盛り場放浪記

花街を歩くことが楽しみな会社員による、酒とアートをめぐる冒険奇譚。

「青べか物語」の舞台・浦安市郷土博物館に行く

かねてより行きたかった施設に行った。浦安を代表する楽しい施設こと「浦安市郷土博物館」。1人で行くより2人の方が楽しめると思い、アパートの上階に住む友人・福ちゃんを誘った。昨夜の別れ際に「朝から浦安のエンタメ施設に行くぞ!」と伝えたので、もしかしたらディズニーランドを想像していたかもしれない。そっちではない。御徒町から浦安は意外と近く、30分もかからなかった。

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浦安駅前。第一印象は「文字が多くてゴチャゴチャしてるなぁ」。選挙演説がうるさい。

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浦安の駅周辺はかつて赤線があったとか。今は潰れたスナックが数件あるのみ。

さて、大型テーマパークや湾岸の高層マンションなどで知られる浦安だが、かつては漁村であったことをどれだけの人が知っているだろう。高度経済成長によって海水の汚染が進み、1962年に漁業権の一部が放棄され、海面埋立事業が開始された。その後1971年に漁業権の全面放棄に至り、長く続いた浦安の漁業に終止符が打たれたのである。

川島雄三が撮った「青べか物語」(山本周五郎原作)を3月に神保町シアターで観た。埋立事業のすこし前、漁村だった頃の浦安(作品内では「浦粕」)をリアリティたっぷりに写しており、映画作品としても一流だけど、歴史の記録としても非常に優れた作品だった。ハンザワのオジキと一緒に観て、そのすばらしさを数時間語り合い、浦安市郷土博物館のことを教えてもらった。漁村だったころの浦安を再現した屋外展示があると聞き、絶対に行くと決めていた。

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漁業の最盛期には、千数百隻のべか船が、境川の両岸に繋留されていた。

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現在の境川。水害を防ぐため堤防を築き、両脇には新旧様々な家々が立ち並ぶ。

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境川のあらまし。ここでようやく福ちゃんにこの日の趣旨を説明する。浦安市郷土博物館を観て、かつての浦安に想いを馳せよう。

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浦安駅から徒歩20分程度、浦安市郷土博物館。なんと無料。公立博物館の鑑である。

 

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博物館のマスコットキャラクター「あっさり君」。べか舟、ねじりはちまきと、漁師町だった浦安の伝統的なスタイルに名産のあさりを組み合わせた。

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朝イチに張り切って来たのでまずは喫茶室でモーニング。昼はあさり飯が名物。

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いざ屋外展示場。かなり広く、かつての浦安にタイムスリップしたかのよう。

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煙草屋。たばこと塩の博物館を思い出す。缶ピース缶ピース!!

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浦安映画館なるポスターは色あせている。こういう細かい演出が気が利いててニクイ。

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昔、一番通りにあった天ぷら屋「天鉄」。『青べか物語』の主人公もよく訪れた。

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缶下駄もしくは缶ぽっくりで遊べる。子どもに交ざってチャレンジします。銭湯の建物内には入れなかった。

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昔の建物内で駄菓子屋を開いていた。昔なつかしのお菓子を屋外展示場で食べられる。

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駄菓子屋で購入した「ココアシガレット」でキめる不良少女。キングウイスキーの看板がいいね。

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週末はべか舟に乗れる。船頭は慣れたボランティアさんだけど、かなり揺れる。舟から見上げる街の景色がいい。水の色も再現しているんだろうな。

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ヱビスビールのケースのエイジングが泣ける。藁まで!細部へのこだわりがすごい。

屋外展示場がかなり作り込まれているので、親子連れならディズニーランド並みに楽しめると思う(ちょっと言い過ぎ、でも無料だし)。しかしこの博物館は屋内展示もオモシロイ。私は屋外1時間、屋内2時間堪能した。

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まず迎えてくれるのは干潟のジオラマ。手間暇を惜しまない丁寧な仕事を見られる。背景絵がすばらしい。

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ジオラマの正面には実際の魚も泳いでいる。ボランティアさんが釣ってきたらしく、年々増えているとか。博物館でもあり水族館でもあったとは。

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昭和30年代まで一番通り(現フラワー通り)近くにあった寄席「浦安亭」。2本の演目を上映しており、これが面白い。浦安の歴史をわかりやすく解説していて必見。

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最近は英語解説にも力を入れているよう。ボランティアさん含め、市民に愛されている施設って感じ。

展示鑑賞後、エントランスの情報コーナーで映像を視聴しているとあっという間に時間が経つ。浦安のことをちょっとは知れたので、市内散策いたしましょう。

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近所の食堂兼居酒屋でランチ。味は普通だけど昼から酒が飲める。

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旧濱野医院。浦安で最初の洋風建築物で、昭和4年に建てられた。医院部分は洋風、住宅部分は和風。三角屋根が特徴的。

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旧宇田川家住宅。明治2年に建てられた。市内最古の民家らしい。人形の顔も旧い。

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渋い建物も多い。銭湯もたくさんあった。営業時間前なので残念ながら入れなかった。

ぽてぽて歩いて浦安駅前。昼のビールが効いてきてウトウトしてくる時間。とりあえず電車に乗って、なんとなく水道橋で降りた。特に理由はないけれど、ちょっと前の「アド街ック天国」で特集されていたので。

www.tv-tokyo.co.jp

福ちゃんが会社の福利厚生でラクーアの回数券もらえるというので、勢いでアトラクションへ。ジェットコースター乗ろう!

www.laqua.jp

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久々に乗るジェットコースター、最初に落ちる時が一番怖いよね。なかなかな直角急降下でした。

去年オープンしたお化け屋敷「怨霊座敷」へ。「お化け屋敷プロデューサー・五味弘文氏の演出とウルトラテクノロジスト集団『チームラボ』による映像演出で、ただ怖いだけでなく、お化け屋敷の面白さを追求した新しい恐怖エンタテインメント」らしい。

at-raku.com

ホラーに小うるさい私としては微妙な出来。オペレーションが悪い、ビックリさせる装置に頼りすぎ、設定やキャラクターが怖くない、オチやヤマがない、といろいろ気になる。一番怖かったのは、前後の客と遭遇してしまった時で、「人間がいちばん怖い」という感想でした。フランス・パリのお化け屋敷「Le Manoir de Paris」は5億倍よく出来ていてトラウマ級に怖かった。45分間叫びながら走って逃げたのは初めてで、やっぱり人間がいちばん怖い。

www.lemanoirdeparis.fr

体力ないのでアトラクションは3つで撤退。中高生の頃、朝から晩まで1日中遊園地遊び倒していたのが信じられない。小さいお子さんに付きそう親御さんがた、マジで労働お疲れさまです。