盛り場放浪記

花街を歩くことが楽しみな会社員による、酒とアートをめぐる冒険奇譚。

年末年始だらだら日記②

今日読んだ2冊は、小倉孝保さんの「踊る菩薩 ストリッパー・一条さゆりとその時代」と楠木建さんの「絶対悲観主義」。

 

どちらも良かった。

一条さゆり。伝説的なストリッパーだ。ストリップにハマってその歴史を紐解けば、いずれ彼女の名前に行きつくだろう。私は残念ながらステージを拝見したことはないけれど(1972年引退だし)、小沢昭一をはじめとした数々の評伝でそのドラマチックな人生や伝説的な芸を漏れ聞いたり、日活ロマンポルノ作品「一条さゆり 濡れた欲情」等で生前の姿を拝見したりした。

2020年1月26日、シネマハウス大塚で開催された「映画をトークセッションする語る会」も行ったなー

katarukai2016.com

 

ただ不思議なことに、何冊か関連書籍を読んでも、彼女の全貌がまったくつかめなかった。一世風靡したストリッパーが引退公演で逮捕され、わいせつ裁判を通して図らずも「反権力の象徴」に祭りあげられ、しかし晩年は釜ヶ崎のドヤで孤独死に至ったというその過程や背景に何があったのか。真相は歴史の闇の中だった。

「一条さゆり 濡れた欲情」は引退直後の作品なので、本人が出演したと言ってもドキュメンタリー性はほとんどない。WIKIPEDIAに書かれている内容はどこまで真実か分からなかった。

ja.wikipedia.org

 

その点、評伝「踊る菩薩」は一条さゆり関連の書籍において最も分かりやすく、よくここまで調べ上げたな!と衝撃を受けた。彼女の人生やその魅力、様々な問題を抉り出していて、さすが毎日新聞社の一流ジャーナリストの筆致!

極貧の幼少期、絶頂期、刑務所暮らし、夫の自死、大やけど、生活保護、ドヤ街での暮らし、孤独死……。昭和の男社会を、自分の身ひとつと真心で生き抜いた一条さゆり。芸に生きて芸とともに亡くなった彼女の伝説の正史は、この本とともに語り継がれることだろう。

 

「絶対悲観主義」は、若いビジネスマンに捧げたい一冊。弟に勧めようと思う。

絶対悲観主義とは「自分の思い通りにうまくいくことなんて、この世の中にはひとつもない」という前提で仕事をすることで、期待感やプレッシャーなく仕事ができ、落ち込まないで過ごすための処世術であるとのこと。

分かる!自分にも他人にも過度に期待しない方が、何かと傷つかずにすむよね。

著者オススメのライフハック、仕事やプライベートで失敗した時に、パーキングのレンタカーに乗り込み一人「そうは問屋が卸さない、か…」と呟く(声に出すのがポイント)のは是非実践したいと思った。

 

一番興味深かったのが、アメリカの心理学者ハーズバーグの「二要因理論」。1960年代に注目された古典的なモチベーション理論だ。詳細は省くが、「満足」の反対にあるのは「不満足」ではない――「没満足」という満足がない状態だというハナシ。

人に信頼されること、その仕事自体に意義を感じられる要因を大きくすればするほど、職務満足は高まる。一方の「給料や勤務条件、対人関係」といった、一般的に働くモチベーションとして考えられがちなポイント、昇給や昇進は「不満足」をなくすだけであって「満足」はもたらさないんだそう。どんなに不満足の要因を排除しても、「没不満足」になるだけで、決して「満足」にはならない。給料を上げても本当の満足にはならないということだ。

この理論を自分の生活に当てはめて考えてみると面白いと思った。今何の状態なのか、「満足」なのか「没満足」なのか「没不満足」なのか。客観視することで、すべきことやしなくていいこと、自分にとってのワークライフバランスがハッキリしそう。年末年始、人生の棚卸しをするのにオススメの1冊です。

 

年末ごはん記録。まずは池尻大橋。

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池尻、初めて降りた…。レトロな街並みや素敵な個人店が多くて探索したい。銭湯もあった。f:id:sakariba:20221230155717j:image

 

カウンターで和食をいただく「KAN」とっても良かった。

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旬のコースで。涎が出る献立です。
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天然きのことつみれ汁、あったまった。きのこがどれも肉厚で贅沢。
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小鉢はどれもお酒に合う。柿の白和えもう1回食べたい。
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ごはんをゆずで蒸して、ますこを散らしている。いい香り!
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日本酒も色々ありました。ゆきだるま可愛い。
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シメに鯛ラーメンとカレーも食べちゃいました。
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池袋も行った。「もるとや」の25周年ボトルが呑みたくて。

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野毛納めは「PEAT HOUSE」と「曇天」さんで。

いちご×濁り酒×ジンのカクテルは革命的に美味しかった。

盛り合わせのおばんざいも美味しかった!フライングおせち感。

2022年はあと2日間!残り時間は川上弘美の小説をたくさん読むぞ~。