近況と諸行無常~夏をあきらめて
コロナ禍でライフスタイルが大きく変わったのでブログ更新停滞していましたが、ちらほら読んでくださる方がいるので、今後は備忘録的な小ネタも逐次更新するよう心掛けてみます。いつまで続くかわかりませんが!
近頃は感染予防を言い訳にストリップ劇場から足が遠のいており、地方巡業も難しいので遊郭巡りも休止中。禁酒法時代突入により酒場巡りもほとんどできていない状況です。要するに「盛り場」で盛ることがお上に封じられた暗黒期に突入しているわけですが、意外や意外、私はいたって元気です。「盛り場は心のなかにある」をモットーに自家発電にいそしむ日々を送っています。
コロナ禍のトンネルの出口はまだまだ見えない暗闇ど真ん中ですが、自分や周囲の健康と幸せを第一に、色々なものを諦めつつ、今できることを全力で楽しんで暮らせているのでどうかご安心ください。外出時は不織布のKF94マスクが、手に入りやすく、比較的楽なのでおすすめです。
コロナに対する私の考えは、批評家・東浩紀さんの意見に影響を受けました。学生時代に『存在論的、郵便的――ジャック・デリダについて』を読んで「現代日本にも天才がいるんだな」と感服したものです。『動物化するポストモダン――オタクから見た日本社会』も面白いよ。彼は、1回目の緊急事態宣言が出た2020年4月に、すでにこの境地に到達していた。あずまんは、やっぱり凄い人だと思う。
緊急事態宣言発令が決まりました。世界の感染者数はうなぎ上りで、不安を抱いているひとも多いと思います。ゲンロンカフェも3月初めから観客を入れたイベントを完全に停止しています。自粛の長期化がほぼ確定したため経営がむずかしくなっています。事態はきわめて深刻です。
— 東浩紀 Hiroki Azuma (@hazuma) 2020年4月6日
とはいえ、このような状況だからこそ、不安を拡散し、強化するような振る舞いは慎むべきだと思います。新型感染症に対して、ひとりひとりができることはきわめて限られています。三密を避ける。無駄に出歩かない。そのうえで無理なく日常を送ればよいのです。ゲンロンも粛々と無観客で放送し続けます。
— 東浩紀 Hiroki Azuma (@hazuma) 2020年4月6日
コロナの死者はいま世界で7万人ですが、人類はこの何十倍もの規模の感染症を何度も乗り越えてきました。集団免疫の獲得には人口の6-7割の感染が必要だといいます。新型感染症の致死率がかりに1%だとしたら、日本では60万人が死ぬ計算です。現代人はとてもそんな数に耐えられません。だから恐慌になる。
— 東浩紀 Hiroki Azuma (@hazuma) 2020年4月6日
でも、耐えられないとしても、結局あまりできることはないのです。ワクチンや特効薬の開発はまだ先のことだし、それで完全なわけでもない。だとすれば、ぼくたちは、自分や周囲が1%に入らないことを祈りながら、運よく残り99%になったときの責任を果たしていくほかない。社会を守っていくほかない。
— 東浩紀 Hiroki Azuma (@hazuma) 2020年4月6日
感染拡大に気をつけながら、自由で文化的な生活を守り続けましょう。災厄後は必ず来ます。恐怖に負けてはいけません。
— 東浩紀 Hiroki Azuma (@hazuma) 2020年4月6日
去年から右往左往することが何度かあったけれど、その度にこのツイートを見て立ち返ってきました。いつからか、自分なりの希望の光を見つけて厄災をやり過ごすしかないんだな、という諦念に至りました。夏目漱石で言えば「則天去私」。
この1年濃密に触れてきたものは、映画と文学と美術と演劇と音楽、大きく括ると「フィクションの力」でした。名作を見返したり、今まで嫌厭してきたジャンルに挑戦してみたり、作品と1対1で向き合う時間を作れたことで、驚くほど有意義な時間を過ごすことができたのです。もう一度アカデミックの世界に戻って研究活動をしてもいいかも、と血迷ったくらい。慶応義塾大学が社会人入学の枠を広げたのも魅力的。
新しいことを学びたいなぁ。二十歳そこそこの頃より、ちょっとは広くなった視野で学問に向き合うことができる気がする。研究したいのは、やっぱり盛り場の歴史と変遷かな。安西先生、フィールドワークがしたいです…!今年も海外に行けず終わりそうなのが心残り。いや、あと3か月あるぞ。何が起こるかわからないのが人生なのである。
ま、いいさ。今年はZAZEN BOYSとNUMBER GIRLをナマで拝めたから、これ以上のご褒美は求めすぎかもしれん。生音はズンズンビリビリ響いてきて、生きていてよかったと心から思いました。夏の供養にふさわしい、騒やか(さわやか)な演奏だった。みんな無言で入場し、マスクを付けたまま着席して微動だにせず観るライブは禁欲的だった。唯一声を発することを許された、向井秀徳だけが自由だった。
「気づいたら、俺は、なんとなく、夏だった!」by NUMBER GIRL「透明少女」