盛り場放浪記

花街を歩くことが楽しみな会社員による、酒とアートをめぐる冒険奇譚。

年末年始だらだら日記③

もうタイムアップだ。2022年のうちに韓国旅行記を書いておくつもりだったのに。予定外のストリップ感想文に力を込めすぎました。諦めて新年に持ち越します。

 

今日読んだ本。読みかけ含む。今年の出物は、弘前のセレクト本屋で見かけて買って以来ハマった季刊誌「tattva(タットヴァ)」。既刊ぜんぶ揃えちゃったよ。

ポストコロナのビジネス&カルチャーブックというコンセプトで、毎号「なるほどね(ニヤリ)」と唸らせる視点の切り口で存分に議論を広げている。アカデミックに身を置いていなくても学問し続けたい大人のための雑誌という感じ。哲学、美学、芸術学、社会学等、つまりは人文学をツールとして活用しながら様々な社会問題を考えている。学術誌とカルチャー誌のあいのこみたいな存在で、これまでありそうでなかった。執筆陣もバラエティ豊かですが、装丁や書籍デザインも凝っていて見ものです。

bootleg.co.jp

そのほか面白そうな新刊。1月中に1本原稿を書くのでその助走として。

 

映画館納めはジャックアンドベティでした。

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「ソウル・オブ・ワイン」を観ました。

ワイン愛好家の聖地として知られるフランスのブルゴーニュ地方を舞台に、ロマネ=コンティなど、世界最高峰のワイン造りに魂を注ぐ人々の姿をとらえたドキュメンタリー。

mimosafilms.com

 

ロマネ=コンティをはじめとしたブルゴーニュ地方のドメーヌに密着取材をして、四季を通してワインができるまでを学べる映像作品だった。

生産者や樽職人たちが土壌(テロワール)や生育環境といったワインづくりに関わる自然の真理について、ソムリエや醸造学者たちがワインやその歴史について語る内容は実に深く、哲学的でさえある。本編は、ナレーションなし、音楽もなし!説明的じゃなく絵画的なの。空に流れる雲を映したカット、畑に雨が降り注ぐカット、静かに熟成を続けるワイン蔵のカット、そのどれもが詩情に溢れていた。日本でもこういうドキュメンタリー作ってほしい。禅的な感じで。

作中、ワインに一家言あるフランス人たちがさんざん言葉を尽くして「ワインとは何か」「目の前のワインについて」語るのに対し、最後の最後に日本人ソムリエとシェフが登場して、1945年のワインの口にして「何も言えねぇ」と絶句しているのが良い「オチ」となっていた。あと、試飲する醸造家たちのシーンで「ウマすぎる。とても吐けない」とコメントしていたのが面白かった。味わうことと飲むことは別なんですよね。私なら飲んじゃうわ。

 

年末は、おおごちそう三昧でした。
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明治五年、初代橋本吉蔵によって開業された「わかな」へ。

www.yokohama-wakana.com


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鰻、食べた瞬間から力がみなぎる回復食です。鰻自体も美味しかったですが器や内装も素敵でした。タレがキリっと締まっているのに後味も豊かでよかった。肝吸いも肝たっぷりで。

 

中華街もにぎわっていた。この龍の灯り見ると年末年始って感じ。今夜は爆竹ですね。
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無性に激辛麻婆豆腐が食べたくなったので、「四川麻婆」で陣麻婆豆腐をいただきました。

tabelog.com

「激辛」はたっぷりの山椒が効いてしっかり辛い。痺れる。でも美味しい!成都の陣麻婆豆腐を思い出させる本格派でした。
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上海蟹がいたので蒸しで頼んでしまいました。久しぶりだね…。香水のような華やかな香り、ねっとり濃い黄身の味が大好きです。金で買える恍惚の時間。

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殻に紹興酒を垂らして最後まで楽しんじゃう。指やネイルが汚れるのもお構いなしだぜ。
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とは言え、やっぱ餃子〆でしょ。酢胡椒たっぷり付けてサッパリと。餃子+ビール=約束されたハッピーエンド。
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大掃除…とまではいかない小掃除を終えて。

つくば時代からお世話になっている大先輩から毎年いただく卓上カレンダーを入れ替えたら、新しい年を迎える準備は万端だ。

 

2023年はもっと色んな文章を書く年にしようと思う。大学、大学院、社会人と10年以上色んなことにチャレンジしてみたけれど、結局いちばん追及したいのは「書くこと」だった。

自分がやりたいこと、自分に向いていること、自分に求められていること。たったひとつ磨きたい何かを模索する時間だったように思う。

ひとまず来年の目標は、1本小説を書くこと。これまで論考や批評、エッセイ的な文章ばかり書いてきたので、あまり取り組んでこなかった文学に手を出してみたいと思っています。書きたいこともようやく見えてきたので。物語を紡ぐための手段として言葉と格闘してみたい。のんびり、自分なりの文体をつくっていこうと思います。

 

これから友人たちと年越しそばを食べて、除夜の鐘を突いてきます。よいお年をお迎えください。
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