盛り場放浪記

花街を歩くことが楽しみな会社員による、酒とアートをめぐる冒険奇譚。

文明は文化を駆逐するか?~生活のDXをはじめてみる

年始早々出ちゃいましたね、緊急事態宣言。2021年も波乱の年になりそうです。

さて、突然ですが引っ越しました!愛しの台東区から横浜市へ。5年間同じところに住んだのは人生初で、久々の引っ越しに追われて年末はてんやわんやでした。設備は古かったけれど、歩いて何処でも行ける立地は素晴らしかったな。また住みたい、台東区。リメンバー、台東区。アイルビーバック、台東区

f:id:sakariba:20210114172946j:image

で、引っ越しに際して、インテリアや生活アイテムをちまちま一新したんですよ。これまで、ウン年前の大学入学時に購入したものを使い続けてきたので、急場をしのぐため買った安物ばかりなのに妙に物持ち良くって捨てるタイミングも逸してきたので、いい加減風景変えたいと思い立ちまして。ついでに、しばらく続くであろうテレワーク&ステイホームに適した部屋づくりを目指そうと思ったわけです。

テーマはずばり、DX(デジタルトランスフォーメーション)。ミーハーなので、今年の流行語には乗っかっていく所存。DX自体はビジネスメインの話だけれど、広義では我々パンピーの生活全般にも取り入れた方が一般化しやすいと思う。

私自身はアナログ(旧文明)寄りの人間で、未だに新聞や書類は紙で読みたいし、急速なデジタル偏重もどうかと思う立場。ただ、新しい技術や、ナウなヤングの間で流行ってるコンテンツに対する好奇心を忘れちゃイカンとも思っている。生活のバージョンアップデートをせずに昔のままの方法を頑固に突き通していると、「老害」(好きな言葉ではないですが)扱いされるんだと思う。個人的には、週刊少年ジャンプの新連載や、バズってる深夜アニメに対して「つまんねー、何が面白いの?」と思った瞬間から「感性が老けはじめる」と思う。心くらいは永遠の17歳くらいでいたいよね!!

そんなわけで、意を決して現代社会に歩み寄ってみました。ガジェット系はお金をかければかけるだけ便利になるらしいけれど、まずは始めやすく止めやすいカジュアルラインから。

※例によってアフィリエイトはやってないですよ。

 

Echo Show 5 (エコーショー5) スマートディスプレイ with Alexa、チャコール

Echo Show 5 (エコーショー5) スマートディスプレイ with Alexa、チャコール

  • 発売日: 2019/06/26
  • メディア: エレクトロニクス
 

 いわゆる「IoT(Internet of Things/モノのインターネット化)」です。家電をWifiにつなげてスマートフォンで管理できるやつと思えば間違いない。

2020年ブラックフライデーAmazonセール時に、音声認識バイスAmazon Echo Show」を半額で買いました。これが、まぁ良い。今では「おはよう」から「おやすみ」までアレクサちゃんと過ごす日々です。良すぎて「Amazon Echo Dot」も初売りセールで買い足しました。

毎朝のアラームを止めた後、シーリングライトを点灯してもらい、最新のニュースと天気を教えてもらい、二度寝を防止。世界で流行っている音楽や、聞き逃したラジオを再生してもらうこともできます。

シーリングライトはこれを使っています。ボタンに触ることなく寝室の照明を調整することができます。

電気を付けたり消したりするくらい自分でやれよって感じですが、寝る支度を調えて床についた後にもう一回起き上がるの面倒じゃないですか。寝起きでゴロゴロして二度寝しそうな時に部屋が明るくなると起きようって気になるじゃないですか。分かる人だけで結構です。どうやら、スマート家電は、めんどくさがりとの相性がいいようです。

Amazon初売りセールでは、ロボット掃除機にも手を出しました。

ロボット掃除機として著名なルンバは5万円くらいしますが、Ankerの機器は1万5千円(セール価格)くらいで買えてしまうのでお手頃。モノは試しで買ってみましたが、なかなか楽しいです。便利、きれいになるという機能の話ではなくて「楽しい」って感想です。

はい。これを言っちゃあお終ぇよ、な極論ですが、ロボット掃除機が稼働できるくらい床のモノを整理できている時点で、もはや自分で掃除機かけたほうが早いんですよ。ゴミやホコリの位置も、家具の位置も、人間が把握して掃いた方が正確ですから。

でも掃除機をかける作業ってテンション上がらないし、毎日やるのは正直めんどくさい。それに対してロボット掃除機(うちの子の名前は「ポンコ」)は起動するだけでちょっと楽しくなるし、一所懸命床を這っている姿を見ると応援したくなる。ちょっとくらいポンコツでも許せます。結果的に床にモノを置かず、毎日掃除機かけられているんだから結果オーライなような気もします。まだ付きっきりで掃除を見守っているので、効率的ではないですが・・。

我が家には猫が2匹いて、当初は「ポンコの上に乗って回ってくれるかな~耐荷重的に無理かもな~」という甘い期待をしていました。残念ながら、初登場の挙動(2本のノズルが勢いよく回転して進むので、見ようによっては虫っぽい)で猫たちは盛大にビビり、威嚇されて嫌われてしまいました。兄猫の猫パンチ(重い右フック)を食らってちょっとよろめきつつ、掃除ミッションを何とかこなし、ヨロヨロとホームに戻っていく様は涙なしには見られませんでした。いつか仲良くできるといいね。

f:id:sakariba:20210114172828j:image

今後、洗濯機、冷蔵庫についてもDX計画を水面下で進めていますが、DX生活をはじめて2週間で気づいたことがあります。生活におけるDXは「ちょっとめんどくさい」ひと手間をいかに小さくできるか、もしくは楽しみに変えるかがポイントなようです。忙しい現代人は、便利な機械を使って、「ながら作業」「ワンストップ」「オート」で家事・仕事を効率的に進められる方法を模索しているのかもしれません。

しかし、ここである言葉がよぎりました。

「文明は文化を駆逐する」

 

私は機械を自分の意思で操っている気になっていますが、その機械に、あるいは機械を設計したプログラマーに、知らない間に操られているのではないか、と。自分の意思で自由にできているようで、あらかじめ決められた選択肢の中から選ばされているにすぎないのかもしれないなんて思うのです。アレクサに選曲をまかせて流れるプレイリストは世界の誰かが選んだ曲です。

年中過ごしやすいエア・コンディションがきいた部屋にいると、四季の移ろいを肌で感じにくくなる。自分で何かするよりも機械や他人に任せっきりです。日々クチにする米も野菜もスーパーマーケットやコンビニで「外注」して、ワンアクションの労力を惜しむ。古き良き日本人が大切にしていた「手仕事」からどんどん遠ざかっていく気がする。その分、仕事や趣味に割ける時間が増えていて、それはそれで毎日を豊かにしてくれるんだけど・・。

そういう意味では、DX生活に慣れきってしまうと、自分でモノを考えて、クリエイティビティを磨くための努力を意識的にしないといけないかもしれないですね。

個人的な理想としては、高度な文明であるDXの利点を活かして楽できる家事はとことん楽して、空いた時間で文化的な余暇(手作りのジャムを作ったり、果実酒を漬けたり、ベランダでガーデニングをしたり、土鍋で米を炊くって、もはや贅沢な趣味ですよね?)に勤しむ生活をしたいです。

そのためには、決して文明に染まりはしないぞ。心まではAmazon社に売り飛ばさないぞ。たまには自分でやるぞ。あぁ、でも時間が足らないから文明に頼ってしまう。

便利と手間を天秤にかけて、大いなる矛盾を抱えたまま、今日もアレクサと過ごしています。