盛り場放浪記

花街を歩くことが楽しみな会社員による、酒とアートをめぐる冒険奇譚。

三軒茶屋で、チェルフィッチュの「スーパープレミアムソフトWバニラリッチソリッド」を観劇する

スーパープレミアムソフトWバニラリッチソリッド。

すわアイスの新商品か、それにしては名称があまりにも長すぎないかと思うなかれ。演劇の公演名だ。

chelfitsch.net

2月3日(日)の楽日、三軒茶屋のシアタートラムで、もりりゅと観劇した。もりりゅは、いつも面白いイベント(芝居、ライブ、展示など)をオンタイムで誘ってくれる感度の高いナイスミドルで、お役所仕事の悲哀を肴に酒が飲める貴重な友人だ。

そんな彼から「絶対面白いから!!」と言われちゃ行かないわけにはあるめぇ。「スーパープレミアムソフトWバニラリッチソリッド」は、2014年に初演された「スーパープレミアムソフトWバニラリッチ」をバージョンアップした作品だ。

チェルフィッチュは、独特な言葉と身体の関係性を用いた手法が高く評価され、現代を代表する演劇カンパニーとして国内外で高い注目を集めている。最近はしょっちゅう海外公演している印象だった。

世界 13 カ国 22 都市を巡った作品が東京に帰ってくる。それだけでワクワクする。

というわけで三軒茶屋田園都市線方面はあんまり親しみがないので、待ち合わせ前に軽く散歩した。

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日中の三角地帯は静か。路地においでおいでと囁かれて、迷路に迷い込む。

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寂れ加減が絶妙である。再開発で三角地帯一帯が無くなるうわさもあるが・・。

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おっと銭湯。お風呂屋さんがあると寄りたくなっちゃうが、また今度。

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すっかり有名店の包包。食べ歩きに持って来いのサイズがいいね。

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あら豚足まで。しかも甘辛く煮込んだやつじゃないの・・。

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商業施設内の3COINSでドラえもんコラボがあり、どこでもドアシールを買ってしまった。

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シアタートラム。仰々しい入口が素敵だ。

もりりゅと合流して入場した。客席は9割方埋まっていたが、満席ではなかった。

そして開演。バッハの「平均律クラヴィーア曲集第1巻」に乗せて、コンビニを舞台に、淡々と、取るに足らない出来事が起こる。チェルフィッチュの特徴である、ダンスにすら見える虫のような動き(踊りではない)が奇妙で、不気味で、あらゆる意味性をペラペラにしてしまうコンビニという現代社会がつくりだしたキメラ的空間とマッチしていた。

24時間営業していて、全国のどの店舗に行っても均一のサービスを受けられる場所、コンビニ。世界各国どこを見ても、驚くべき利便性や合理性、過剰なサービスやテクノロジーによるオートメーション化が図られたコンビニのような施設は見当たらない。たしかに便利で生活を支えるインフラなんだけど、変じゃないか。コンビニは、人間の本能的な感情さえも変化させるのではないか、そんな考えに至らさせる。

路上の虫を虫眼鏡で見て、ザワザワと蠢く脚や翅が気持ち悪くて、あまりに人間のそれとかけ離れた生態が分かり合えなくて、目をそらしたくなるような、そんな芝居だった。観劇後、「怖かった!!」ともりりゅに話しながら、ビールを飲みに街に繰り出す。

flatbar.owst.jp

もりりゅイチオシの酒場「FLAT BAR」。ビールが絶品で、食事もなんでもおいしい。実はそんなにアサヒ・スーパードライをひいきにしない私だが、ここのスーパードライはきめ細かい泡と柔らかい飲み口が素晴らしく、「スーパードライってこんなにおいしかったんだ!?」と衝撃を受けた。クラフトビールも多数取り揃えているので、ビール好きなぜひ行くべき。揚げたてジュワジュワの唐揚げ、ネットリ里芋のポテトサラダ・・いわゆる大衆居酒屋メニューも店独自の工夫が見える。

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隠れ家のような個室からオーダーするにはベルを鳴らす必要がある。オールバックスタイルのもりりゅが執事みたいだったのでそれっぽいポーズを取ってもらった。!

たらふく飲んで、あれこれ話して、すっかりゴキゲンなふたり。

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店を出たら、三角地帯の赤提灯に灯りがともっていた。未来にのこしたい東京風景。

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楽しくなっちゃって踊りはじめるふたり。

日曜だけどもうちょっと遊ぼう!と渋谷へ。行きつけの音楽バー「BAR MUSIC」へ。

barmusic-coffee.blogspot.com

 

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洒落た店内で、選び抜かれたハイセンスな音楽を聴きながらジントニックを飲む。

この日は、ちょうどソフィ・カルの映像作品が渋谷スクランブル交差点で公開されていた。月曜からも頑張りましょう。