盛り場放浪記

花街を歩くことが楽しみな会社員による、酒とアートをめぐる冒険奇譚。

新緑の季節、三溪園に行く

去年、加藤種男先生の『芸術文化の投資効果 メセナと創造経済』を読んで以来、暖かくなったら三溪園に行こうと決めていた。

芸術文化の投資効果 メセナと創造経済 (文化とまちづくり叢書)

芸術文化の投資効果 メセナと創造経済 (文化とまちづくり叢書)

 

 で、お天気のよさそうな日を選び、連休中に行きました。お天気がよいので、前日泊まっていた寿町から歩いて行きました。だいたい40分くらい。本牧のあたりは久しぶりだったのでお散歩も楽しい。

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青空がきれい。ハマは海の印象が強いけれど、川の景色も好き。

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本牧周辺の商店街がシブい。どこかで朝ご飯を食べようとしたけれど喫茶店すらない。

むかし磯子の方に住んでいたので、三溪園にはよく連れて行かれたらしい。ほとんど覚えていないけれど。初めて行く心持ちで、いざ。

www.sankeien.or.jp

実業家として成功を収め、芸術を愛した原三溪がつくりあげた理想郷、三溪園。面積はなんと175,000㎡。広大な敷地のなかには、京都や鎌倉など歴史的建造物も数多く移築しており、横浜版たてもの園としても楽しめる。いち個人がこれだけの規模の庭園を作り上げたことは驚きに値する。戦後、三溪園横浜市に寄贈され、維持管理も横浜市がしている。(もっとも、維持管理すべき項目が多すぎるので、庭や道の整備なんかは下請けの下請けに出され、最終的に寿町のおじちゃんたちの日雇い仕事になっていたりする、と寿町の飲み屋で聞いた。)

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感想は、どの風景を切り取っても美しいこと。どこから見ても破綻せず、個性ある風景が見られる庭園ってなかなかない。おかげで写真を撮りまくってしまう。季節ごとに楽しめるんだろうな。通う人の気持ち、分かるわぁ。(煙突のことは気にしない)

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初めて全体をまわるならば、春か秋がおすすめ。なぜなら夏は直射日光と暑さで死ぬからです。秋も紅葉シーズンは寒いかも。起伏が激しいので歩きやすいスニーカー推奨。

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展望台を上ると、工業地帯が広がっている。運がいいと富士山が見えます。見えました。

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「旧矢箆原家住宅」は大きな茅葺屋根が印象的な合掌造の建物。気分は岐阜。

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館内、2階で古い民具の展示を行っています。照明も少なく、外から来たうちは目が慣れずに展示に気づかない人もいるけれど、なかなか見応えがあります。

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扇が彫られた欄間も見所。畳や襖もきれいで、大事に手入れされていることが分かります。

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畳があると寝転びたくなります。お行儀悪いですが、ひんやりして気持ちいい。なんだかアラーキー風な激写。

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茅葺きや建築を持たせるため、年末年始以外、囲炉裏には火がくべられている。家の中は煙たいけれど、たまりません。

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三溪記念館では、原三溪に関する資料、三溪自筆の書画、 ゆかりの作家作品や美術工芸品、臨春閣の障壁画などを展示。定期的に展示替えをしているみたい。

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旧燈明寺本堂で、美術保存修復センター横浜による、文化保存修復の紹介(油彩画、掛軸、仏像など)が行われていました。

マップを見ながらうろうろ歩き、2時間半ほどで見学可能施設をコンプリート。きらきらきらめく新緑のなか、一生懸命配置を練られた庭園の道を散策し、命の芽吹きを感じさせる春の植物や、大切に使われ続ける古建築を見た。連休中と言えども混雑でごった返すことはなく(そりゃそうだ、こんなに広いんだし)、むしろヒト気の無い空間のほうが多い。結婚式の前撮りする花嫁・花婿さんとすれ違ったり、和服を着た外国の方が楽しそうに写真を撮っていたり、赤ちゃんを連れたファミリーがベビーカーを押していたり、原さんが生きていたら見せてあげたい、幸せな光景が多かった。時代が変わっても愛されていて、いいなぁ。大事なひとと来たい場所だ。いつかまた来られますようにと三溪園天満宮にお願いしたので、きっとまた行きます。

横浜美術館の次回の企画展が原三渓コレクションなので、原さんにはすぐ会えそうです。またねー。

harasankei2019.exhn.jp

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すべり込み餃子。街中に戻り、餃子の翠葉 本店にて。リーズナブルで量が多い。