盛り場放浪記

花街を歩くことが楽しみな会社員による、酒とアートをめぐる冒険奇譚。

東京都現代美術館のリニューアルオープンに行く+下町酒場めぐり

♪夜風がしみる 屋台の隅で 熱燗二合の 手酌酒 ふた冬越えて 三年め 酔えば聴こえる くにの民謡(うた)――「三年め」歌:奥山えいじ

3年待ちました、何を?東京都現代美術館のリニューアルオープンを!

www.mot-art-museum.jp

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清澄白河駅から徒歩15分ほど。来る途中にある古本屋に寄らなければ。

1995年の開館から20年を経て、経年劣化に伴う諸設備の改修と利便性の向上のため、2016年から約3年間にわたって休館していたのです。MOTへは毎企画展を観に通っていたし、大学生・大学院生時代にアルバイトやインターン学芸員実習などでもお世話になった美術館。日本の現代美術ってオモロイなぁと気づかせてくれた場所です。さて、どこが変わったのかなぁ?

①エントランスカウンターの一新

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前はもっと重厚感のあるカウンターだったけれど、カジュアル感のあるつくりに。遠目からは仮設かと思っちゃった。というか、前の写真と比べたいね、写真どこに保存したかな・・。

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エントランスホール、朝と夕方。光の差し込み方がきれい。ここでファッションショーもできる長~い通路。

②サインの一新

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サイン什器設計は建築家の長坂常さん、サイン計画はアートディレクターの色部義昭さん。軽さのある親しみやすいデザインで、重厚感ある建築とはギャップがある。現代美術の敷居を下げるという意図かしら。ベニヤ、日に焼けたりしないかな?経年を見守ります。

木場公園側のアプローチを軸としたパブリックスペースの整備

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喫煙所がなくなっていた・・!!その代わり、親子などが飲食しやすそうな什器を設置。夏場はパラソル立てたい。

④美術図書室の改装

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この日は入室せず。今度行きます。他館のポスターやチラシがにぎやか。

⑤レストラン、カフェ&ラウンジに新店舗がオープン

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Soup Stock Tokyoが展開するレストラン「100本のスプーン」は大賑わい。ファミリーレストランという位置づけらしい。単価は1,500円くらいかしら。

ミュージアムショップの再オープン

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MOTグッズが増えたくらいで、ラインナップは変わり映えせず。いつも横尾忠則グッズとアンディ・ウォーホルグッズを見ている。

さて、「百年の編み手たち - 流動する日本の近現代美術 -」は企画展示室3フロア全てを使って、1910年代から現在までの新進気鋭な作品を紹介する展示で、かなりのボリューム。14章(!)もあるのにずっとテンションが変わらず、施設じたいはカジュアル感をウリにしているのに展示は「多い」「重い」「媚びない」姿勢がよかった。疲れたら休んでもいいよというスタイルなんだろうけど、一方通行動線だから途中でカフェなんかに抜けられないので、子どもには疲れるかもしれない。あと、学芸員さんによって担当章が違うのか、解説文のフォントサイズがちょいちょい変わるのが気になった。

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撮影可能スペースは少なめ。最近流行っている作品の高さをバラバラにする展示、上の方が見づらいのよね。照明ちょっと変わった?

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吹き抜けの会場は絵画の仮設性がテーマ。会田誠さんの作品、ビールケース似合いすぎる。

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黒田清輝《智・感・情》オマージュした梅沢和木の作品。「感」ポーズ!

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五木田智央さんの「PEEKABOO」展(東京オペラシティ アートギャラリー)思い出した。

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手塚愛子さんの作品。布から鮮血が噴き出しているかのよう。広い空間で見応えがある。

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こちらはコレクション展。宮島達男ルームは健在。床の反射が格好良い。

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映像作品の近くにイスを置いている展示室もあった。ありがたい。長い作品だと、面白くても立ちっぱつらくなるのよね。

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キャプション見やすい。紙を載せて止めるスタイル。

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トイレ、きれいになっていた!

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水と石のプロムナードが好き。建築の構造がよく分かるので行くべし。

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美術館には珍しく水に囲まれている。たまに鴨もいて、見かけたらラッキー。

館内所要時間は、展示だけなら2時間、建築やショップも見るなら3時間半、カフェに寄るなら4時間てところか。めちゃくちゃコスパいいですね。ちなみに私は、最初16時前に来たんですが、閉館18時の時点で企画展ようやく観終わったくらいでした。コレクション展に一歩も入れなかったので、翌日朝から行ってリベンジしました。

そんな2日目。午前中MOTたっぷり観て、次に向かうは清澄庭園清澄白河に来てMOTだけで帰るのはもったいない。

www.tokyo-park.or.jp

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1932年開園で、東京都指定名勝に指定されている由緒ある清澄庭園サトザクラが見頃。

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池に突き出るようにして建てられた数寄屋造りの建物「涼亭」。集会施設として破格の値段で利用できる。

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亀が大量に生息していて甲羅干ししていた。自然発生?

3年前は、清澄白河に来たらMOTの帰りに「アートの最前線」とも呼ばれていた倉庫ビル「清澄白河ギャラリーコンプレックス」に行って、現在進行形で活躍している現代美術を観たものです。作品を収蔵するMOTと販売するギャラリーコンプレックス、両方行けるのは魅力だった。今はギャラリーは天王洲などに移転しちゃって、時代の移り変わりを感じます。

さて、下町エリアの魅力は酒場です。MOTに来たらみんな夕方どこに行く?おすすめは門前仲町錦糸町です。両方電車でも行けるけど、徒歩圏内なので散歩も楽しい。

A 門前仲町

渋い佇まいをした酒場が多く、ローカル感を楽しめる。一時話題になった富岡八幡宮へも行ける。ラブホはない。

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闇市起源の辰巳新道。50mほどの路地に30軒以上の飲食店が並ぶ。

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ニューもつよしの赤提灯はフォトスポット。(私しか言っていない気がする)

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大衆酒場の見本のようなお店「だるま」。美人姉妹が切り盛りしている。

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サラダ盛り合わせを頼むとマカロニ・ポテトサラダが来る。炭水化物LOVE!もつ煮は味噌ベースで下町らしく甘め。

 「だるま」はカウンターに座ると、自然と周りのお客さんとトークが始まる。この日は「だるま」に週5で数十年通うおじさん(もはや店員?)に出会った。門前仲町のおすすめ飲食店を教えてもらい、この日は「南光軒」へ。

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懐かしさを感じさせる昔ながらの町の食堂「南光軒」。なんてことない中華そばが食べられる。

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食後のラーメン。町中華でビールとシュウマイつまむの好きなんだ。


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B 錦糸町

錦糸町のいいところはラブホがたくさんあるから、帰りたくなくなっても大丈夫なところです。ゴマキの行ったラブホはどこだろう?場所によって治安が悪いけれど、楽しい歓楽街です。

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飲み屋街の中心に位置する代表的酒場「三四郎」。1951年創業。もつ焼き、焼鳥、鰻が名物ながら、カツ丼があったりと食堂の名残も品書きに残る。

おまけ 錦糸町のラブホテル

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錦糸町のラブホテル「SARA」は部屋中に無駄に仕込まれた照明が見所。寝るときに全部消す必要がありますが広くてきれい。

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おすすめ「明日香村」は全室が「和」をイメージ。旅館に来たかのようなムードがあります。

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玄関のつくりに気合い入りすぎ。岩!?室内も場末の温泉旅館風でナイス。

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何といっても驚くべきは浴室です。本物の岩を設置して岩風呂の風情を出そうとしています。岩はFRP製ではなくマジモンで、どこから運んできたのか?岩の代わりに浴槽広くするべきでは?掃除大変じゃない?と突っ込みどころ満載。

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室内に山本晋也のサインがあった。『トゥナイト』『トゥナイト2』あたりで取材したのか?ほとんどビョーキ。

MOT、行きたくなったでしょうか。アートあり、自然あり、うまい酒場あり、変なラブホありの楽しい下町エリア、ぜひ一度お越しください。