盛り場放浪記

花街を歩くことが楽しみな会社員による、酒とアートをめぐる冒険奇譚。

世界は贈与でできている~バレンタインの必勝法

ちょっとした手土産を買いたくて、新宿で友人たちと食事するついでに高島屋に寄った。お相手に「オッ」と思わせるようなイカした手土産を買いたい時は伊勢丹一択ですが、今回はビジネスパートナーとの初対面で手ぶらはカッコつかないからという理由なので高島屋で(食事先から近かったからとも言う)。

 

手土産。

「手土産のセンスに本質が現れる」とまでは言わないが、せっかくなので貰って嬉しいモノをあげたい。どうせなら楽しく買い物したいし、守りに入ったワンパターンもツマラナイ。鼻息荒くしてデパチカを流す時間は結構スキだ。

「冷やかしじゃあないのよ、買い物するんだからね」と心で唱えていると「客オーラ」が放たれるのか、不思議と店員さんも「このお客様、買う気ね」といつもより積極的に接客してくれる気もする。

用途によって変わるが、鉄板なのは「銀座ウエスト」のリーフパイセット、「ヨックモック」のシガールセット、「資生堂パーラー」の花椿ビスケット、夏は「千疋屋総本店」のフルーツゼリー詰め合わせ。個人的に選びがちなのは「銀座和光」のチョコレートアソート、「空也」の最中。品川駅なら「ぎんざ空也 空いろ」のどら焼き&クッキー。甘いものが苦手な方には「銀座あけぼの」のおかき。これらはド定番中の定番(かなりクラシック寄り)だが、たいてい喜ばれる。自分であんまり買わない類のお菓子って貰うと嬉しいし、周りにも配りやすい。

 

新宿の高島屋の地下を一周し、FAUCHONやOGGIに心奪われはしたものの、今回はお相手がご高齢ということもあり、「個包装」「賞味期限が長い」「カジュアルな金額」「(物理的な)重みがある」という条件を鑑みた結果・・・

選ばれたのは、「ヨックモック」のシガールとクッキー詰め合わせ(シーズン限定缶入りの)でした。カンカンが可愛いって強い。

www.yokumoku.jp

 

高島屋では、ちょうど今日からバレンタイン催事が始まっていたので偵察してきました。そろそろ今年のバレンタインの作戦を立てなければ。

平日の営業時間終了間際ということもあり、比較的空いてましたが、バレンタイン直前の週末なんかは満員電車さながらの密が発生します。狙っているショコラがある方はお早めに・・・。

 

チョコ(あえて「ショコラ」とは言わない)を貰う側の男性はあんまり意識しないかもしれませんが、まぁまぁな数の女性にとってバレンタインは特別なシーズンイベントだと思います。最近は「義理チョコ」は減り、女友達にあげる「友チョコ」や自分用の「ご褒美チョコ」が隆盛と聞きますが、やっぱりパートナーや思い人が居る方は「本命チョコ」を用意したくなります。

もちろん私もご多分に漏れず「本命チョコ」を真剣に選ぶわけですが、それはそれとして、バレンタインは「投資機会」でもあると思っています。

投資というと聞こえが悪いですが、男友達、呑み友達、上司など日頃お世話になっている身近な方に渡す「義理チョコ」ならぬ「人情チョコ」を、毎年きっちり買って贈っています。思いを込めて「人情チョコ」をお渡しすると、あら不思議。チョコの原価よりもちょっぴり高めのリターンが返ってくることがあります。

「人情チョコ」を貰った人もニッコリ、予想外のリターンを貰った私もニッコリ、チョコが売れた百貨店もニッコリ。笑顔と会話が増え、経済がまわり、全員がWIN-WINとなります。成人したあたりでこの「人情チョコ」メソッドの可能性に気づいた私は、毎年色んなパターンで色んな関係性の人に様々な金額帯のチョコを贈り続け、プラスが最も大きくなる必勝パターンを編み出しました。それが以下の5項目です。

 

①可能な限り、自分より年齢の高い人にあげる

②いかにも百貨店でしか買えないパッケージのチョコレートを選ぶ

③奇を衒わない、でも気の利いたチョコレートが5個程度入ったチョコレートを選ぶ

④金額は1500~2000円程度に留める

⑤日頃の感謝を綴った手書きのメッセージを添える

 

どれもシンプルな手法ですが、下記のような狙いが込められています。かなりウエメセですがご愛嬌。

 

①可能な限り、自分より年齢の高い人にあげる

 →異性にチョコを貰って喜ばない人は少ないと勝手に思っていますが、年々貰える相手は限定されていきます。彼女、妻、子ども、部下など。義理だろうが何だろうが、年下の異性がわざわざ自分用に用意してくれたという事実だけで幸せな気持ちになるはずです。

 

②いかにも百貨店でしか買えないパッケージのチョコレートを選ぶ

 →コンビニでもスーパーでもチョコは売ってますが、百貨店まで足を運んで買ってくれたという時間と労力に感動してくれます。それが分かるよう、必ず専用の紙袋に入れて渡しましょう。

なお、多くの男性はチョコレートのブランドに詳しくないので、「日本初上陸のパティシエ」や「限定発売」といったラベルにこだわる必要はありません。そういう特別なチョコは胃の合う女友達と食べましょう。

 

③奇を衒わない、でも気の利いたチョコレートが5~6個程度入ったチョコレートを選ぶ

 →いくら義理でも、板チョコ(「タブレット」と言います)はNGです。キャラクターコラボもウケが悪いです。冷蔵保管が必要な生チョコは美味しいですが使い勝手が悪いので、お酒とコラボしたトリュフや、色々な味が楽しめるチョコレートボンボンを推奨します。

なお、百貨店でパティシエ特製チョコを買おうとしたら3個2000円は下らないので、海外の超有名ブランドではなく二軍くらい(失礼)のメーカーのを探しましょう。「高級チョコは男性が思う値段の3倍高い」ということは、もっと世の中に伝わってほしいと思います。

 

④金額は2000円前後に留める

 →「人情チョコ」はあくまで「日頃の感謝の気持ちを表した心ばかりの品」なので、リターンを求めてはいけません。たいていの方はホワイトデーに何かしらのリターンを用意してくださりますが、何らかの事情や考えでリターンしない選択をすることがあるかもしれません。その際もダメージが少ないのが2000円という金額です。

近年物価高のため、2000円で買えるそれなりのチョコには限りがありますが、頑張って探してください。

 

⑤日頃の感謝を綴った手書きのメッセージを添える

→チョコは所詮チョコ。ですがメッセージというひと手間を加えることでプライスレスな贈り物に変わります。100均で7~8枚セットで売っている可愛いカラフルなメッセージメモを買って、色ペンで手書きしてください。内容は「いつもありがとうございます」プラスアルファのコピー&ペーストで構いません。

 

以上の作戦をふまえ、これまで買ったことのあるチョコを紹介します。思いついたらまた増やします。どれもどこかしらの百貨店のバレンタイン催事場で買えます。

 

竹鶴ピュアモルト生チョコレート | 生チョコレート発祥のお店 シルスマリア

www.asahishuzo.ne.jp

anny.gift

生チョコレート"CHAMPAGNE(シャンパン)”|メゾンカカオ【公式】通販 オンラインショップ – MAISON CACAO

 

リターンについてですが、原価×1.5~2.5に落ち着く傾向があります。原価を下回るリターンはなかったと記憶しています。贈ったチョコの値段をネットで調べられる時代ですから、男性側もある程度計算しているのかもしれません。これまでで嬉しかった「人情チョコ」のリターンは、ジャンポールエヴァンのマカロンセット(7000円程度)かなぁ。あまりに高額すぎるとそれはそれで引くので、うまい塩梅を探ってみてください。

 

リターンに悩む男性は、SHIROのオードパルファムやデュフューザー(おすすめはキンモクセイ)あたりがジェントルです。センスの良いリターンをくださる方へは、翌年から欠かさずに「人情チョコ」を贈り続けます。ロクシタンのハンドクリームは家に余りがちなので、目先を変えたヘアケアやボディケアアイテムが嬉しいです。

shiro-shiro.jp

https://jp.loccitane.com/items/17HI050G20.html

 

フランス現代思想の「贈与論」を引くまでもなく、人間関係のすべては与えることから始まります。先手必勝!

この記事を読んで私の手の内を知ったリアル知人が「今年はバレンタインくれなくていいから」と言ってこないことを祈ります。