浅草ロック座2019年3-4月公演「TO」を観る(2回目)
「ストリップは楽しい!美しい!」声高に言い続けて数年。友人知人にも積極的に鑑賞を勧めているし、何なら初めて行く人のアテンドもする。今回は会社の大先輩かつ映画仲間のハンザワのオジキをお連れした。
「人生変わった――――」御年71歳のオジキは浅草ロック座を出てそう呟いた。ストリップはほぼ年中無休で、毎月違う演目が観られるし、毎日毎回の舞台もナマモノだから一回きり。「これから通わなくては」人生の新しい楽しみが増えたようでよかった。
初めてのストリップの感想を聞くため、近くの老舗酒場へ。ビートたけしや芸人たちが通った「捕鯨船」へ。
よく煮込まれて味がしみたモツ煮、口の中でとろけるさえずりに舌鼓を打ちながら、真白希実さんや秋月穂乃香さんたち、踊り子さんがどれだけすごいのかを語った。オジキは早瀬ありすさんと星崎琴音さんが気に入ったそうな。史上最強のロリっ娘とボン・キュ・ボンのワガママボディ・・いいチョイスだ。
「一生懸命に練習を重ねて舞台に立つ踊り子さんたち、それを支えながらさらなる高見を目指す劇場、ストリップ文化を愛して応援するファン、そのどれが欠けても成立しない。今時珍しいくらいに幸せな空間だった」
まずは浅草に数回、お気に入りの踊り子さんが見つかったら彼女を追っかけて新宿や川崎や横浜、ロック座以外も気になり渋谷や上野や池袋、ますますお気に入りの踊り子さんが増えるから足を伸ばして蕨、遠征して大阪、地方興行を観に広島や道後温泉や小倉・・どんどん深みにはまっていってほしい。
映画「しとやかな獣」を観る
「巧いッ!お見事!」その一言に尽きる。
映画「しとやかな獣」は、1962年12月26日に公開され、監督:川島雄三 脚本:新藤兼人という邦画ファン垂涎のコンビによる。
ストーリーは、とある団地を舞台にしたブラック・コメディで、出演陣がマシンガンのように繰り出す台詞の掛け合いが秀逸。若尾文子やら、船越英二(船越英一郎のパパン)やら、伊藤雄之助、高松英郎、山岡久乃、小沢昭一、ミヤコ蝶々らの虚実織り混ざったスリリングな化かし合いから目を離せない。
特に女性陣の悪女っぷりが光っており、美貌と肉体で馬鹿な男たちを翻弄する若尾文子、派手なファッションに身を包み男から男へ軽やかに渡り歩く浜田ゆう子、貞淑そうに見せて実は一番の策士でワルな山岡久乃、全員が「しとやかな獣」と呼ばれるにふさわしい。大して男性陣はどこかヌけた小悪党で、「やっぱり女には敵わねェや」と苦笑いしてそうな滑稽さが人間くさくて憎めない。劇中、男と女の掛け合いがほとんどで、女と女が直接やり合わないところも女たちの秘めたる狡猾さを表現している気がする。
宗川信夫による縦横無尽なカメラ・ワークもお見事で、3DKと思われる狭い団地室内の出来事を、あっちからこっちから追いかける。時には天袋のあたりから、地袋の方から、はたまたベランダから、廊下から、のぞき見しているようなカメラ・アングルが面白い。
ワーっと台詞の掛け合いが続いたと思えば静寂が訪れたり、テレビから流れるゴーゴーで激しく踊ったり、能楽囃子が鳴り響いたり、池野成による音楽演出も面白い。60年代の映画って、大衆娯楽ではあるものの実験的な要素がどこかに入っていて、それがぜんぜん古びてなくって、今観ても新しいなぁと思える。むしろ、映像技術に頼り切りの現代映画では到達できない表現になっていて、先人たちスゲェって感服する。ウーン川島雄三監督はやっぱり面白い。
会社を休んでスパラクーアに行く
朝起きたら動けなかったので仕事を休むことにした。微熱があったけれど、休暇申請を出した直後に平熱に戻った。なんて分かりやすい身体だ。
美術館でも行こうカナ~とも思ったが、意識的に休まないとパンクするだろうなと思ったので久しぶりに家に何もしないことにした。展示・本・映画・インターネットなどの視覚情報を「観ない」日は久方ぶりな気がする。情報依存症なので常に何かしら観たり読んだりしないと不安になってしまう。「オッ、今日は珍しく家にいるな」と猫たちにすり寄られつつ、家の片付けをした。
夕方、スパ・ラクーアに行った。(行きがてら、つい本屋で1時間立ち読みしてしまったので、結局情報遮断はできなかった)
スパ・ラクーアは「自宅から最も近い楽園(エデン)」だと思っている。インテリアがどうとかは門外漢なので分からないけれど、館内はいつでもどこでも清潔&明るい。女性が好きそうな有機的で凝ったデザインが多く、我らが台東区の銭湯とはだいぶ違う。落ち着くのは銭湯だけど、長時間ダラダラするならスパ・ラクーアの方が適している。岩盤浴で信じられないくらいの汗をかいて、露天風呂で天然温泉に入って、お腹が空いたらご飯を食べて、キンキンに冷えたビールを飲んで、誰とも喋らず、意味のあることは何もしない。館内には何もしなくていい空間がやたらと多いので、人目を気にすることなく副交感神経を全開にできる。南国リゾートを思わせる休憩スペース「ヒーリング・バーデ」はカップルが番になってチルっているので、アダムとイブが過ごしたエデンもこんな感じだったのかもしれないと思う。(服を着ているけど)
4時間ほど滞在して帰宅。家から10分ってのがありがたい。この日はぐっすり眠れて、翌朝はちゃんと起きられました。数ヶ月鬱々としていたのが嘘みたいに晴れて、しばらくぶりに仕事になった。すごいぜスパ・ラクーア。
御徒町で南インドカレーを食べて、会社の床で寝る
24日の日曜日、ルンルンデートを終え、午後から会社へ。月曜日に必要な資料づくりのためというテンション上がらない理由。とは言っても私は最終資料のとりまとめなので手を動かすことはそこまでない。手を動かす方々の進捗状況を見て、今夜は泊まりダナと確信したのでいったん帰宅。シャワーを浴びて着替えて寝袋を持って再度出社することにした。
つらすぎるので夕飯は、御徒町が誇る南インドレストラン「アーンドラ・キッチン」で。予約しないと満席の場合もある。
カレーパワーで気合いを入れて再度出社。朝3時頃にはできることがなくなったので、資料が出来上がるのを待って仮眠。会議室の床に寝袋を敷いて・・・。私よりもよっぽどブラックな霞が関に勤めていた父親の教え「床で寝るときは新聞紙を敷いて暖を取れ」を守る。寿町のドヤの方がいくぶんマシな寝床だろうなと思いつつ、3時間寝た。
6時すぎに起きて、出来ていた資料を整えつつ、8時半に最終資料の出力を終え、8時45分に会社出発。大量の紙ものをトランクに詰め、タクシーで羽田空港に向かった。
納品はつつがなく終えられ、19時すぎに羽田空港に戻った。疲れすぎて耳が聞こえなくなっていたので、帰宅して猫たちに心配されながら泥のように眠った。
サントリー美術館で「河鍋暁斎展」を観て、寿町「浜港」で角海老グッズを手に入れる
寒の戻りで冬のようなお天気。猫たちも布団に戻ってきた。人間を「あたたかい棒」としてとらえ、我が物顔で布団を占拠する。
午前中はジムでちょっと走って、午後イチにサントリー美術館へ。「河鍋暁斎 その手に描けぬものなし」展の会期終了が迫っていたので。
暁斎作品では、浮世の戯れを描いた遊宴図や極彩色の画帖作品が好きで、とくに地獄太夫を描いた《地獄太夫と一休》や《暁斎楽画 第九号 地獄太夫がいこつの遊戯ヲゆめに見る図》などがお気に入り。でも私がイイナァと思う作品は、大英博物館蔵やイスラエル・ゴールドマン・コレクションなど、ほとんどが海を渡ってしまった。
観終わった頃合いで連絡が来たので横浜に夕飯を食べに。集合は石川町の純喫茶「モデル」。
「浜港」は店員のお姐さんがたが素敵で、こざっぱりした応対と心のこもったサービスが魅力的。どんな客も受け入れる懐の深さがあり、さすが寿町に店を構えるだけはある。聞くと営業開始して45年ほどらしく、実は相当な老舗店だ。
我々のことも覚えておいでで、前回いただいた「角海老ボクシングジム謹製うちわ」を神棚に飾っていると話すと笑っていた。
店内は6割がた埋まり、競馬実況や相撲中継を観たり、各々リラックスして過ごしている。お客同士の会話が面白く、競馬や競艇、パチンコなどのギャンブルに興じることを「仕事に行く」と表現しており、狭い世界観が広がる思いだ。
熱燗を数本飲んで、金宮のお湯割りに切り替えて酔いがまわってきたころ、ひとりのおじちゃんがやってきた。店員のお姐さん曰く、「あのうちわの元持ち主」らしい。それは現持ち主として一言ご挨拶せねば、と話しかけた。
「そうかぁ~~あのうちわ、おねーちゃんが持ってるのかぁ!」と喜んでくれ、「角海老グッズ、宿にまだたくさんあるよォ、見に来るかい?」とお誘いまでいただいた。店員のお姐さんがすかさず「じゃ、店に持っておいで、預かっておいてあげるから」と突っ込んでいた。そして、店の奥から引っ張り出してきた角海老グッズをまたいただいてしまった。
「おねーちゃん有名な人?どこかで見たことあるなぁ」なんて言っていたが、もしかしたら角海老に似た人がいたのかもしれない。御礼を伝えて席に戻ってしばらくすると、私の目の前に燗付けした大関ワンカップが4本並べられた。
寿町流の歓迎がうれしい。ふだん過ごしていてドヤ街のおじちゃんと会話をすることはほぼ無いので、「浜港」は貴重な接点の場だ。
ごちそうしてもらった大関ワンカップは2本飲み、残りは帰ってから楽しむことにした。ワンカップと角海老グッズを携えた会社員、なかなかいない気がする。
空きっ腹でお酒を飲んだので会計からほとんど記憶がない。本能のままに行動していたようで自分が恐ろしい。朝になり、もはや定宿と貸したホテルを後にし、天気がいいので横浜橋方面に散歩をすることにした。
横浜橋商店街でお酒とおつまみ買って、100円均一ショップでブルーシート買って、大岡川沿いでお花見でもしたいところだけど、私は午後から働きに出ないといけないので、また今度。
伊勢佐木町の端っこをぷらぷら歩き、古本屋覗いたり、性風俗店の営業を確認したりして黄金町方面へ。純喫茶「タケヤ」でお茶しましょう。
赤線跡を歩くのが好きで、と話すと、マスターが気を利かせて昔の話をしてくれた。終戦後の焼け野原だった頃も、在留米軍を「ハロー」と読んでいた頃も、黄金町でちょんの間が盛んだった頃も、浄化作戦があった頃も、すべて見てきた時代の生き証人だ。御年72歳、長生きしてください。
アメ横でうどんを食べる
食のワンダーランド・アメ横は、実はうどん屋とそば屋の激戦区である。うどんなら「はなまるうどん」「丸亀製麺」「楽釜製麺所」など。昨年末に「楽釜製麺所」が「つるもちうどん」という別ブランドに変わったので、どんなもんか食べてみた。
「名物」らしいので「”ふわとろ鰹節”の追いがつおうどん」にした。店員さんに注文するとき、少し気恥ずかしい。
うどんは讃岐系ではなく細麺。出汁は魚介系で少し甘め。素うどんを楽しんでから「極薄0.01ミリの削りたて鰹節」を出汁に浸す。0.01ミリってサガミオリジナルかよ。鰹節単独もおいしいけど咽せる。
はなまるうどんや丸亀製麺より出汁が好みなのでまた来ると思う。帰り道だし。飲み歩く前に一杯うどん引っ掛けるのに便利かも。ごちそうさまでした。
浦和のアカシエでケーキを食べて西川口に行く
埼玉近代美術館見物前後の話です。
埼玉No.1パティスリーこと「アカシエ」北浦和本店に行き、その後埼玉近美を観て、西川口に足を伸ばしました。
カモミール風味のチーズケーキ「エクスキ」、マカダミアナッツと発酵バターをたっぷり使った「デリス・マカダミア」、クリームとイチゴが絶妙バランスの「フレジエ」、超濃厚なチョコレートケーキ「スーヴニール」をいただきました。季節限定ケーキも気になりましたが、いつもつい王道ケーキばかりを食べてしまう・・。毎日通って食べたい。
埼玉近美後、西川口へ。祝日なのでチャイナタウンは静かでしたが、イトーヨーカドー/ザ・プライス西川口店のフードコートは相変わらずのカオス。
焼き餃子2種類と水餃子1種類、野菜8品+肉1品選んで820円の麻辣湯を食べる。ここの麻辣湯はココナッツ風味でマイルドな辛さ。
腹ごしらえをして、町中を散策。
祝日のため中国系の飲食店が静かだったので、西川口の性風俗店パトロール。
かつて一世を風靡し、西川口黄金時代を象徴した一大風俗エリアが消失してから早15年ほど。本番行為ができる「NK流」を求めて男性たちは「いざ西川口」したものだが、一斉摘発によって、200軒はあったというソープランドは夢の彼方に消えてしまった。ソープランド無き後の空きテナントに入店する猛者は少なく、「兵どもが夢の跡.」さながらに寂れていった。そんな西川口だが、テナント料金が安いとかで中国系業者が続々入るようになったのはここ数年のこと。NK流は絶滅したらしいが、それでも西川口というブランドは強いらしく、今はヘルスやピンサロが頑張って営業を続けている。
以前はソープ90分25,000円が相場だったのが、今ではヘルス40分8,000円~と大幅に客単価が下がっている。性風俗業界も不景気そう。
気になった本のうち『猥色文化―高野博写真集 ドキュメント』を2,000円で買った。後で調べたら、Amazonで中古4,800円~だった。状態もよく、掘り出し物かもしれない。さては穴場書店かと思ったが、加納典明の『きクぜ!月刊ザ・テンメイ総集編』(Amazonで592円~)も2,000円だったので、お買い得かどうかを吟味して選ぶ必要がありそうだ。
訪れるたびに発見と出逢いのあるまち、西川口。今後も定点観測を続けたい。