盛り場放浪記

花街を歩くことが楽しみな会社員による、酒とアートをめぐる冒険奇譚。

韓国に行こう②念願の釜山ビエンナーレ編

そんなこんなで、釜山に来た。(ここまでの道中は前記事参照)

sakariba.hatenablog.com

 

ホテルに荷物を預けて、釜山ビエンナーレのメイン会場・釜山現代美術館へ向かった。釜山も公共交通機関が充実していて、地下鉄とバスを使って大概の場所に行けた。

www.busanbiennale2022.org

釜山現代美術館。街の中心部から少し外れたエリアに位置し、その代わりにバカでかい敷地面積を有する。立ち位置的には東京都現代美術館に似ている。建築の外壁にグリーン(本物だった!)が生えている。

館内に入り、天井の高さに驚いた。平日なのであまり混んでなく。ビエンナーレは街中にポスター等もないので知名度は低そう。時期も時期だったし、この展示を観た日本人はかなり少ない気がする。

今回のビエンナーレは「We, on the Rising Wave(私たちは、立ち上がる波の上で)」というテーマのもと、26ヶ国から64組のアーティストやアート・コレクティブが参加。「移住」「労働と女性」「都市の生態系」「技術の変化と場所性」をキーワードに、世界各地の都市の出来事や状況を掘り下げ、結びつけることで、現在を包括的に理解しようと試み。

知らなかったのだが、1950年の朝鮮戦争で首都ソウルが陥落した際、釜山が臨時首都に指定された過去があった。釜山には大量の難民が押し寄せ、人口が劇的に増加した。そして(韓国にとっての)戦後、釜山はアジア最大級のハブ港湾として経済発展を遂げた。

ロビーにロボットがいた。動いていなかったので何をするのかは不明。

第一室。この天井高、まさに現代美術館。会田誠さんが以前Twitterで書いていたけれど、近代美術の展示はそこまで天井高を必要としないけれど現代美術には必須らしい。東京国立近代美術館現代アート観ると少し窮屈そうだもんなぁ。

この作品は、イギリス人作家の作品だが、釜山の漁船が使っているのと同じ網が鉄柱に立て掛けられていた。港湾都市としての釜山の歩みを象徴した作品であるようだった。

キャプションは韓英併記でした。英語は難しい言い回しが多かったので、翻訳アプリで韓国語の方訳して読みました。

昔と今の釜山を比較する写真が面白かった。やはりここ数十年で急激に近代化が進んだらしい。マンション群など巨大な建設物

天井高…。搬入口ここにあるの便利ね。

国際展なので作家のバラエティー幅広かった。

平日だけど鑑賞者は若い人が多かった。日本はシニア多めなので新鮮。

攻めてる作品も。官能的な映像作品よかった。

廊下のベンチで寝転がってる人が居て、アートかと思った。

キッズライブラリーが巨大でオシャレ!

オレンジの建屋があって、何だこりゃ?と思ったらカフェだった。入口ちっさ!

カフェの内装も不思議。不思議の国のアリスみたい。

アーカイブセンターも立派。調査結果の展示もあった。

屋外展示もあった。アヒルちゃんがいる。

近づいたらこんな構造で。登れました!

ショップは意外と小さく、オリジナルグッズも少な目。サコッシュが可愛かったので買いました。

ビエンナーレ楽しんだ後はバスと電車で移動し、国際市場方面へ。赤と黄色のパラソルがパワフル。フルーツジュース美味しかった。

たこ焼き?食べたよ。

映画「国際市場で逢いましょう」観直したくなりました。

露店で有名ブランドのコピー商品が売られていました(載せていいのか?写真OKとのこと)。単なる質の悪いコピーではなく、ロゴの改変具合がユーモラスで笑っちゃった。

たくさん歩いてホテルに戻った。スタイリッシュな部屋です。買い物スポットとしてはソウルに引けを取らないね。単純な値段なら釜山の方が安いかも。

済州島の空港で衝動買いした限定チャミスル。持ち歩いてたら道行く人たちに「いいね!」「済州島チャミスルは美味いよなぁ」と話しかけられるなど。

ホテルの屋上から見た景色。釜山駅至近なので電車好きにはたまらんね。

夕食に行こうとホテルを出ると、地面にショップカードが散らばってた。デリヘル的なマッサージのチラシらしい。呼ぶ人がいるんだろうか…。

夕食は、済州島の子が教えてくれたお店へ。「タコ鍋を食べるならココが一番」とのこと。観光地ではなくローカルエリア。

メニューを翻訳しながら店員さんにオーダー。

薬膳スープを煮立たせて生ダコを放り込む。店員さんがハサミでジョキジョキと切り、サーブしてくれる。ピンク色に湯だったタコがたまらなく美味しい。

カンジャンケジャン!ワタリガニのもつ濃厚な味わいと、にんにくや生姜と一緒に漬けた醤油ダレが絶妙にマッチ。酒泥棒!無心で食べてしまう。

ホテルに戻ったらデリヘルカードが増えていた。誰が撒いてるんだこれ。

翌朝。今日もいい天気。

朝ごはんは釜山駅前のAWESOME CAFEで。チェーンだけど内装が素敵です。ブルーベリージャムとチキンのサンドというオシャレメシ。美味しかった!

バスと電車を乗り継ぎ、釜山ビエンナーレの影島会場へ。Google Mapで移動したがちょっと迷った。この写真は最寄りのバス停降りたところでしたが、会場はここから海に降りたあたりでした。

ビエンナーレはほとんど案内がないので、この矢印を見つけて安堵。ドデカイ倉庫が会場でした。

chim↑pomの作品。日本のどぶろくと韓国のマッコリのハイブリッド酒「ドブロッコリ」を考案し、ビエンナーレ公式ドリンクとするプロジェクト。マッコリもドブロクも、ともに「自宅で容易に醸造できるアルコール度数の高いにごり酒」という共通点がある。どちらも日本政府によって醸造が禁止されたが、釜山では当局からの監視に抵抗して醸造が続けられた。

 

影島(ヨンド)は、日本統治時代の1912年に朝鮮半島初の近代式造船所がつくられた地区。1970~80年代には20万人以上の人口を擁したが、現在は造船業の陰りによって人口は半減。で、そんな歴史ある影島の造船所跡が会場。

近くの巨大な建物、P.Ark Cafe & Bakery。階段部分に自由に座れるようになっていたり、港湾風景を借景にしていたり、素敵な設計。

続いて、釜山港に設けられた会場「第1埠頭」へ。こちらもバカデカイ。

この第1埠頭には、より深く「海」について意識させられる作品が集められていた。

この作品がよかった。作家は、1985年韓国生まれの作家、ソン・ミンジョン。1945年神戸生まれの「春子」という架空の日本人女性の物語。23歳のときにエンジニアの夫の赴任に伴い釜山に越してきた春子が、工場で働く同い年のチュンジャ(韓国語で「春の子」を意味する)と出会うというストーリー。

釜山ビエンナーレ、良かった。国際展としてのレベルの高さに圧倒された。各作品も見ごたえがあるし、何より会場選定が良かった。公共交通機関を使いながら2日間で見終える規模感で、ふだん行かないエリアや歴史的地区に足を運ばせて、街や人について考えさせ、想像させる。大きな歴史と小さな歴史が交錯する街・釜山。その巨大なうねりの上に立ち、懸命に生きてきた人々の生きた証をたどるような構成となっていた。

観光やエンターテインメントに媚びず、文化発信としての矜持を感じさせる事業をやり切る手腕をふるう釜山市スゲェ。現代美術館も素晴らしい施設だったし、アートにおいては完全に日本を超えたんじゃないかなと思ってしまい、ちと寂しい。

 

夕方にソウルに戻るので、それまで最後の釜山観光。どんかつ定食気になる。

ランチはオカズたくさん韓定食。おいしかった~

安アクセサリー屋。天井までビッシリ。バラマキ土産によさげ。

コロナの影響か空きテナントもチラホラ。

ピンクの可愛いお店、コスメかな?と思ったらアダルトショップだった。コンドームの陳列方法が斬新。膨らませて形や印象を見せるとは。

韓国高速鉄道KTXでソウルへ。

ソウル駅着。

釜山は1泊しかできなかったので後ろ髪引かれる思いです。釜山ビエンナーレ2024はもちろん、いずれ釜山万博が開かれそうだし、この先何度も来るかもしれない予感がある。九州から船で行ってもみたいな。次回はもうちょっと歴史の勉強もしておこう。