マリグナントを観ルグナントした
先週は映画好きのタイムラインがにわかに騒がしかった。
「マリグナントを観るぐなんと」「マリグナントまだ観てないぐなんと…」
そう、言わずと知れたホラー映画界のヒットメーカー・ジェームズ・ワン監督の最新作「マリグナント 狂暴な悪夢」の公開が始まったのです。
ジェームズ・ワン、誰それ?って方も「SAW(ソウ)」シリーズや「死霊館」シリーズは聞いたことあるんじゃないでしょうか。新時代のホラー映画をいくつもぶち上げてきた稀代のホラーエンターテインメント監督です。斬新な設定、破天荒なカメラワークが人気で、観客を怖がらせたり喜ばせることが何より好きな、サービス精神あふれる方。邦画で言うと清水崇(「呪怨」シリーズ、「犬鳴村」など)的存在でしょうか。もっとスゴイスケールだけど。
「マリグナント」、一般人には絶対進められないけどホラー映画ファンは必見だわ。ジェームズ・ワンの2021年集大成って感じ!
「SAW」で培った謎が謎を呼ぶサイコスリラーストーリー、「死霊館」「インシディアス」で見せたオーセンティックな恐怖演出、「ワイルド・スピード」「アクアマン」で鍛えた超絶カメラワーク、そのすべてが暴力的に合体・魔改造されて、誰も観たことがない18禁ホラー映画が爆誕してしまった。全部乗せカロリーマシマシだけど、不思議と胃もたれせず食後スッキリなのが高評価。
映画のジャンルすらよくわからない作品。ホラーで、アクションで、ミステリーで、オカルトで、スリラーで、ちょっとコメディで、ハートフルで、バディもので…。あ、でもゴア(人体損傷)描写が多いので苦手な方はご注意を。作中の死者数はかなりのもんです。
ホラー映画にありがちな、ストーリーのテンポを狂わす無能キャラクターや、ちんたら進む恐怖演出がほとんどないことも魅力!主要キャラはみんな有能でサクサク謎が解けるし、恐怖を味わうキャラは即死ぬ!後半は5分ごとに15人くらい死ぬ!
『マリグナント』を観た映画垢がどうしてこんなに絶賛してるのかというと、ジェームズ・ワンの身内感が半端じゃないのよ!地元でくすぶってるホラーヤンキーの鳥貴族飲み会に大都会で成功したジェームズ・ワンがフェラーリで乗りつけてイッキ!イッキ!なのよ!俺、変わってね〜から!カッコいいのよ! pic.twitter.com/6ifpHVj89f
— ブッシュマン (@zonbi5bloodbath) 2021年11月14日
分かる。ハリウッドの規模感で身内飲みをしている感覚。ジェームズ・ワン監督は今や新世代の大監督として名をはせているのに、いまだに「マリグナント」みたいなテンションのおかしい映画をつくってくれるのが好き。
「マリグナント」の実家と「プロミシング・ヤング・ウーマン」の実家が同じだった。屋外撮影向きのロケーションだもんな pic.twitter.com/4IRRmL194N
— 🍋ぴちょむ🍑New! (@FQKliRrmVYXkiep) 2021年11月13日
ほんとその通りで笑った。治安悪すぎるよこの家。
いいか!
— ブッシュマン (@zonbi5bloodbath) 2021年11月13日
俺を含めて『マリグナント 凶暴な悪夢』の内容を口走らない映画垢の連中は今こんな状態なんだ!
もう、限界が近い!
早く、劇場に観に行くんだ!
耐えられないよ! pic.twitter.com/iR3Peurd4L
ネタバレ厳禁令が出ているので、肝心のディテールを喋れなくてつらい。諸悪の根源の正体は「狂暴」としか言いようがなくて、「ヴェノム」的ダークヒーローとして人気出るんじゃないかなぁ…。ちなみにタイトルのマリグナントは「悪性」などを意味する言葉らしいです。
土曜の夜、横浜ブルクのレイトショーでホラー映画をニコニコ観ているすっぴん三十路という、モテない要素しかなかったけど楽しかった。
その昔二十歳ごろに付き合った人とは、初対面のバーカウンターで好きな映画の話になって、「今『富江』シリーズ全部観ているんですがアツいですね!伊藤潤二原作のホラー映画なんですが、時の美少女と新進気鋭の監督が毎回ハチャメチャな味付けをするんですよ。初代は菅野美穂が富江役で生首姿を披露するんです~!」とニコニコ喋った記憶が蘇る。ここからどうやって恋愛に発展したのか本当謎だ。
http://comip.jp/spinel/cbs/c1171/c118-1193/
尊敬する人は「邦キチ!映子さん」の映子さんです。
今週は神保町シアターで「夜の女たち」(1948年公開、溝口健二監督)も観た。
観始めて気づいたけど、23歳くらいの時にわざわざレンタルして観ていたわ。当時は画面が暗くて見づらかったので、やっぱ劇場で観るのがいいね。内容自体は「肉体の門」を思わせる戦後ドサクサモノで、パンパン(娼婦)に落ちた女たちの悲劇的な物語。ちょっと説教じみているのは好みでない。荒い脚本なんだけど、溝口健二らしくひとつひとつのシーン演出はすばらしく、田中絹代の演技が光っている。
今週は神保町シアターで「暗夜行路」を観ようかな。シネマヴェーラの日活ロマンポルノ特集と新文芸坐の昭和女優祭りも捨てがたい。あ、007の最新作を早く観ろって感じですね。でもあれはロングランやってそうだから後回しでもいいかなって。あ、12月10日は「ラストナイト・イン・ソーホー」始まるじゃん!やっほぅ!
…年内には007観ます。