盛り場放浪記

花街を歩くことが楽しみな会社員による、酒とアートをめぐる冒険奇譚。

夏も韓国に行こう①釜山・海雲台の絶景ビーチとブルーラインパーク編

あんにょん!4月に行ったばかりですが8月頭に渡韓してきました。年始のチェジュ航空セールで700円航空券を買っていたのです。毎年お盆休みは普通に働き、その前後で休みを取ってどこかに行く「ずらし旅」へGO。

前回の韓国旅行記はこちら。そろそろ韓国ネタ飽きたよという方、もうすぐほかの国も行くのでちょっと待って。ようやく韓国以外のアジアも行きやすくなったね。

sakariba.hatenablog.com

出発1週間前くらいは、台風6号が韓国に直撃するのではというニュースがありましたが、まぁなんとかなるだろ直前の台風進路次第だと気にしないでいたら、台風クンは沖縄に長期逗留したため韓国はノーダメージでした。帰国後にニュースを見たらこれから台風クンは韓国ツアーするようでした。神回避でラッキー。こういう悪運はめっぽう強い。

 

親しみを覚えるオレンジ色のロゴが青空に映える…。

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文庫本を読みつつ寝ていたらあっという間に釜山へ。近いなぁ。
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ちなみに今回の旅のおともは朝井リョウの「正欲」。朝井さんらしい視点で「多様性」社会に切り込んでいて良かったです。

 

入国手続きは超スムーズで何のストップもなかった。着陸後10分で電車に乗れるくらい。1時間ほどでホテルにチェックインし、韓国の親友と夕飯を食べる約束をしているので身支度を調える。

彼女は大学時代に日本に留学していて、同じ授業を取っていたことをきっかけに友達になった。大学の宿舎でトッポギを作ってもらったり、恋バナをしたり、一緒に課題に取り組んだり、アートについて語り合ったり、「あいちトリエンナーレ」に行こうと夜行バスで弾丸ツアーしたり、青春を過ごした大切な友達だ。

今はソウルで働きながら博士号を取っていて、今回の渡韓に合わせてわざわざ釜山まで来てくれた。ソウルから釜山は韓国の新幹線2時間半くらいかかるので感謝しかない。

夕食は釜山らしく海鮮にしよう!とアグチム(アンコウの蒸し物)を食べに行った。

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一見カフェのようなおしゃれな店内で、コラーゲンたっぷりのアグチムをいただいた。甘辛いソースが白身にぴったりで、シャキシャキのもやしとも絡む。アンコウのフライも美味しかった。
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楽しい再会の時間はあっと言う間で、彼女がソウルに帰る電車の時間が近づいてきた。彼女は来年出産を控えているし、私は冬以降しばらく韓国に来られなくなるので次に会えるのはいつになるだろう。そんな事情もあったので時間をつくってくれた彼女には感謝しかない。釜山駅のホームまで見送って涙の別れ。ホテルに戻り、彼女が日本語で書いてくれた手紙を読んでまた泣いた。最近泣くと翌日の目の腫れがやばいのに!

 

翌朝、早起きしてチェックアウトしバス停へ。夕方にチェジュへ向かうので日中で釜山観光といきましょう。

釜山の街中ではいたるところで2030万博誘致のPRがされていた。2030年まで7年もあるのに、市バス、鉄道、駅広告などをジャックしており熱の入った誘致活動に驚いた。我が国の万博ニュースは暗いものが多いので落差がすごい。2030年は多分釜山に決まるだろうし、面白そうだから決まってほしい気持ちもある。
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釜山駅からバスで45分ほど揺られて海雲台(ヘウンデ)へ到着。市街にほど近いビーチリゾートです。約2kmにわたって白い砂浜が続く海雲台海水浴場が有名。
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駅のコインロッカーにリュックを預けていざ海の方へ。10分ほどまっすぐ歩くと海岸に到着した。澄んだ青空にサラサラの白い砂が輝いている。海水浴場とはいえ泳いでいいエリアは限られており、ほとんどの人は足をつける程度だった。
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ひとりっぷなのでその辺の方に写真を撮ってもらう。韓国の人は写真を撮るのが上手。
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ビーチの近くには高層ビルがそびえ立っており、その高低差のギャップも面白い景色。
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BUSAN Xという展望台つきの建物も。屋上プールも発見。

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真夏なのでそりゃあ暑いですが30℃超えくらいなので日本よりマシです。風もあるので屋外活動できるレベルでした。

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このまま海を眺めて過ごすのもいいけれど屋外では熱中症になりそうだし、眺望のいいカフェが見当たらなかったので街中散策へ。つい収集してしまう面白日本料理屋。
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韓国で流行っているらしい生クリームドーナツ(トッベギ)の店「Knotted(노티드)」へ。前日に友人が教えてくれたので行ってみた。

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map.konest.com


ちょうど開店時間だったので並ばずに入店できた。帰りには満席だったので早めがいいですね。一番人気の生クリームドーナツとアメリカンを注文。なんか早割セット?効いて500円くらいでした。ナイフとフォークがついていたのでカトラリー使って格闘していると、隣のお姉さんが「カップを持って食べるのよ」と教えてくれた。なるほど…!クリームたっぷりでおいしかったです。
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どこ行こうかなぁ~と観光案内所のお姉さんに相談したら「ブルーラインパークが一押し!」とのことで行ってみた。2020年に観光列車がオープンしたことは知っていたのですが、あまり食指は動かなかったのでスルーするつもりでした。予約もいっぱいそうだったし。でもせっかくオススメしてくれたので行ってみよう。
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www.bluelinepark.com

行ってみるとやはり満席。予約した人も大勢並んでいて典型的な観光地渋滞を起こしていた。せっかく来たし列車とスカイカプセル?なるものの顔を拝んで帰ろう…と列の脇を進むと奥まで道が続いていた。お、乗車券代払わなくても見られるのね~と思ったら、なんじゃこりゃ!
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なんと可愛いレトロポップな列車と、空中を走るオモチャみたいなスカイカプセル!これが併走するのね、しかも海岸線を!え~実物可愛いじゃん、走っているところを見たいなぁとキョロキョロすると、駅の隣にカフェを発見。しかもルーフトップ席がある。特等席じゃん!

生スイカジュース500円(作り置きシロップとかじゃなく都度ジューサーで作っていて絶品だった)を注文して屋上へ。設置されていたパラソルを広げて、ジュースを飲みながらベンチで悠々とブルーライン鑑賞会を始めた。カフェのオーナーはよく分かっている…。

1時間近くいても全然飽きないし、写真や動画を撮りまくってしまった。自分がこんなに乗り物にハマるとは思わなかったし、動いている姿が本当にキュートなんですよ。

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下から見ても可愛いね。
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色んな車体があったけれど私の推しは青空に映える赤い子。
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2030万博誘致デザインも凝っていた。ちなみに25分の片道で3000円(1~2人)です。高っけぇ。エアコンついているんだろうか。たぶん乗ったら楽しいんだろうけれど眺めているだけで十分でした。乗車している人たちに手を振ったり、声をかけたり。
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桜木町駅の横浜エアキャビンは5分で1000円なので、ブルーラインの方が良心的か。海沿いを走る様子も絵になるし。しかしエアキャビンのワクワクしなさは何なのか…。
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海!街!高層ビル!可愛い乗り物!という全部盛り構図。列車やスカイカプセルの予約者はこちら側まで来ないので超空いていました。穴場でおすすめです。
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さてお昼にしますか。海雲台伝統市場を冷やかすも、観光地マーケット然としていたのと、複数人で食べる前提の料理が多かったのでスルー。冷麺が食べたいんだけど、マーケット近くの店はどこも満席で列ができていた。
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海雲台駅の山側に移動して散策。こちら側はあまり再開発されておらず昔ながらの街並みが広がる。あと何故か日本食屋が多い。
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うまいみせ、白飯におかずを載っけて丼で食べさせる店のようだった。看板メニューはハンバーグ?
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あの煙突はお風呂屋さんかな。海雲台温泉入るのも素敵…。
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銭湯は解体中でした。
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地図も見ずにフラフラ歩く。なんとなくこっちの方に素敵なものがありそうだ…という勘だけで。最近こういうフリーダム散歩をしていなかったので楽しい。

お寺がありました。尼僧さんに声をかけて拝観させていただく。日本の寺院の門は木製の質素な門が多いですが、韓国の寺院は中国の影響が色濃くカラフルな門が多い。
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散歩は満足したので駅の方へ戻ろうか。個人の雑貨屋やおしゃれなカフェがちらほら見えるが昼食を摂れる店は少ない。あっても外国料理ばかり。

雑貨屋が複合入居するレトロなアパート。ピンクのお布団が可愛い。

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駅そばに冷麺屋を発見し、これ幸いと入店。結構老舗っぽいのに空いている。看板メニューの冷麺を注文。
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う、うま!これイメージしていた韓国冷麺じゃないぞ。小麦麺が細くてプリプリだし、澄んだお出汁が力強く、載っかっている豚がウマイ。あたたかいお出汁スープも美味しい。
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調べると、これは「ミルミョン」という釜山名物で、要は釜山版冷麺らしい。一般的な冷麺はジャガイモやそば粉でできているが、ミルミョンは小麦麺。朝鮮戦争後、食糧不足のためアメリカからの援助物資である小麦粉で代用したのがルーツだとか。また牛肉ではなく豚肉を使うのも特徴。このお店はアクセントに細切りした梨が入っていて、スープを凍らせた氷入りなので最後までぬるくならず美味しくいただけた。

真夏に食べるミルミョン最高。冷麺界では一番好きだ。

お店はこちら。地元の方が多くいらしていた。ここでマンドゥつまみながらソジュ飲んで午後を過ごしたい衝動に駆られる。

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食後、さっきハマったブルーラインのスカイカプセルポストカードで日本宛の手紙を書いた。ブルーラインのピンバッジとステッカーも買ってしまった。デザインが可愛すぎるんだもん!韓国こういうグッズデザインに優れている。駅近くに郵便局があったので郵送。何日で届くかな?(後日談:約2週間かかりました)
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駅そばでポップアップ展示をしていたので寄った。無料でしばらくやっているみたい。
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釜山市や観光協会が主催なのか、釜山の新しいシティブランドを発信する展示だった。「Busan is good」をコンセプトに打ち出すそう。

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ここでもグッズに力が入っていた。つい欲しくなっちゃったが来週以降発売らしい。危ないところだった。

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そろそろ空港に行くかと駅に向かうが、フライト時間が変更になり早まるという知らせが届く。えっ、無理間に合わないって!

焦るとロクなことはなく、うっかり反対側の電車に乗ってしまった。これまで韓国で電車間違えたことないのに!しかも終点越えて車庫に入り、車内を清掃するおばちゃんにギョッとされた。気を取り直して到着時間を調べるも、どんなに急いでもフライトの数分前に空港着が最速。1時間半かかるもんね。

 

おっとーー、やらかした!

脈が早く打っているのが伝わる。呼吸が浅くなる。飛行機取り直せる?今日中に着ける?チェジュの友達との夕飯の待ち合わせに行けないかも。連絡しなきゃ。余計な思考が飛び交う。焦っているらしい。

こういう時は深呼吸。10秒かけてゆっくり吸い、少し止めて、10秒かけてゆっくり吐く。数回繰り返すと頭がスッキリした。焦って行動してもロクなことにならない。1分間心をととのえて、それから対策を講じた方が確実にうまくいく。

 

「おもしろくなってきたぞ」

まずはスカイスキャナーで振替られるフライトを確認する。ないとのこと。最速で明日の夜になってしまうようだ。なんとしても今夜のうちにチェジュ島に行きたい。

続いて、釜山空港のホームページをチェックして、釜山発チェジュ行きのフライト状況を見る。お、まだ結構飛んでいるみたいだ。早い時間順で各航空会社のホームページの空席状況を見る。英語サイトがあって本当に助かる。日本語サイトでは出てこない便も結構出ていることが分かった。

 

エアプサンは…売り切れ。大韓航空は…お!ある。ちょっと高いけれど候補イチ。同時刻発のジンエアーは…予約できる!しかも乗りたかったチェジュ航空と値段がほとんど変わらない。

となれば、ジンエアーのフライトを予約して、チェジュ航空の予約をキャンセルだ。チェックイン前ならチェジュ航空のキャンセルができて、しかも航空会社都合の時間変更として返金もされる。到着は当初より1時間以上遅れるが、夜までに着くなら問題ない。あ~~ほっとした。いざとなれば釜山からソウルに出て、ソウルから国内線に乗ることも考えたので、心から安堵した。

 

で、空港に着いた。ジンエアーのフライトに無事チェックインできた。やはり海外での飛行機は1時間半以上前に到着するようにしましょう…。海外旅に慣れてきた頃に陥りがちな失敗として、いい教訓になりました。LCC乗り過ごした方は、空港サイトをチェックして別の便があるか調べてみてください。乗り過ごさないに限りますが。

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時間ができたので、チェジュの友達たちへの手紙を書いた。せっかくできた時間は前向きに有効活用。Papagoアプリで翻訳を駆使して、一文字も読めないハングルを「描く」。

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夕焼けフライトだったので夕陽を眺めて過ごせた。窓際のベスト席でラッキーでした。
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チェジュ空港着。夕飯を一緒する予定の女友達に「着いたよ!」と連絡し、レストランに向かうためタクシー乗り場へ歩く。すると彼女から「私の友達も同じ飛行機だったから、あなたをピックアップしてもらうわ」とメッセージが。え!?誰かが来る?
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「今日のあなたの写真も送って」とのことで、全身がわかる写真を送った。「出入り口付近にいるこの子を探して」と友達の友達の写真が送られてきた。飲み会で酔っ払って踊っている写真だった。分かるか!

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異国でマッチングアプリの初回面会みたいなムーブをしているのウケる。(マッチングアプリしたことないですが、よく駅前でキョロキョロしている人たちもこういうことしてるんですよね?)

 

出入り口でキョロキョロしていると、同じように人を探している女性と目が合い、お互いに「もしかしてー?」とスマホを見せ合い、「はじめまして!」とハイタッチ。英語が上手い方で助かった。
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すぐに彼女のボーイフレンドが車で迎えに来てくれ、目的地のレストランまで送ってくれた。彼女たちはそこに行くわけではないので、本当にただの好意である。感謝しかない。

彼女はチェジュに住んでいるが、仕事の都合で本土に単身赴任しており、長期休暇のたびに帰ってくるそうだ。「都会は人が多くて疲れちゃう。チェジュに帰りたくて毎晩泣いているわ」と言った。

「今夜は一緒に行けないけれど、よかったら明日の夜ご飯を食べたいね。予定が決まったら連絡して。お互いチェジュを楽しみましょう」レストランで私を下ろし、車は来た道を戻っていった。
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友人たちがレストランの入り口で待ち構えていて、遅刻した私を笑顔で迎えてくれた。今夜はサムギョプサルパーティーだ。昔日本に住んだことのある友達を連れてきてくれていて、少し日本語で会話することができた。友達の輪が広がるのが嬉しい。

「あなたが日本語しゃべっているのを初めて聞いた。日本語ができるって話、信じてなかったw」と言われていた。


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いつも「JEJU」Tシャツを着ている彼。前に行ったソウルのバーで痛飲している写真を見せてくれた。いい顔。
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食べて、飲んで、みんなでいつものバーへ移動した。行きの八百屋で買ったフルーツを持ち込み、ビールやワインを飲む。
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ここはミュージックバーなので音楽のリクエストができる。日本の音楽はチェジュでも人気なので、こんなのもいいよ!と布教しまくる。酔っ払うといつも同じような曲ばっか聞きたくなるね。真夏のチェジュ島で聴く「若者のすべて」エモかった。
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日本語ができる彼女は、14年前にワーホリで吉祥寺に住んだことがあって、岩井俊二の映画と村上春樹が好きで、キリンジとEGO-WRAPPINがお気に入りなのだという。

マジか!日本でもそれらを語れる人少ないよ、とお互いはしゃぐ。チェジュで「海辺のカフカ」を語る日が来るとは思わなかった。「ドライブ・マイ・カー」は絶対観て、とプッシュした。素敵な音楽が流れるバーで、美味しいお酒を飲みながら気の合う人たちと語る時間のなんと豊かなことか。夜が更けていく。時間が止まればいいのに。
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この晩、カカオトークに「JEJU CRAZY GIRLS」というグループチャットができました。ワインは2本空きました。
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続く!