盛り場放浪記

花街を歩くことが楽しみな会社員による、酒とアートをめぐる冒険奇譚。

大和ミュージック9月中〜南美光さん10周年&かすみ玲ちゃんを追いかけて

自宅の最寄りが御徒町駅で、台風で電車が止まろうがシアター上野と浅草ロック座に歩いていける生活にかなり満足しているけど、神奈川県にある大和ミュージックがちょっと遠いことには不満がある。この世の文化と風俗はたいてい上野界隈で充足できるけど、大和ならではのアットホームな団欒はなかなか得られないからだ。

だから、横浜まで出て相鉄線快速・急行で行きます、大和ミュージック。この時ばかりは横浜に住みたい。なぜ行くのか、大和。だって、推しのかすみ玲ちゃんが乗ってるからね。それに、18時すぎたらビール呑む姿も見られるし!(好きな娘が気持ちよく脱いで、美味しそうに呑むって最高じゃない?)

f:id:sakariba:20190918233045j:imageいつ見ても渋いぜ、純喫茶フロリダ。

f:id:sakariba:20190918233106j:image仄暗い商店街。よく見たら「南店街」。

今回は6日目の1回目から4回目まで行きました。1回目は通常シングル、2回目以降はダブル。

かすみ玲ちゃんは3個出しで、ちょっと前の新作と、2016年ごろの作品2つ。特にタイトルはないようなので、便宜上、①レザー→デニムで洋楽ポップ、②チャイナ新宝島で邦楽ポップ、③ディスコティック★ラブコリーダとメモ。

①は今週で出し納めらしい。衣装が超可愛いので必見。ピンクのバラの飾りがついたリトルドレスに、黒のレザージャケットを合わせた格好良さ!からのEDWINのデニムを継ぎ接ぎしたビキニスタイル。朝の一発目からダンサブルに踊る玲ちゃんにテンション上がります。(大抵前日は呑んだくれてるのに二日酔いはないらしい。投光さんがオープン時に「昨夜の酒は抜けましたか?」とアナウンス。玲ちゃんは「まだ昼だぁ!あと6時間呑めない~~」と叫ぶ)

②舞台美術が凝ってて、中華風のお花の傘2本と、天井から吊り下げた2本のオーガンジーが幻想的。花道が短い蕨ではできない演目。これまた衣装が素晴らしくて、チャイナにツーサイドアップの髪型が新鮮!選曲もノリノリなポップソングなのでアイドルみたいなステージ。「年に1回くらいアイドルっぽいことやるよ~」とのこと。(ポラで「アイドルっぽいポーズして!」とリクエストしたら、橋口美奈ねえさんポーズしてくれました)

③80年代のディスコティックな洋楽に始まる、玲ちゃんの体幹が冴えるクールなステージ。照明で光るギンギラギンのビキニとTバックが格好いい。あー、この脚に惚れちゃったんだよな・・、とウットリ。大和の長めの花道を、颯爽とモデル歩きする玲ちゃんは本当に格好いい。スローテンポになるベッドでも、ゆっくりと上げ下げする御御足を堪能。白い肌が色とりどりに染まり、闇のなかから空間を切り裂くようにパッと身体が花開く。大和の鮮やかな照明設備と、完璧な調光のタイミングに感謝。

3回目ステージ後のオープンでビール差し入れ!「18時過ぎたもんね~~」と投光さんにドヤ顔!ジョッキ一気飲みする姿が素敵でした。※ダブル進行で3回目が終わったら(18時頃)ビール解禁する玲ちゃんルールです。

 

そしてそして、先月は大変お世話になりました、南美光さんがめでたく10周年を迎えました!この周年作がね、気絶するほどエロくて良かった…!!

タイトルは特に決めてないそうですが、「船が沈没するやつ」「ひとりタイタニック」と仰ってました。1個出し。お披露目仕立てなのでネタバレは抑えめに、軽くレポ。

1曲目、和風な音楽とともに厳かに登場。麻の葉柄の着物でしっかり帯締めて、飾り帯も付けて、日本髪(ヘアピース)にゴージャスな簪をたくさん刺して、薄桜色のヴェールを頭上に掲げて、まるでどこぞのお姫様が御成するよう。前髪を眉下に短く揃えられて、センター分けにしているのがよく似合う。南美さんによる和モノの破壊力を思い知りました。踊りながら帯を解き、濃いピンクの伊達締めをくるくると解いていく。鮮やか!

2曲目は、海を連想させるアッパーな海賊ソング。ソイヤ!ソイヤ!ドラゴンボール神龍柄の法被に着替え、髪はポニーテール。黒のショートパンツにニーハイコーデが元気いっぱい。裸足で軽やかにステップを踏む南美さんを追いかけるのが楽しい。余談ですが、私は南美さんの「足音フェチ」なのですが、誰か分かってくれますかね…。「マンボ」の足音も良かったですね。

3曲目はガラリと変わり、しっとりとしたスローテンポ曲。伝説のアイドルによる切ない失恋ソング(1984年)で、モチーフはロスト・シップ。衣装はライトブルーのドレスで、幾重にもオーガンジーの飾りが付けられていて、広げた様は乙姫様。曲に合わせてひらりひらり。そして、情欲に苛まれる表情がいつも通り天下一品。誰にも真似できない南美さんの魅力のひとつ「濡れた瞳」と「歪む眉」を堪能できる。(もちろん笑顔も素敵なんですが、苦しそうなお顔が一層セクシーなのです)

ラストは、沈没した豪華客船の映画のテーマソングで壮大に締める。名物オナベッドで、性と死が濃厚に匂う壮絶なエンドを迎える。赤い唇で指を舐め回し、荒々しく乳房を揉みしだく。白い胸に紅の跡が灯る。そのまま指は秘所に伸び、ああ、2本を奥までずっぽり…!観ているとハラハラムラムラする、快楽に堕ちていく様が素晴らしいステージだった。エロスが擬人化したような人だ…。

南美さんのステージはいつも凝っているけど、この周年作の出来もすごいので、ぜひ観て欲しい。乙姫の誘惑に端を発した厳かな船出、明るい未来しか見えない愉快な航海、絡み合うリビドー、そして別れ・破滅・死を迎えるという、ひとつの舞台でここまで起伏のあるストーリーを作り上げる力に圧倒されました。

舞台後、南美さんに、写真の時ご挨拶したところ、「先月は上野とミカドでお世話になりました〜。あ!昨日ひろ子ちゃん楽屋挨拶来てくれたよ」と教えてくれた。思わぬひろ子ちゃん情報にびっくり!しっかり、先月の雛形ひろ子引退興行を支えた功労者・南美さんのもとに駆けつけるのが、義理堅いひろ子ちゃんらしい。泣ける。それを南美さんから聞けるのもありがたい。

南美さんの周年グッズは、紺色の扇子。トンボ柄で、「South Shine」と印字してある。

f:id:sakariba:20190918160720j:image場内が暑い劇場で使いたい扇子。

この日、南美さんの10周年祝いとして、シール職人・zaitaku兄さんの新作アイテム(ミニ写真集と写真引換券)が届いていると情報を得ていたため、「青森方面から届いてます?」と聞いたところ、「え、なんだろ?分かんない、まだ届いてないかも」との答え。

すると、2回目の写真タイムで「ありました!届いてたのに、自分が頼んでいたAmazonだと思って空けてなかった!言われなきゃ気づかなかったよ〜」と、ミニ写真集と写真引換券を無事ゲット。

「お腹出てる写真あるし、引換券アングラっぽくて怖いけどw」と笑いながら渡してくれました。いえいえ、南美さんの魅力をとらえた、とっても素敵な、ファン謹製周年グッズです。オープンで着ている真っ赤な10周年法被もプレゼントされたとか。よくお似合いでした!

f:id:sakariba:20190918175151j:imagef:id:sakariba:20190918175158j:imagef:id:sakariba:20190918175202j:image階段に並ぶお花!

ほか省略してしまいますが、橋口美奈さんの柔らかい白肌を堪能したり、大和初めましての宇佐美なつさんのガチアイドルっぷりに驚嘆したり、いつも全力ぷりちーなアキラちゃんに筋肉デジお願いして笑われたり、オヤジキラーな坂上友香さんの笑顔に癒されたり、楽しませていただきました。

3回目のかすみ玲ちゃんのステージの後、売店のバーで、玲ちゃんとビールで乾杯。玲ちゃんは楽屋着で、呑みながら賄いを料理していた。前日にTSのママがすき焼き差し入れたそうで、その残りのお肉と野菜の炒め物でした。「悲報!茄子の皮が硬い」とか報告しながらちゃっちゃと手際よく料理、そして食事。2人目の橋口さんのステージ後、ダブル進行なので「写真いってきまぁす☆」とビール持ったまま消え、着替えてステージに再登場。自由だ…。

この日、バーは珍しくお客さんが少なく、隣り合ったお兄さんとスト談義。よく行く劇場の話なんかをしているうち、なんと同じ台東区から来ていることが分かった。まさか大和でご近所さんに会うなんて…と不思議なご縁。また会えるといいな。(ビールや栗きんとん、シンガポールのジャーキーごちそうさまでした)

写真を終えてバー戻ってきた玲ちゃんが「こんなんあったー」と10〜15年くらい前(玲ちゃんデビュー前後)の新宿TSミュージックのチラシの束を、どこからか見つけてきて、見せてくれた。ほとんどの踊り子さんは知らない方で、おそらく引退している方ばかり。ちらほら知っている方も。デビューして間もなさそうな山咲みみさん、さくらさん、KAERAさん(「かえら」名義)、栗鳥巣さん、鏡乃有栖さん、そして雛形ひろ子ちゃんの名!当時の売り文句は「窒息爆乳タッチショー」、今でも通用するね。チームショー「アップルパイ」も人気だったみたい。このチラシコレクション、とっても貴重な資料なので、大和ミュージックさんには是非保管していただきたい。(万が一に備えてスキャンと撮影も…)

玲ちゃんの次の予定がストナビに上がっていなかったので聞いたところ、「なんとぉ〜!ニュー道後ミュージックに25日間!」と教えてくれた。聞いてしまったら行かねばならぬ。2月に行ったばかりだけど、ちょうどクラウドファンディングのリターンの一日券も使えるし、どうせなら玲ちゃんが乗ってる時に使いたいので、翌日に速攻旅程決めました。仕事が入らない限り、10月5日(土)観劇予定。道後の皆さま、どうぞよろしく。

motion-gallery.net

↑クラファンもよろしく!一定額寄付すれば名前を壁に書いてもらえるよ。もちろん私も書かれるw

sakariba.hatenablog.com

スト漬けの一日を終え、相鉄線を揺られて上野に帰る。やっぱり好きだ、大和。ありがとうございました。

川崎ロック座9月頭~エアリアルチームショー「WAサーカス」

9月10日、川崎ロック座の千穐楽に行った。本当はもっと早く行きたかったんですが、出張のため後手後手に。牧野れいなさんの2周年&若林美保さんと秋月穂乃果さんのチームショーは見逃せないため、仕事もソコソコに川崎入りし、3回目から観劇。

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3回目はダブル進行で、美らかのんさん「デビュー作」、牧野れいなさん「朧(周年作)」、秋月穂乃果さん「ぽにょ」、若林美保さん「月」、桃瀬れなさん「蛍」、荒木まいさん「ふるさと」の演目。

穂乃果さんはいつ拝見しても地に足の着いていない可憐さ(褒めてます)で、お伽話の住人みたい。こないだ乗ってた浅草ロック座「Lovers」も新境地で格好良かったな。

ワカミホは新年のデラカブ以来で、2月に主演映画「プレイルーム」観たおかげで、久々にナマのご本人観てドキドキしちゃった。

playroom.p-kraft.com

団鬼六の小説のヒロインのような、翳りのある美しさ。縛ってなくてもSMの薫り漂う色っぽいおねえさんです。「月」の衣装、中華襟のレオタードがよく似合っていた。動きや目線の置き方がとっても丁寧なので、1秒たりとも目が離せない。怪しげな照明もピッタリだった。

f:id:sakariba:20190911144657j:imageワカミホ「プレイルーム」Tシャツ着て準備バッチリな筆者。

さて、見所は前代未聞のチームショー「WAサーカス」!観る前は「和」?「輪」?と考えていたんですが、答えは「若林」のWと「秋月」のAでした。

現役踊り子さんのなかでも特にエアリアル技術の高さで知られるお2人夢の共演。どちらもラブ♡な私得の企画です。以下、楽日4回目(通常進行)の感想です。

*ネタバレあります。記述に問題があればご連絡ください。

 

♪1曲目〜チームダンス

板付スタート。舞台天井には1本の長い白いシルクが吊られている。床に垂れた左右のシルクを毛布代わりに、2匹の猫が眠っている。キュートな白猫・穂乃果さん、セクシーな黒猫・ワカミホ。ピッタリとしたボディタイツの上に、それぞれ白と黒の下着を付けている。軽快な音楽とともに猫たちは目を覚まし、シルクを使って舞台で遊び始める。サーカスがはじまる!もうね、画がすごい。にゃんこポーズをする2人の破壊力たるや!きゃわわ!

 

♪2曲目〜チームエアリアル

白猫と黒猫は、1本のシルクを器用に分け合って登り、お互いの身体を支えながら、シルクの上下や左右を軽快に飛び回る。最初に、黒猫が白猫の脚を持って宙に放った時、白猫は完全に身体を預けていて、勢いよく回った。互いに信頼していないとできない動き。川崎はそこまで天井が高いわけではないし、エアリアル時の舞台幅がものすごく広いわけではないので、空間ギリギリを攻める動きの連続を、息を飲んで見守ってしまう。難易度の高い技が次々に繰り出され、その多くを2人が「手をつないで」いたのが感動的だった。涙が出る。

 

♪3曲目〜ワカミホ ソロダンス・ベッド(4曲目かも?飛ばしてたらすみません)

白猫が一旦ハケ、黒猫のソロ。ゆったりと下着を脱ぎ、赤いボディタイツのみに。タイツのお股部分に穴が空いていてセクシー。シルクで空中浮遊をして、盆に移動。タイツの上半身を脱いだ状態でソロベッド。ワカミホの鍛え上げられた肉体美がまぶしく、特に僧帽筋三角筋の躍動に惚れ惚れ。豊かなおっぱいも大胸筋に支えられてツンと上向き。同じ女性として尊敬する身体。どうやったら維持できるんですか・・あんなにラーメン食べまくってるのに!

 

♪4曲目〜穂乃果 ソロダン

穂乃果さんのソロ。猫耳を外し、ピンクのボディタイツに着替え、青いフード付きの衣装を羽織り、髪の毛をおろし、黄色い縄紐を持っている。「引っこ抜かれて食べられる」ゲームの歌でコミカルにダンス。脚立で天井に赤いロープ(脚をかけるタイプ)を設置し、見事なエアリアルを披露。空中にいる穂乃果さんは、まるで重力など感じていないかのように優雅に微笑むので天女みたい。ステージにシルクとロープが並ぶ光景が贅沢。

 

♪5曲目~穂乃果 ソロベッド

アニメ版「少女革命ウテナ」の名曲(豆知識ですが、一定の年代の女性はこの曲を聴くと泣きます)。この曲は「女性ふたり」が潔くかっこよく生きていく応援歌のようなもので、チームショーにふさわしい選曲。ワカミホがウテナで、アンジーが穂乃果さんかな・・。盆で観客参加型の縄跳び(まわしながら飛ぶ)をし、然る後にすばやく自縛!脚で支えながら縄鎖をつくって、そのまま縄を使ってポーズ。穂乃果さん、細いんですけど相当鍛えていて、やはり上半身の筋肉が見所。回転盆での高速ポーズ切りはもはや名人芸!

 

♪6曲目~チームベッド

映画「ボヘミアン・ラプソディ」でも愛された名曲。ノリノリのロックサウンドでテンポ良く踊る。「WAサーカス」のチーム名にふさわしく、サーカスの曲芸のように常人離れした柔軟性を魅せる。言葉では表しづらいんですが、ダブルL/ダブルしゃちほこ/ダブル脚上げ/穂乃果さんが片脚をワカミホに載せ、片脚を持たれた逆立ち状態でポーズ/穂乃香さんとワカミホが背中を合わせ、ワカミホ側に身体を載せた状態でV等。観たことのない、というか難しすぎて出来ない技ばかりで、呆然としてしまった。すごいのは、単に技術が高いだけじゃなくてとっても美しくエロい♡こと。かつ2人がものすごく楽しそうなのが良かった。今週だけじゃなく、また観たい!と強く思いました。大変だと思うのですが、ぜひ。はー、良かった。ブラボー!

 

今回のチームショーにあたり、ワカミホは「ストリップで誰もやったことのないことをやりたい」とブログで決意表明していた。何度も深夜のレッスンを重ね、本番中も試行錯誤を繰り返していたみたい。そのおかげで、ぶっ飛ぶくらい最高なチームショーが完成した。エアリアルのさらなる可能性を感じたよね。つくづく、2人のプロ意識や向上心、サービス精神に拍手です。

ポラ着のチームショー用お揃いの前掛けも素敵だった。「魅惑のストリップショウ」と書かれた特別製。「WAサーカス」用シールもバラエティ豊富で、シール職人さんたちにも感謝です。

ラストのオープンも楽しく、元気に、エロく!空中戦・地上戦ともに挑戦し続けた10日間、おつかれさまでした♡

久々の更新。お久しぶりです

更新さぼっていて、間が空いてしまった。Twitterとインスタで日々のツイートをしていたので満足していたのと、3ヶ月ほど鬱々としていて書く気になれなかったのだ。久々の鬱の波はかなり手強かったが、どうにか生還した。

一日12時間以上寝て、仕事もさぼりまくり、生産的なことは何もしなかった。唯一、いつも通りのアート鑑賞をして、あとはストリップ劇場に通っていた。

朝7時半に起きるもベッドから出られず、ようやく10時くらいに起きあがって、お昼の公演に行ったり、なんとか仕事に行った日は夕方から公演に行っていて、起きている間はだいたい女性の裸体を見ていた記憶しかない。ギリギリ休職はしなかった。

なんでこんなに通っていたのか説明できないけれど、好きな踊り子さんの一人が8月末で引退することもあって「とにかく劇場に行こう」という気になっていた。きれいだなぁ、やさしいなぁ、すごいなぁ、と毎回感動し、女の子たちに元気をもらった。最近はほとんど元のように戻ったので、ストリップのおかげで癒やされた気がする。

「カネが尽きるまで、毎日ストリップに行きたい」というのは、かねてよりの夢だった。(おかげでほんとに金欠)

通ってて気づいたのは、闘病中の私と同じように、なんとなく社会に居場所のない人たちが劇場に多いことだった。元気な時はロック座系列の劇場に行くことが多かったが、最近はめっきりそれ以外に行っていた。家から近いシアター上野、日本一小さい蕨ミニ劇場、名画座ついでに行ける池袋ミカド劇場。浅草や川崎や横浜も行くけど、なんとなくTS系の方が客層が合っていた。偏見だが、ロック座系列より、TS系の方が、変わったお客さんが多い傾向がある気がする。というか、ロック座だと怒られるよ!というような自由な振る舞いをする人たちがちらほらいるからか。酒飲みながら場内で踊ったり、ポラで無茶ぶりして踊り子を困らせたり、応援のためステージ中に叫んだり、興奮のあまり脱ごうとしたり。

弱い立場の人も多かった。心配するほどぷるぷる震えているご高齢の方や、ホスピス抜け出してきたみたいに死にそうな人、ちょっと知的にボーダーな人、ボロボロの服装とベタベタの髪の毛をしていて生活を保護されていそうな人。精神安定剤飲んでフラフラな私もそうだ。まともな人だけじゃない空間の居心地が妙によくって、落ち着いた。入場料さえ払えば誰でも平等な、暗くて古くていかがわしい劇場が優しかった。みんな他人に興味がなく、目の前の裸体を通じて時間を共有していた。

踊り子さんもベテランが多いので、客あしらいが上手く、懐っこく、心のこもったあたたかい対応をする人が多かった。女性客にサービスしてくれる踊り子さんもいて、踊りながら手を差し伸べてくれたり、オープンしながら話しかけてくれたり、手を握ってくれたりした。なかでも、シアター上野では雛形ひろ子さんの慈愛に魅了された。精緻に計算された大人なステージとはうらはらに笑顔が可愛く、礼儀正しく、サービス精神が旺盛だった。(2019年8月末に引退)

同じ劇場に通っているうちに劇場のスタッフやお客さんに覚えられ、「いつデビューするの?うちの劇場専属にならない?」なんてお世辞を言ってくれる人もいた。ちょっと本気で考えた。

 8月結のミカド劇場で、あるお客さんに「”盛り場放浪記”の人ですか?」と話しかけられ、とても驚いた。独り言ブログを覚えていてくれて、数少ない著者近影を見てくれていた人がいたとは思わなかった。「読者です。応援しています。」と言ってもらえ、嬉しかった。まさかストリップ劇場で読者1号に出会うとは思わなかったけど、また書きはじめるかーと思うきっかけになった。その節はありがとうございました。

日付を遡りながら、ちょっとずつ更新再開していきます。

池袋ミカド劇場8月結~雛形ひろ子引退公演~

名ストリッパー・雛形ひろ子さんの引退が発表されたのは、2019年6月後半だった。ちょうど、6月結にシアター上野に乗っていたので、ご本人におそるおそる尋ねると「そうなの、2019年8月末で引退するの」と仰っていた。

それから、6月結、7月14日(1日だけ代演)、7月28日(1日だけ代演)、8月中、8月結と、時間がつく限りひろ子ちゃんを追っかけた。伝説的な池袋ミカド劇場での引退公演(ストリップデビュー19年目)も見届けた。9月に入り、ストナビから彼女の記録が無くなり、ツイッターの更新もなくなり、手元に残ったのはひろ子ちゃんと一緒に撮ったたくさんの写真と、彼女との思い出だけになった。好きなストリッパーが引退するのは初めての経験だったので、引退公演の記録を記しておく。

*ネタバレあります。記述に問題があればご連絡ください。(2019年9月8日更新)

雛形ひろ子引退週

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ミカド劇場前にはズラリとスタンド花が並ぶ。踊り子さんからの花も多い。

8月結の引退週、結局11日間で5日間行った。とても豪華な香盤で、鏡乃有栖さん、伊吹天音さん、雛形ひろ子ちゃん、虹歩さん、南美光さん、浜崎るりさんの6人体制。全国を股にかける人気踊り子を配した布陣で、晴れの舞台を仕掛けるミカドの思いが伝わる。ひろ子ちゃんの演目は3種類、「踊り子」「蚊帳」「あゝ無情」。引退演目はなく、これまで大切に踊られてきた名作ばかり。

通いながら、ひろ子ちゃんに差し入れは何がいいか聞いて、スターバックスの「エスプレッソ アフォガート フラペチーノ シロップ少なめ」を行く度に差し入れた。「ありがとう!スタバのおかげで回復したぁ。まーやさん来てくれて嬉しい」という言葉がうれしかった。ハードな公演のさなか、甘いものを飲んでちょっとでも元気づけられたらいいなと思った。

何人ものお客さんとも交流した。全国から、ひろ子ちゃんのラストステージを観にかけつけた方がいた。大阪から、名古屋から、芦原から、青森から。みんな口々に「引退はさみしい。最後にひと目、観たいと思って」と言っていた。

引退週の間、ひろ子ちゃんはいつもと変わらぬ明るさで、ポラタイムに「おっぱいパンチ(乳ビンタ)」を繰り出してオジサン方をメロメロにしたり、嬉しそうに花束を受け取ったり、お勉強に来た後輩をもてなしたり、毎日忙しく過ごしていた。

 

雛形ひろ子引退興行当日

8月31日(土)18時過ぎ、トリプル進行3回目のスタートから行った。3番目のひろ子ちゃんの時には、場内は100人超えているようで、かなり蒸し暑かった。スタッフさんも「やばいっすねー、かなり押してます」と今後の進行を心配していた。

 

3回目の演目は「踊り子」。リズミカルでムーディーな楽曲を華麗に踊って場内が盛り上がる演目。赤と黒の衣装がロングの金髪に映え、揺れるアクセサリーが照明で光る。バーレスクのような、アダルトな雰囲気がセクシー。各位に配慮しながら、少し感想を述べたい。

 

♪「踊り子」1曲目

ひろ子ちゃんが踊り子・・もとい「脱ぐ」業界にデビューしたのは、はじめは本意ではなかったかもしれない。以前のブログに「亡くなった親の借金から始めたストリップ」と書かれていた。経緯は聞いたことがないが、ほかの踊り子さんと同様、並々ならぬ決意と覚悟をもってデビューされたはず。この曲は、まさにひろ子ちゃんの生き様を表しているようで思い出深い。

 

♪「踊り子」2曲目

2曲目は「別れ」を示唆する切ない曲だが、あくまでひろ子ちゃんは笑顔で、曲が終わってしまうのを惜しむようにじっくりと魅せる。曲を聞かせながら目で楽しませる、エンタテインメント心あふれるステージ。

 

3曲目はジャジーサウンドがエロティックで、脱ぎながら踊るストリップの楽しさがあふれる。大きな胸をもみしだきながら曲に合わせて「肉体関係」と唇を動かす下りが好き。時折激しい動きを取り入れて、観客を誘惑するように釘付けにする。

 

♪「踊り子」4曲目

シメはあの名曲。「ハッ!」の歌詞部分で格好良くポーズを決めるのがニクイ。最後、ブリッジからの立ち上がりがとくに見物で、あの高いピンヒールでどうやって・・といつも惚れ惚れしていた。光をつかむように、重力に逆らって身体を起こす。全員で手拍子をしながらポーズが決められるのを見守り、気持ちいいカタルシスを迎える。

 

100人もの観客が一体となったステージは圧巻だった。暗転して「ありがとうございました!」というひろ子ちゃんの声が聞こえるや否や「雛形ァ!」「ひろ子ちゃーん!」「ありがとう!」などの思い思いの声が漏れる。熱気はますます増し、写真を撮る人の列は見たこともないくらい長かった。とぐろを巻き、最後尾がどこか分からないくらい。

オープンは明るくエロく元気よく。次々に手渡されるチップ。通常のチップは、踊り子生活の糧になるように、衣装代や車代や食費や雑費に充ててもらいたい気持ちで渡す。明日からは踊り子ではなくひろ子ちゃんに渡すのは、この先の人生がよい良いものになりますようにという祈りのようなものだった。私たちが渡したいくらかが、ひろ子ちゃんの未来を支える何かになれば嬉しい。

 

「この人混みじゃ、立ち見で最後まで居るの無理かもなぁ」と柵に寄りかかっていると、前に座っていた方が帰るらしく、さっと席を譲ってくれた。(本当にありがとうございました・・!)おかげで、残りの公演はじっくりゆっくり観ることができた。

4番目以降は曲カットをし、押している進行を少しでも戻そうとするようだった。踊り子さんたちも総出でひろ子ちゃんの引退公演をバックアップしている。特に南美光さんの仕切りが上手く、サクサク進行が目覚しかった。

3回目のフィナーレ・合同写真で、駆けつけた踊り子さんたちを加えた豪華10人体制で、ひろ子ちゃん推しの先輩・稲さんと一緒に撮った。ステージに入りきらないような大人数!これまた人気写真。

 

そして迎えた4回目。ひろ子ちゃんをトリに、ダブル・チームショー・シングル進行。(トリプル・ダブルの予定が急遽変更)

1番目の鏡乃有栖さんはステージ頭で「鏡乃有栖!このステージを雛形ひろ子姐さんに捧げます!」と宣言し、「風立ちぬ」を見事踊りきった。ひろ子ちゃんとの別れを暗喩する歌詞が切なく、思わずもらい泣きをする。

 

チームショーは、虹歩さん、南美光さん、浜崎るりさんという今をときめく3人娘。るりちゃんの演目「ライオンキング」をもとに、「チームジャングル」が熱演。蔦を身体に巻き付けた「木」役(!)の虹歩さん、豹柄ハイレグの南美光さん、全身タイツの浜崎るりさん。あんなに美しい木役はほかにいない。南美さんのハイレグも似合う。ナイス配役だった。ダンス部分は1曲目が虹歩さん、2曲目から2人を加えて3人で。今週の出番の合間にコツコツと準備してきたことが伝わる、1回きりが勿体ないくらいの出来栄えだった。

3人で踊る際はるりちゃんの絡みが秀逸で、2人をいろんな方法でオープン&オナベ!触るわ舐めようとするわ、自由そのもの。るりちゃんはタチも上手で、本気のレズショーで観客を沸かせる。ねらわれた虹歩さん本気の「きゃー」が可愛かった。ポージングでは、3人見事に揃った「スーパーL」や「シャチホコ」「アラベスク」を披露。先輩を送り出すにふさわしい、良いステージだった。観客たちは心の底から笑い、見惚れ、大いに楽しんだ。写真は3人1枚1,500円の特別価格。3人娘が一堂に撮れることもあり、人気だった。こちらも稲さんとパチリ。

 

そしてひろ子ちゃんの最終ステージ「あゝ無情」。

♪「あゝ無情」1曲目

手拍子が熱く揃う。曲に合わせたかけ声が昭和っぽくて良い。ひろ子ちゃんは、サウナ状態の舞台で、熱く激しく踊る。頭に載せた冠のようなアイテムがキラキラ光る。ひらひらときれいだった。

 

♪「あゝ無情」2曲目

すれ違う男女の歌。未練を残しながら、思い出をかみしめるように情感たっぷりに踊る。ひろ子ちゃんは、場内の様々なお客さんみんなをぎゅっと抱擁しているようで、慈愛の表情。女の人生のあらゆる局面を映し出すようなステージだった。

 

♪「あゝ無情」3曲目

最終ステージは、今週の踊り子さんたちが勢揃いで観客席の後ろの方に出てきて観劇していた。曲に、南美さんや天音さんの嗚咽が混じる。踊り子さんも観客もみんな泣いていた。曲の通り、「このまま終わらないで」と強く思ったことだろう。歌が終わり、曲が終わり、照明が消えたら、ひろ子ちゃんの舞台はもう観られない。惜しまれながら曲が終わった。

 

暗転して、ひろ子ちゃんは舞台袖にはけた。観客は口々に御礼とアンコールを叫ぶ。踊り子さんたちは号泣していた。みんなの汗と涙が会場をじっとりと濡らした。

ふと明転し、音楽とともに衣装を変えたひろ子ちゃんが再登場した。白いレースが美しい、女神のような出で立ちだった。追加の曲が始まる。

引退を嘆く観客や踊り子たちへのメッセージソングだ。「踊り子だから、あくまでステージで思いを伝えたいの」というひろ子ちゃんらしさを感じた。

客席に踊り子たちひとりひとり、観客ひとりひとりに語りかけるように、ステージが展開した。「私が引退してもストリップをよろしくね」と言っているようだった。

観客からは花束が続々と渡された。稲さんは青いバラの花束!さすが。花言葉は「奇跡」「夢叶う」。(後日、青いバラ5本の花言葉は「あなたに出会えた事の心からの喜び」と教えてもらいました。ロマンティック!)

 

曲が終わり、鳴き声や叫び声が響く場内に、今週の踊り子さんたちが揃う。「引退式」が執り行われる。司会は鏡乃有栖さん。

踊り子たちからの挨拶文が朗読され、心づけが渡された。ひとりひとり心のこもった言葉が語られた。うろ覚えですが、一部抜粋。

「踊り子人生、楽しいことばかりじゃなかったと思います。でも辛い時も、ひろ子はいつも笑って元気に見せていて、すごいと思った。引退しても友達でいてね」(虹歩さん)

「引退週と、その前週からご一緒できた時間は私の宝物です。お忙しいなか、後輩たちに優しく指導していて、憧れの踊り子です」(南美光さん)

誰だったか「ひろ子ねえさんに会うことで、明日も頑張れる力をもらっている人もいます。本当に、人を救っているようなもの」と言っている方もいて、私もそう!と思った。

ミカドの投光しんちゃん、TSのママからの挨拶も続く。そしてひろ子ちゃんからの挨拶。号泣しすぎてちゃんと覚えていない…すみません。「あまり表舞台に立つのが得意な人間じゃないんですが、このような式を開いてくれてありがとう。みんな、忙しいなか駆け付けてくれて本当に感謝しています。18年間過ごしたストリップの世界を去るのはさみしいですが、最後の舞台、悔いなく過ごしました。」

この後、今週の踊り子たちによるフィナーレダンスが披露された。

「さくら」のような薄ピンク色の揃いのドレスで、踊り子さんたちが曲に合わせて舞う。感動的な光景だった。

そして、ラストオープンショー。手拍子のなか、チップが舞う。ひろ子ちゃんはお札でできたレイを数本首にかけ、「お札が似合う女」と笑っていた。

オープン曲は結局4回繰り返された。大盛り上がりの大団円。これまでずっと笑顔だったひろ子ちゃん、踊り子全員で整列して挨拶する最後だけ、涙がにじんでいたように見えた。よく、頑張ったね。

終演は23:35ごろだった。あんなに中盤押していたのに、ちゃんと終電前に終わるところがミカドらしい。南美さんはじめ、踊り子さんたちがしっかりとタイムキープした成果だろう。

火照った身体で駅に向かう。名残惜しいけど振り返らない。多くの観客に愛された、唯一無二の魅力を持つ踊り子がいて、今夜で引退した。あの熱いステージはもう観られないけれど、今日も日本のどこかで元気で過ごしているならば、それでいい。どうか、お元気で。たくさんの愛をありがとう、ひろ子ちゃん。

別府に行こう~別府八湯めぐり編~

「地方都市に移住するなら、一番は別府、次点で岡山」

別府という街を、そのくらい気に入っている。ご飯が美味しい、お酒が美味しい、人が優しい、かつ温泉に入れる!行くと元気になれる街、別府。もし今すぐ2兆円が降ってきたら、即移住するだろうな。

そんな思いもあって、母親を別府に連れて行った。母親は、変形性関節症の手術で7~8月入院しており、湯治をしたいと言うのだった。「リハビリを兼ねて温泉地に行きたいんだけど、どこがいい?」と言うから、「ぜったい別府」と答えた。今年の春にご縁があって別府に数日滞在したことがきっかけで、私は別府が好きになった。

(余談だが、母親は退院後、野沢温泉別府温泉乳頭温泉というヤバいツアーを開催している。間違いなく常人より元気である)

今回の目的は、温泉。鉄輪温泉と明礬(みょうばん)温泉をメインに、2泊3日で別府八湯を楽しもうという趣向だ。出発前は、「1日2湯、3日で6湯まわれればいいかな~」と考えていたが、結果的に「3日間で14湯」行った。私は3日目で帰京したけれど、母親は1泊残って「4泊5日で20湯」行ったらしい。これでも結構な量だが、なんと別府は88湯ある。1/4もクリアできていない。やっぱ住まなきゃだめだ。

温泉ツアーにあたっては、仕事でもお世話になっているBEPPU PROJECTさんにアドバイスをいただいた。土地の人のおすすめする宿や食に間違いは無い。実際すごく良くて、母娘ともに大満足。せっかくなので、行った場所を記録してみる。

 

8月24日(土)大分空港→別府観光港→鉄輪温泉

まずは「アシ」の調達。日産レンタカーで車ゲット。事前に予約していて、2泊で8,000円と安かった。スタッフさんが親切で、付近のおすすめ昼食場所マップをくれた。

ランチに人気回転寿司屋「亀正くるくる寿司」に行こうとしたが、14時すぎで10組待ちだったので断念して、やはり回転寿司屋の「水天」に。こちらも店内にぎやかだったが、ちょうどランチ客の入れ替わりで入れた。回転寿司と言いつつも回っていない寿司屋で、高級感ある店構え。明るく清潔な店内が心地よい。さすがに地物の鮮度が抜群で、「白身三昧(あじ、ぶり、ひらまさ)」「りゅうきゅう」「さば」が美味しかった。ウニやサーモンは別府産ではないのでスルー。ランチでアラカルト3,000円/人程度。運転するのでお酒はがまん(えらい)。

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ネタの分厚さがすごい!シャリも大きめなので1皿の満足度が高い。

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さっそく今晩の宿泊先・鉄輪温泉の宿に荷物を置こう。アドバイスいただいた方には「柳家がいいですよ!」と教えてもらったんですが、この日は予約がいっぱいだったので別のところへ。母親が「貸間体験した~い♡」と言い、「双葉荘」へ。ぜんぜん料金鯛もタイプも違うんですが、ここが、超よかった。

www.owl.ne.jp

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鉄輪温泉内の立地のいいところ。老舗貸間(自炊できる安価な民宿。湯治宿)。

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中庭に地獄炊事(「地獄蒸し」と呼ばれる温泉熱で食材を蒸す調理)。24時間湯気がもうもう。

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宿泊料金は驚きの1泊3,800円(税別)!台東区民としては「山谷のドヤより安い(白目)」驚きの価格だが、部屋は6畳で2人で過ごすならちょうどいい。

「双葉荘」の女将さんがいい方で、「あらぁお母さん足悪いの?じゃあ1階にしようね」とか「地獄蒸しはいつでもしていいよ。食材は近くのスーパーが安いよ。なんてったって、温泉は24時間沸いてるからねぇ」と親切にいろいろ教えてくれた。

私は「日本ボロ宿紀行」初段ですが、双葉荘はその見た目の古さと値段、HPのクラシカルさとは裏腹に、とても過ごしやすい宿だった。建物は古いので冬は隙間風が寒いかな。エアコン有料なので真夏もきついかも。でも、1階の窓を開けたら地獄炊事が見えるロケーション(JIGOKU VIEWING)はここにしかない。

さて、車を置いて温泉めぐりスタート。ここからはノンストップ。すっぴんで失礼・・。

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第1湯「すじ湯温泉」。鉄輪温泉の泉質は「食塩質」。年季の入った加水なしの共同風呂。きれいに整備されていて、お湯の温度が絶妙だった。100円。

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別府のおふろには神棚がある。一礼をして入らせていただきます。

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第2湯「鉄輪むし湯温泉」。8畳の石室に石菖という薬草が敷きつめられていて、その上に8分間寝そべる。びっくりするほど汗をかく。湯上がりの冷たい牛乳が嬉しい。レンタル浴衣別途で510円。

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第3湯「上人湯」。鉄輪温泉のメインストリート「いでゆ阪」沿いにある。向かいの喫茶店等で入浴札をもらって入る。100円。

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第4湯「熱の湯温泉」。名前にふさわしく熱め。仕事終わりのお母さんたちが数人いらして、コミュニティになっていた。皆さん歓迎してくれた。無料!

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第5湯「双葉荘」の内湯。1日目はここまで。ギシギシ鳴る廊下を渡り、小さな共同風呂場に出る。どこもそうだけどドライヤーはないので注意。

8月25日(日)鉄輪温泉→湯布院→別府街中→明礬温泉

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第6湯「地獄原温泉」。2日目の朝、「双葉荘」から徒歩数十秒。いつも言うけど「起きて最初に考えることが、どこの温泉行こうかな~なのが最高」。

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朝ご飯は昨夜の残りと地獄蒸し半熟卵、野菜、ソーセージなど。私は地獄蒸しの才能があるのか、どんな食材もちょうどよく美味しく蒸せる。

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第7湯「渋の湯」。別府のなかでは今回ここが一番熱くて、腰まで浸かれなかった。朝イチは熱いのかな?100円。

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第8湯「塚原温泉 火口ノ泉」。別府ではなく湯布院だけど、秘湯感あっておすすめ。日本三大薬湯と言われるくらいお湯が良くって、1時間はいってた。つるんつるん。

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鉄輪温泉→湯布院→別府まちなか。ジェノバジェラート食べるよね。何回食べてもラムレーズンが好き。バケツで食べたい

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第9湯「竹瓦温泉」。別府の顔、明治12年創設の老舗温泉。唐破風造が格好良い。砂湯もあるよ。100円。

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第10湯「駅前高等温泉」。別府駅から走って数分で温泉に入れる。モダンな建築が可愛い。泊まれるらしいので気になっている。

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第11湯「岡本屋旅館」。明礬温泉を代表する旅館。前日の双葉荘とは打って変わって豪華なお宿。エントランス入った瞬間からエエ匂いがして、若いイケメンスタッフさんが荷物持ってくれて、うっとりするような良い宿だった。温泉も当然よくて、露天風呂が艶やかだった。

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夕食。「大分旬会席プラン」で1泊2食つき16,200円/人。別府では高級宿だけど、この値段でこのクオリティは安すぎるのでは。お食事どれも美味しく手が込んでて、自炊(地獄蒸しもそう)では絶対できないプロの技だった。プリンが売店で食べるよりもっと美味しくて感動。

8月26日(月)明礬温泉→堀田温泉→大分空港

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朝ご飯もボリュームたっぷり。大分は米もうまい。高級旅館で朝ご飯がフツーの旅館飯だったらガッカリしちゃうけど、ここの朝ご飯はかなり気合い入ってた。

岡本屋旅館、予約数日前に確認の電話くれて、駐車場の案内やチェックインの案内を丁寧にしてくれた。「お母様がお足が悪いとのことですが、当旅館は階段多いのでご了承いただけますか・・?」と尋ねられて、できれば入り口に近いお部屋でーとお願いしたけど、全然平気だった。車椅子の方や高齢者はちょっと心配だけど、美味しいものや楽しいことや気持ちいい温泉が待っているなら、人はルンルン歩くのです・・。すごく感じの良い旅館だったので、また行きたい。お風呂のアメニティもクオリティが高く、海外の横文字ホテルに負けないサービスが提供されていました。(シャンプーとか石けんとか枕とか鞄、売店で売ってます)

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第12湯「鶴寿泉」。明礬温泉もテクテク歩いて温泉に行ける。やっぱり泉質がいい。無料!

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第13湯「奥みょうばん山荘」。別府八湯のなかでも奥地にある秘湯めいた温泉。500円で貸切。気の良い温泉オタクのお兄さんが運営してて、興味深い豆知識をたくさん教えてくれた。需要のないサービスショット!!

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第14湯「堀田温泉」。これで別府八湯中4種類制覇。館内広くてきれい。210円。休憩室でマッサージサービスもやっていた。

温泉めぐりは以上。母親はこの後も一人でまわり、「天空湯房清海荘」「春日温泉」「野上本館」「海門寺温泉」「不老泉」などに行ったと報告があった。そして、別府市役所に行って「移住の手引きパンフレット」を手に入れたとのこと。「資格を活かした職探ししよっと☆」と行動が早い。別府を気に入ってくれて何より。

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別府、街歩きが好きな人には絶対おすすめなんですよ。もくもく湯気が香る鉄輪温泉の渋さ、秘湯めいた明礬温泉の神秘さ、明るく楽しい別府温泉の猥雑さ。

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街中に、ちょっとタメになるほうろう看板(大好物)の案内があって、ニヤニヤしながら歩くのも楽しい。

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温泉地には猫がよく似合う。猫も温泉はいるんだろうか?ま、海際で魚や残飯にありつけるのだろう。別府の猫は毛艶が異様にいい。

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昭和レトロが流行っているけれど、生半可な昭和風情じゃなくガチな昭和生活が息づいている。こういうエイジング、つくりもんじゃ表現できないんだよな。

別府で温泉に入りまくり、Twitterで温泉めぐりを実況していたら「湯あたりしないの!?」と聞かれたけど、意外と大丈夫だった。長湯はせず(塚原温泉は例外)、適度に休憩を挟み、しっかり水分と食事を取って、夜はぐっすり寝る。具合が悪くなるどころか、温泉ひとつ入るごとにどんどん健康になっていくようだった。何食べても美味しいし、どこまででも歩ける気がする。「東京帰りたくねぇ・・」大分空港から飛びたつ時泣きそうになって、羽田空港から浜松町に降り立った時に心底げんなりした。なんて空気が悪く、よどんで、暗いんだろうって。ああ、別府に帰りたい。
2兆円は降ってこないので、次なる別府行きの機会を虎視眈々とねらっている。※今年のin beppuに行くため、近々行く計画を立てています。

 

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今回は泊まれなかったけど、教えてもらったおすすめ宿。次回以降に泊まります。

beppu-yanagiya.jp

yamadabessou.jp

www.newtsuruta.com

www.hotel-arthur.co.jp

www.hanabeppu.jp

東京オペラシティギャラリー「ジュリアン・オピー展」から白金台に行く

日本の美術館では、11年ぶりにジュリアン・オピーの大型個展が開催された。オピー好きなので、展示の初週末に行った。

www.operacity.jp

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最初の展示室の光景。巨大な作品が天井近くの高さで展示されている。

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比較するサイズの人間がいないとサイズ感が分からない。

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小走りする人の映像の前で小走り。

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出品数は少ないけれど、満足感高かった。人が居る方が楽しげな展示。

シンプルで現代的で好きだ、オピー。日本のパブリックアートもオピーにすればいいのに。1時間ほどでオペラシティを出て、初台から渋谷を歩くことにした。代々木を通って、奥渋を散策。寄り道しながら1時間ほど。話しながらだとあっという間。

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奥渋で見つけたなつかしのシャッター。

歩きながら、「信号が点滅して小走りになる」時のスピードが、オピーの映像作品のスピードに近いと感じた。ちょっと慌てたように、でも真面目に走っていない動き。以来、交差点や信号を渡るたび「オピー歩き」するようになった。

渋谷に着いて円山町で休憩して、ごはん。道玄坂のどん詰まりにある「庵GuRi 5566」に初見で入ったけど、日本酒が豊富で食事も美味しかった。

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渋谷の美熟女が気になる。

結局泊まって、翌朝も散歩。円山町のラブホは週末22時チェックイン開始が多いので、すぐに眠くなっちゃう人は注意が必要だ。昼間は便利なんだけど。

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ブラックライトがあるとテンション上がります。ブラックライト高いんだよ!

朝ご飯食べて、今日のお散歩エリアを考える。話し合って白金台にした。「リニューアルした港区立郷土歴史館にまだ行ってない!」という私のリクエストが通った。

恵比寿を通って、白金台通って、目黒まで正味1時間半ほど。渋谷から恵比寿まで歩いたこと無かったので新鮮だった。

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恵比寿あたりで見かけた渋い建物。

猥雑な円山町から、閑静な広尾へ、そして高級住宅地の白金台へ。

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白金には戦前の看板建築や出桁町家も残る。遊廓建築っぽいのも。

www.minato-rekishi.com

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港区立郷土歴史館の外観。旧公衆衛生院の建物を活用している。

「うひゃーゴツイ建築!ひゃっほう」とテンション上がったが、中の展示はひどかった。割と、いやかなり。写真NGだったけど「してはいけない見本帳」になっていたのがもはや笑えた。「何だこのキャプション!映像!メディアコンテンツ!」と突っ込みどころ満載。あんまり言うと怒られそうだけど、日曜の昼間で客は私たちだけだった。

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昔の建築を残したホールや講義室は格好良い。

白金台から目黒はすぐ。途中、オサレなドンキホーテ「Platinum Don Quijote」があった。建設時に住民の反対に遭って店名を横文字にしたんだっけ。今では地域一番のスーパーマーケットと化しているよう。

目黒の「ニイハオ」で餃子を食べて解散。お散歩楽しかったな。

G20大阪サミット中の飛田新地を歩く

G20期間中に大阪で仕事が入りました。各国首脳の来日に合わせてパチンコ屋や風俗店が営業自粛したのは有名な話ですが、各ストリップ劇場もお休みだった。「飛田新地も全面休業らしい」と聞き、街はどんな雰囲気だろう?と興味が湧いたので、仕事前に朝イチで寄ってみた。そのためにウキウキ早起きする自分のこと、結構好きです。(でも自粛の必要性については懐疑的です)

g20.org

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山王市場通商店街。「High&LOW」の山王連合会の子たちがいそうです。

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動物園前駅からてくてく。お、渋い佇まいの建物が見えてきました。

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ドヤの宿泊価格や家賃チェック。安いのか相場なのか分からない。

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こういう路地に誘われて、ついつい足止めを食らってしまう。「オーエス劇場」は大衆演劇のメッカ。

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飛田本通商店街(動物園前一番街・二番街)のアーケード。渋い店が営業していたり、いなかったり。

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大衆酒場もあります。注目すべきはメニュー表で、西成モーニングは驚きの内容。

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自動販売機にはマイナーな缶ジュース。安い。

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2階の外壁タイルがお洒落です。

さぁ、歩いているうちに飛田新地が見えてきます。当然ですが、どこも営業していません。歩いている人もほとんどおらず、静まりかえっています。「いくら営業していなくても写真はダメだよね」と、建物の特徴をメモしながら歩いていると、お店の方が声をかけてきた。話しているうちに「写真撮って公開していいよ!普段は女の子が写っちゃまずいからNGだけど、営業していない建物は平気。むしろ、こんな休み滅多に無いから記録しといてよ」と言ってもらえた。ほかにも数人の方とお話したけれど、全員撮影・公開OKでした。というわけで、初めて飛田新地を撮影できました。感謝。(問題があればすぐ消します)

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ひと気のない通り。ふだんの営業時間に通ると男性客でにぎわっています。

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普段はピンクの灯りが艶やかな店先も、太陽の下ではイメージが変わる。白地の看板が各料理屋の屋号。

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どの料理屋も「G20のため休業」と書かれたポスターを掲げる。組合が制作したのだろうか。

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ここまで一斉休業するのは珍しい。あるお店の方は「前に休業したのは、昭和が平成に変わる時だっけ」と仰っていた。

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シンボル的建築「鯛よし百番」。登録有形文化財だけど、今はフツーの居酒屋です。

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仰いでみた。

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高速道路の下に出た。ご丁寧に「臨時休業」の立て看板が。

ぶらぶら歩き、普段はまじまじと見られない飛田を堪能しました。さすがにこのエリアは普段の営業中に堂々と歩けない。客になれない以上はせめて妨害をしてはいけないので。せっかく来たので山王らしいスポットへ。

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商店街を戻ります。「ニュー大阪」の看板が良い。

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ご存知、激安スーパー玉出。派手な黄色地に赤字で屋号が描かれた看板が遠くからでも目立つ。

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ネオンサインをふんだんに散りばめた内装は、パチンコ屋かと見まごうほど。ものすごく安いが、利益は出ているらしい。

玉出で軽く買い物をして(200円のお弁当は怖くて買えなかった)、昼から学会に参加するため移動。大阪芸術大学に行く必要があったため、喜志駅へ。ここは大阪か?というくらい遠くて田舎だったが、建築は立派でした。夕方まで働き、懇親会をやっつけ、宿泊地の阿倍野へ。ジャケットを脱いで飲み直しましょう。

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天王寺の立ち飲み屋「種よし」。阪和商店街のなかにあるディープな飲み屋。

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あべの・天王寺エリアに来たら必ず寄りたい「種よし」。店内いたるところに貼られたメニュー短冊に目移りしながら、その日のお勧めを聞いたり、横のお客さんから食事を分けてもらいつつ、変わったものをオーダー。

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地方の名物もたくさん置いている。大阪を出なくても47都道府県行った気になるね。

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珍しい刺身を注文したけど忘れた。何だっけ。おいしかった。

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店先でも飲んだくれている。店の周囲にも居酒屋が多いのでハシゴできる。

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居酒屋のトイレは共同。「衆」の書体が良い。

翌日も軽く仕事をし、雨が強まって来たので早々に帰京。G20のおかげで交通は不便だったけれど、休業中の飛田新地は貴重でした。2025万博期間中はどうするのかな、東京もオリンピック中は風俗店休業するのかな、とか色々考えましたが、個人的には普段通りの姿を見せてほしい派です。