初に思うことがこれでいいのか分からないが、今日の予定はストリップ観劇に決まった。ストリップ劇場は室内なので、天気が良かろうが悪かろうが関係ないが、劇場内に濡れた傘や服を持ち込まなくて済むのは意外と助かる。
向かうは池袋ミカド劇場。4月は好きなストリッパーが都内各地の劇場に乗っているので忙しい。しかし4月中(ストリップは10日毎に踊り子が変わり、1-10日は「頭」11-20日は「中」21-30日は「結」と表す)に入ったらまずミカドに行くと決めていた。2月結にニュー道後ミュージックで出逢った彼女、かすみ玲さんが乗るからだ。関西をはじめ地方巡業の多い方なので都内で乗るチャンスは逃せない。前からストリップ情報サイト「ストリップナビゲーター(通称ストナビ)」で巡業スケジュールを抑えておいた。
ロック座系列のストリップ劇場ばかりに足を運びがちなので、池袋ミカド劇場に来るのはまだ3回目。「ヌード専門館」と掲げられたいかにもらしい看板や外観と異なり、館内は清掃が行き届いていて綺麗。往年の常連客の多いアットホームな雰囲気で、初心者や女性に優しい劇場。SMイベント系には行ったことないのでそっちは分からない。
1回目と2回目を観た。(ミカドは1日4回公演で、入れ替え制ではない)かすみ玲さんは、初めて拝見した道後温泉での第一印象を上回る素晴らしさだった。ルックスの話からで失礼ですが、まず、スタイルが良すぎる。ほかにもスタイルが良いストリッパーはたくさんいるけれど、彼女ほど脚が長く、細く、真っ直ぐなストリッパーは見たことがなかった。最初アスペクト比がおかしいのかと思った。
スタイルの良さではロック座所属の鶴見つばさちゃんも好きだ。彼女の長い脚は心配になるくらい細くて長い。でもかすみ玲さんのおみ足は、なんていうか芯が通っていて生命感と安定感がある。10cmくらいのハイヒールでも楽々バランスを取っている。体幹を鍛えられているのだろう。ベッドで、天高く上げた片脚がスポットライトに照らされて輝いているのを観ると、あまりの美しさにゾクゾクする。きゅっと締まった膝下、ふくらはぎ、足首は彫刻作品のよう。ポーズのキレも良く、時間を止めたかのように微動だにしないのもすごい。たった数秒だってそのポーズはめちゃめちゃ筋肉を使うことを私は知っている。(同じようにポーズを決めようとしてもプルプル震える)
ミカドの盆は回らないけれど、床面にライトが仕込まれており、ストリッパーの裸体を薄いピンク色に染め上げる。かすみ玲さんは、なめらかな仕草で身につけている衣服や下着を脱ぎ、網タイツとハイヒールだけになる。網タイツ!場内にしあわせな空気が流れる。みんなの気持ちがひとつになり、もうみんなで飲みに行こうよ!という気持ちになる。誰とも話したこともないけれど。
かすみ玲さんは、言っちゃ悪いが顔が整ってるというわけではない。とても愛らしい顔立ちだとは思うけれど、当世モデル風の女性の顔(二重まぶたで目や口のパーツが大きく、鼻が高く卵顔)ではない。でもステージに立つとめちゃめちゃ美人に見える。それがすごいと思う。一重の流し目が涼しげで、ぽってりと厚いくちびるがセクシー。女優でも、美人が不美人を演じるのは特殊メイクや努力で見せられるけれど(「モンスター」のシャーリーズ・セロンや「いとはん物語」の京マチ子のように)、不美人が美人を演じるのは難しい。だから安藤サクラさんのように、演じられる対象の振れ幅が大きい女優に感心する。(「百円の恋」の変貌ぶりには目を剥く)かすみ玲さんはそういう魔法を使えるストリッパーだと思う。彼女の舞台は美しいし楽しいけれど、なによりも希望をもらえる気がする。
ポラタイムでご挨拶をした。あれこれ言うのは不粋なので、道後で観て好きになりました!とだけ伝えた。あとはサクッと心付け渡せるようになりたい。
閑話休題。ミカドに久々に来て気づいたことがある。客が面白い。ロック座のお客さんたちもアットホームで楽しいけれど、ミカドはもっとカオスだ。平均年齢は他館同様に高く、60-70代の男性ひとり客がほとんど(週末早い時間ということもあるけれど)。多くの人が若者っぽいキャップを被っていて、なぜシニアになるとみんな帽子を被るんだろうと不思議に思う。
一番驚いたのは、掛け声が許容されていること。ロック座ではあり得ない。歌舞伎の掛け声みたいに、言って良い場面と言葉に関する暗黙のルールがあるのかもしれない。
私の前列に座っていた、かすみ玲さんファンらしき男性(キャップを被った70代)は、彼女がダンスを踊り終わって音響と照明が切り替わるタイミングで必ず「玲ちゃん可愛いーー!」と絶叫する。そしてベッドでポーズを切るたびに「ヒュウ〜〜!」と掛け声をかける。雄叫びのようだった。通常、ポーズを切った時は拍手をするので、その代わりだろう。終演後はハケる際に「玲ちゃん最高ーー!」と。この日の香盤6人中、かすみ玲さんともう1人にだけ、同じように掛け声をかけていた。
ポラタイムは放送禁止用語が連発され、客たちが昂ぶる。まさか池袋の駅前でこんなことやあんなことが行われているなんて誰も思わないだろう。壁一枚隔てれば往来なのに。はてなブログから規制が入りそうでとても詳細には述べられない。ま、ミカドが立地するあたりは風俗店やラブホテルの多い歓楽街なので、どこも似たような状況か。
たっぷり満足し、原宿に移動。大好きなイラストレーター・吉岡里奈ちゃんのグループ展の初日なのだ。
彼女との出逢いは、銀座クリエイションギャラリーG8で開催された、 TIS「東京東 ー下町Discoveryー」展だった。(2017年8月)その後、「秋の熟女まつり」等を経て、吉原カストリ書房での個展「快楽天国・ピンクチラシと昭和お色気雑誌の世界」(2017年11月)で作品を購入した。
今日は「ザ・プレミアム平成ショー」というグループ展。新作も出されるというので初日に急ぐ。今や彼女は飛ぶ鳥を落とす勢いの売れっ子で、熱心なコレクターもいると聞く。『変態紳士』で知られる俳優の高嶋政宏さんもコレクターの1人だとか。
両方いいな~!欲しい!と迷いに迷い、《平成女学苑》はセットで買うべき作品だと判断し、《平成グリーンホテル》に。(《平成女学苑》バラ買いもピンクチラシらしくていいとも思う)
作品は展示会期終了後の引き取りに伺う。迎え入れる準備をして楽しみに待つ。GWにはカストリ書房での個展があるので、そっちも楽しみ。
原宿を出て上野に帰る。この日は肌寒かったので鍋物でも食べたいと思い、アパートの上階に住む福ちゃんを夕飯に誘う。ちょうど湯島の「味坊鉄鍋荘」が空いていたのですかさず入る。中国東北地方の料理つまみながらワインを飲みましょう。
ここはコース料理のみ。鍋1種類+前菜5種類(3,500円)か鍋2種類+前菜8種類(5,000円)選べるのだけど、食いしん坊は2種類が絶対おすすめです。ドリンクはワインリストが充実していて、選んだ鍋に合うワインを紹介してもらえます。
トウモロコシのパン「鍋貼」や饅頭を煮汁に浸していただきます。神田~上野エリアの良いところのひとつは味坊系列の料理屋が密集していることで、どこで何食べても外れがないことがすごい。私はたぶんここ数年、広東や四川より、東北地方の料理を食べている気がする。店内の中国全土の地図を見ながら、行ったことのない地域の話を想像でする。ほんと、中国料理は奥が深い。
おなかいっぱいで愉快になったので、湯島で夜遊びしましょう。家まで歩いてすぐなので終電を気にしなくていいのが楽。福ちゃんとはつくばの学部時代からの仲だけど、もう10年ほど同じように夜型生活で飲み食いしている。
数杯飲んで、身体動かして帰ろー!と向かうはカラオケ。食事→酒→カラオケ→酒と、ほんと、10年間やること変わらないね我々。
同じアパートに歩いて帰った。セブンイレブンで赤ワイン買って、我が家でボトル1本空けた。セブンプレミアムのボルドーのおいしさも10年間変わらない。楽しい1日でした。