盛り場放浪記

花街を歩くことが楽しみな会社員による、酒とアートをめぐる冒険奇譚。

祝・ストリップ劇場再開!シアター上野5結が本気すぎる

待ちに待った、とか、夢にまで見た、とか。どんな言葉で表現しても言い尽くせない。

政府と各自治体による緊急事態宣言ならびに自粛要請を受けて、4月11日ごろから営業中止していたストリップ劇場が、5月末~6月から始動し始めた。振り返ればたった2ヶ月と思われるかもしれないけれど、いつ再開できるのか、全く先の見えない状況で過ごす時間はあまりにも長く感じた。

自粛期間は、劇場関係者、踊り子、ファンの方々が、それぞれSNSや動画配信サービスなどのツールを駆使して、近況などを積極的に情報発信していた。そのおかげで、インターネットを使える環境下にあるファンは、そうした情報にアクセスすることで孤独感をやわらげ、劇場に行けない期間も様々な思いを共有することができた。こうしたつながりは、多くのファンの心の支えになっていただろう。

各踊り子の配信サービス状況をまとめたリストも生まれ、一日中配信にかぶりつくファンも出た。劇場に行くより忙しい人もいたとか。(WEBページ作成:zaitakuさん)

odoriko-live.jugem.jp

いよいよ劇場再開。再始動にあたり、各劇場で様々な対策が行われている。例えばシアター上野ではこんな感じ。

1.マスクの着用

2.非接触の体温計にての検温

3.消毒液での手洗い

4.場内での食事の禁止

5.場内での過度のお喋り

6.通路で立ち止まる行為

7.踊り子さんの嫌がる行為

プラス、盆正面かぶりつき4席はフェイスシールド(劇場支給)を装着する必要がある。ソーシャルディスタンス確保のために座席数を削減し、立入禁止区域のバリケードも設置。南美光ちゃんの下記ブログ記事内に、劇場内の写真があるので参考になる。

pikapi.blog.jp

なおバリケードは5/27時点は手造りの段ボール製だったので、どことなく上野公園らしさが出ていた。これでブルーシートの覆いがつけばサイコーに上野らしくなる。

余談だが、川崎ロック座と横浜ロック座も対策を講じている。チップやプレゼント、Pプレを行える上野と比較するとかなり厳格。まだ行っていないけど池袋ミカド劇場のデジはかなり遠くなったとか、巻き巻き進行だとか。

kawarock.blog5.fc2.com

なんにせよ、劇場再開がうれしくてたまらない。緊急事態宣言終結=コロナ収束ではないし、第二波がくる恐れもあるし、2回目の緊急事態宣言が発令される可能性だってあるんだから、それぞれができる限りの予防対策を講じるのは大賛成。とくに、マスクをつけられない生身の踊り子さんたちは見えない恐怖と隣り合わせでステージに立っているので、ファン側が万全を期すことはマスト。これからも健康第一で乗り切りましょう!

 

さて、いつも通り前フリが長くなりすぎましたが、シアター上野5結の感想レポです!

【5月27日の香盤】(3回まわし)※敬称略

1.新井見枝香

2.ささきさち

3.山口桃華

4.希望のん(5/26-27だけ、玉さんの代演)

5.南美光

 

もともと、劇場再開後一発目はホームの上野でキめたいと思っていたけれど、それでなくても大好物な香盤です。今週・来週の上野の香盤は「本気(マジ)」だぜ。

初日は混むだろうと思い、ずらして平日に。1回目スタート時に7割ほど埋まり、2回目トリでほぼ満席に近い入り具合。ちなみに場内はガンガン喚起効いてて少し肌寒いので上着必須。

 

1.新井見枝香

この日は3個出し。デビューからすでに10作近く作っているので、驚異的な生産力です。1回目は激しいメタルサウンド演目、2回目は学ラン(新作)、3回目はメイドからのドレス(樹音さんからの継承衣装)。演目タイトル分かったら更新します。

上半身の装飾とグリーンのチュールスカートが美しいロングドレス、よく似合っていた。本人、エレガント系の衣装は自信ないと仰っていましたが、いやいや、彼女の持つ凛とした女性の魅力をさらに引き出しています。

プラチナブロンドのボブヘアーにエメラルドグリーンの瞳、黒装束、首輪、引き締まった細い身体・・・ますますビスク・ドールめいてきました。低脂肪系スレンダー踊り子としては去年の春夏ごろの鏡乃有栖さんを思わせる。2ヶ月の自粛期間もストイックなトレーニングを重ねてきたのでしょう、踊り子歴約4ヶ月(2020年2月1日デビュー)の新人とはいえ確かなプロ精神が備わっています。そしてダンスやベッドも迫力がある!ポーズ可動域や柔軟性がさらに増し、見ごたえ十分。なによりも、心から楽しんで踊っている姿が観る者の心を打ちます。お客さんの手拍子にも力が入る。トップステージから場内がアツくなる!

 

2.ささきさち

上野初乗りおめでとうございます!この日は2個出し。1回目は上京の思いを込めた「HOME」、2回目はデビュー作。実は初めて拝見したのですが、1ステージ観て確信。彼女は大物になる。

いち客風情が偉そうなこと言って恐縮です。ただ、ものすごい集中力と豊かな感性をお持ちの踊り子さんだなと感じました。派手なパフォーマンスや豪華絢爛な衣装で観客を圧倒するというより、等身大の自分を包み隠さず明かすステージ。ありふれた日常のなかにある手のひらサイズの感動や感情、もしくは彼女がとても大切にしている秘密の宝物をそっと見せてくれるような、観ているこちら側の心があたたまるものです。ずっと観ていたくなるステージ。

身体つきは少女のような、けれども女性らしい曲線美と確かな体幹が美しい。蕾がほころび、まもなく開花するであろう大輪の花を予感させる。顔立ちもあどけなさが残るので、いわゆる「ロリ系」の踊り子かも。お化粧薄めで清純派キュート。けれどもベッドでは「意思の強いまなざし」と「似つかわしいくらい大人びた表情」を見せ、発達途上の肉体とのアンバランスさがこちらの心をかき乱します。(全然タイプは違いますが、大ベテランだけどいつまでもフレッシュな少女らしさが素敵なさくらさんを連想しました)

この日は3回目のヨシダッチの照明が神がかっており、ささきさんが全面的に信頼して身を預けているのが感動的だった。同じ演目も照明でこうも見え方が変わるとは。ストリップはライブだし生き物だ。

ところで、このところの渋谷道頓堀劇場デビューの踊り子さんは全員ポテンシャルが高いと思いませんか?金魚さん、宇佐美なつさん、ささきさちさん。まだ拝見していませんが、柳るいさんもグレイトと聞いています。きっとスカウトさんの腕が良いんだろうな。振り付けも、各踊り子さんの個性に合わせてバラエティ豊か。振り付けはチナツさんが中心と伺っています。すげぇ。

 

3.山口桃華

この日は3個出し。1回目「マリオネット」(新作)、2回目「インディアン」(新作)、3回目「変面」。新作が2つも!11周年おめでとうございます。

髪色が少し明るくなって、さらにパリピ感増してて素敵。一日でいいからこんなナイスバディ美女になりたい。桃ちゃんはルックスも性格もめちゃ良いのに、演目がハッピーで明るいノリなところが好き。いつ観ても元気と笑顔をもらえる。喋るとフワフワして癒されるし、ウインクもらったら「私のこと好きなのでは?」と勘違いしちゃうし、デジサインが一所懸命なのになんかゆるくて天然なところが可愛い。桃ちゃんサイコー。

デジ撮ったら周年グッズいただいちゃいました。周年記念のステージ写真数枚、リストバンド、ゴールドのタンブラー、氷代わりになるストーン。豪華!

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4.希望のん(5/26-27だけ、玉さんの代演)

代打ということもあり、この日は1個出し。2020年のお正月演目。

グレーアッシュなヘアカラーとグレーブルーの大きな瞳が印象的。少女漫画に出てきそうな美少女なのに、どこか儚げで影を感じるのは「困り眉」(下がり気味の眉尻)だから。悲しげで守ってあげたくなるようなところが、きっと男心をくすぐるのでしょう。なので個人的には、スマイルいっぱい☆アイドル演目よりも、ちょっと暗めでドロドロした雰囲気のダークな演目の方が魅力を引き立たせる気がする。

で、今回の演目はまさにソレ。不倫経験のある女性アーティストたちの重めな楽曲と、笑顔少な目の表情はミステリアスで、白く細い手足があやしげに暗闇に伸びる。骨格が美しく、脚フェチの私としては魅入ってしまう美脚です。

シリアスなステージに反して、デジは明るく和やか。代打を応援する熱心な常連さんたちもちらほら。Tシャツやグッズ販売もしており、買い求める人も。オープンで来ていた黒いTシャツの背中には「人生一度でいいからバズリたい」と書かれていました。

 

5.南美光

自粛期間中はブログ「ぴかきら日記」を拝読し、新作衣装やマスクを制作する過程を興味深くウォッチしていました。職人だ!この人は職人!

彼女は、2ヶ月もの間、不要不急の外出を控え、栄養バランスの取れた食事を摂り、裁縫用の布などは通販で揃え、客の健康を案じ、劇場再開後の展望を具体的に考えていた。踊り子の鑑だなぁ。こういう真っ直ぐなところが彼女らしくてとても好き。

マスクは、合ポラを撮った方にプレゼントしていました。爽やかな水色のアロハ柄と、パンツのような縞柄の2種類をランダムに。

先着順だと思いますので、欲しい方は今週か来週の上野でゲットしてください。マスクには、手書きのA4メモが付属しており、布マスク配布に至る思いや使用にあたってのお願い事、詳しい材質などが書かれていました。字がキレイでイラストも可愛い。

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使い心地ですが、今まで使ったどんなマスクより使いやすいです!シルエットが美しく、顔の骨格に沿うように立体的にデザイン・縫製されています。

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アロハ柄はファッションアイテムのようにも見える。表の素材は汚れが付きづらい布ポリエステル、内側は肌あたりが優しいダブルガーゼ。耳にかけるヒモはポリウレタンナイロンで低刺激。劇場という密閉空間で長時間着けてもらうことが前提のマスクです。ウイルスの侵入を出来る限り防ぐため、密着性を重視しつつも、呼吸がしやすいように通気性を兼ね備えています。やっぱり職人だ。

 

さて、この日は2個出し。1・3回目は黄色とピンクの衣装でダンサブルな作品(2年前くらいの作品)、2回目マジシャン風で早着替えの名人芸を披露。新作はもうちょいかかるそうです。

光ちゃんを観てようやく、あぁ劇場が息を吹き返した、と感じました。ブランクを感じさせない全力投球のダンス。自粛期間中のトレーニングの成果で「くびれ」が誕生しているところも見逃せない。おっぱいとお尻のボリューム感とハリはそのままに、出すとこ出して締めるとこ締めてて、仕上がってます!

そして情念のオナベ。人差し指と中指が第二関節まで飲み込まれる様子が、あらゆる体位でよ~く見えます。薬指をお尻の方に当てる仕草もエロい。フィニッシュでは、手首から先の動作を固定し、上半身と下半身を激しく揺らして喘ぎ、見事なイきっぷりを披露。これは、ちょうど絡み相手の男性側(空想)もイきましたね・・。思わず観客たちの息も荒くなり、かぶりつき席のおじさんたちが装着したフェイスシールドが白く曇り、内側に水滴が滴っている。

 

シアター上野、実はこの自粛期間中に、最新兵器を装備しました。「ヨシダッチスペシャル」とでも名付けたいLED照明です。

この照明器具により、今までよりも盆を明るく均等に照らすことに成功しております。色の再現性も高く、鮮やかなカラーで踊り子の肢体を照らします。陰影も大事、光量も大事・・照明の考え方は色々あると思いますが、「踊り子を美しく魅せる」ことを第一義に考えれば、新しい表現への挑戦を歓迎したいですね。(個人的にはハロゲンのあたたかみが好みですが、熱いし値段が高いのでサステナブルではないとも思います。LEDは写真撮影時に色落ちするのが難点ではありますが)

新しい照明は照射範囲が広めなので、盆でのポーズベッドを際立たせます。身体のラインや滑らかな肌をベタっと強調する様はどことなく日活ロマンポルノ的。シアター上野の「場末感」やいかがわしさを演出するにふさわしい・・というのは言いすぎかしら。光さんのオナベの「濡れっぷり」もよく見えるので、ぜひ3回目ラストまで楽しんで。

 

余談ですがPプレも健在でした。1回目はじゃんけん大会、2・3回目は投げ。1回目にささきさちちゃん、山口桃華ちゃんのPを連続ゲットした強運おじさんは、次の回は大事そうに握りしめながら寝ていた(笑)そして帰り際にくださいました。きっと獲るのが楽しいのね。2枚のPは人肌に温められてホカホカでした・・。※私はP客ではないですが、頂けるなら有難く持ち帰ります。

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この日は顔見知りの常連さんたちも多かった。缶ビールやジュースをいただいたり、色々ご親切にありがとうございました。ねこちゃんもご健在で安心しました。

終演後、冷めやらぬ興奮そのままに、換気バツグンの焼き鳥屋「鳥笑 本店」で常連さんがたとサクっと打ち上げ。シアター上野再開祝い、久しぶりの再会祝い、私の社会復帰祝いなど、あらゆる理由をつけて乾杯しまくりました。

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ストリップ観て免疫力高めて、アルコールで体内消毒して、みんなで英気を養ったのでした。

6月からは全国の劇場が再開する。忙しくなりそうだ。どこの劇場も素敵な香盤なので、どうやって時間をやりくりするかが嬉しい悩み。