盛り場放浪記

花街を歩くことが楽しみな会社員による、酒とアートをめぐる冒険奇譚。

素敵な本を読めたらその日はオールオッケー!

「ごきげんは自分でつくるもの」。私の朝はこの魔法の言葉で始まる。

ずっと聴いているラジオ・J-WAVEの朝の声で知られる別所哲也さんの名言だ。平日毎朝の「J-WAVE TOKYO MORNING RADIO」のシメの言葉に使われていて、雨の日も風の日も、別所さんは明るいテンションでリスナーをブランニューデイへと送り出してくれる。

「Have a great day and don't forget your smile!」

 

たいてい頭がゴキゲンなお気楽人間ですが、たまにはヤなこともあります。

せっかくの週末が仕事に終わってしまった日や、がんばってるのに仕事相手から無下なメールを送りつけられた時や、経費精算や勤務表や押印申請など事務仕事が溜まっているのにPC前に座る気が沸かない時とか。(仕事ばっかやな…)

家にいるときは、1時間走ったり踊ったりすればスッキリするし、イライラモヤモヤは汗とともに流れてバイバイできちゃうけれど、仕事帰りの出先は踊れないから困ってしまう。そういう時は小説の世界に旅に出ます。エッセイでも何でもいいけれど、上質な文章こそ一番の薬。レッツ・現実逃避!

映画も大好きだけど、映画館に足を運ぶ元気や時間がない時もあるし、電車の中でパッと切り替えたいのだ。そういうときは、ぜひ本を。私はおでかけ鞄に文庫本が最低1冊入っていないと不安になる。読み終わりそうな時は新しい1冊も必要。タフな現実からの逃げ場をくれ。

 

今年、個人的には新作映画が不作。旧作は名画座で名画を見まくっており、2023年はそれを超える新作には出会えていないなぁ。

というわけで備忘録で面白かった本を並べておきます。この10倍くらい読んでいますがぼんやりとしか覚えていないものも多いので、良かったものしか挙げません。

 

すばらしかった!読み終わるが惜しいくらい、この世界にはまりました。いわゆる時代小説ですが、読みやすいし言葉遣いが洒落ていて粋。初めて読む作家さんでしたが、思わず過去作品をポチって読んでいます。

これまた面白い。でも「木挽町」の方が構成とオチが鮮やか。

 

憧れの女性・高峰秀子さまの書く文章が好きです。品がある。小学校しか出ていない人ですが、教養とはこういうことを言うんですね。物心ついてから映画女優としての仕事をしてきた彼女ならではの、仕事への向き合い方は含蓄がある。プロってこういうことを言うんですね。生涯、最初で最後に挑戦したシナリオ(脚本)も圧巻でした。

 

直木賞を受賞した「しろがねの葉」を読む前に、過去作も読みたいと思いこちらを。ストリップの踊り子の新井さんとの共著は読んだことがあり(「わるいたべもの」こちらも面白い)、新井さんは知人なので、勝手に千早さんにも親近感を湧いていたのですが、いやいやすごい小説家じゃないですか!尾崎世界観さんとの共著「犬も食わない」もヒリヒリ楽しめました。

 

今のところ一番好きなのはこちら。著者初の恋愛小説とされています。ラスト泣きました。翌朝目が腫れてどうしようかと思った。「しろがねの葉」読むのが楽しみ。

 

面白い小説や本に出会ったら、その作者の過去作も全部読む悪癖があります。熱しやすい。中島らも東直己金原ひとみ綿矢りさ瀬戸内晴美谷崎潤一郎…。

センセイの鞄」がとても良かったので、川上弘美さんの過去作も大体読んだんですが、そこまで好きな世界観ではなかった。電車で読んでてのめり込みきれず、ほかの本に浮気をして中途半端なまま何冊も読みさしになってしまった。(家に帰って残り数十ページだけを何冊も読むはめになる)

「うおー!次の駅で降りなきゃなのに、今読むのをやめたくない!」とか、夢中になって乗り過ごしてしまうくらいの小説を求めているわけです。

 

自宅の「読む本の在庫」置き場には、常に何冊か転がしておくのが至上のシアワセです。時間の無い出かけ際に、さっと1冊持って出ればいいので。しかし、村上春樹さんの新刊「街とその不確かな壁」がドーンと2ヶ月鎮座してしまっており、攻略機会を今か今かを伺っています。うーん、この1冊だけ持って長旅にでも行こうか。読書好きには、いつ、どこで読むかというのも大事なポイントですよね。

すべてがすべて自分向けではないけれど、どんな一日も充実してしまうかもしれない魔法のアイテム、本。ずーっと読み続けていても読みたい本が切れることはないし、何十年経っても飽きることがありません。

ありがとう本、ありがとう作者の誰か、ありがとう出版社、ありがとう本屋。月に1~2度、リアル本屋さんに行って4~5冊吟味して値段を気にせずレジに持って行き、肩の重みを感じながらホクホク帰る時間が、何より貴い。明日は何を読もうかなぁ。