盛り場放浪記

花街を歩くことが楽しみな会社員による、酒とアートをめぐる冒険奇譚。

久々の更新。お久しぶりです

更新さぼっていて、間が空いてしまった。Twitterとインスタで日々のツイートをしていたので満足していたのと、3ヶ月ほど鬱々としていて書く気になれなかったのだ。久々の鬱の波はかなり手強かったが、どうにか生還した。

一日12時間以上寝て、仕事もさぼりまくり、生産的なことは何もしなかった。唯一、いつも通りのアート鑑賞をして、あとはストリップ劇場に通っていた。

朝7時半に起きるもベッドから出られず、ようやく10時くらいに起きあがって、お昼の公演に行ったり、なんとか仕事に行った日は夕方から公演に行っていて、起きている間はだいたい女性の裸体を見ていた記憶しかない。ギリギリ休職はしなかった。

なんでこんなに通っていたのか説明できないけれど、好きな踊り子さんの一人が8月末で引退することもあって「とにかく劇場に行こう」という気になっていた。きれいだなぁ、やさしいなぁ、すごいなぁ、と毎回感動し、女の子たちに元気をもらった。最近はほとんど元のように戻ったので、ストリップのおかげで癒やされた気がする。

「カネが尽きるまで、毎日ストリップに行きたい」というのは、かねてよりの夢だった。(おかげでほんとに金欠)

通ってて気づいたのは、闘病中の私と同じように、なんとなく社会に居場所のない人たちが劇場に多いことだった。元気な時はロック座系列の劇場に行くことが多かったが、最近はめっきりそれ以外に行っていた。家から近いシアター上野、日本一小さい蕨ミニ劇場、名画座ついでに行ける池袋ミカド劇場。浅草や川崎や横浜も行くけど、なんとなくTS系の方が客層が合っていた。偏見だが、ロック座系列より、TS系の方が、変わったお客さんが多い傾向がある気がする。というか、ロック座だと怒られるよ!というような自由な振る舞いをする人たちがちらほらいるからか。酒飲みながら場内で踊ったり、ポラで無茶ぶりして踊り子を困らせたり、応援のためステージ中に叫んだり、興奮のあまり脱ごうとしたり。

弱い立場の人も多かった。心配するほどぷるぷる震えているご高齢の方や、ホスピス抜け出してきたみたいに死にそうな人、ちょっと知的にボーダーな人、ボロボロの服装とベタベタの髪の毛をしていて生活を保護されていそうな人。精神安定剤飲んでフラフラな私もそうだ。まともな人だけじゃない空間の居心地が妙によくって、落ち着いた。入場料さえ払えば誰でも平等な、暗くて古くていかがわしい劇場が優しかった。みんな他人に興味がなく、目の前の裸体を通じて時間を共有していた。

踊り子さんもベテランが多いので、客あしらいが上手く、懐っこく、心のこもったあたたかい対応をする人が多かった。女性客にサービスしてくれる踊り子さんもいて、踊りながら手を差し伸べてくれたり、オープンしながら話しかけてくれたり、手を握ってくれたりした。なかでも、シアター上野では雛形ひろ子さんの慈愛に魅了された。精緻に計算された大人なステージとはうらはらに笑顔が可愛く、礼儀正しく、サービス精神が旺盛だった。(2019年8月末に引退)

同じ劇場に通っているうちに劇場のスタッフやお客さんに覚えられ、「いつデビューするの?うちの劇場専属にならない?」なんてお世辞を言ってくれる人もいた。ちょっと本気で考えた。

 8月結のミカド劇場で、あるお客さんに「”盛り場放浪記”の人ですか?」と話しかけられ、とても驚いた。独り言ブログを覚えていてくれて、数少ない著者近影を見てくれていた人がいたとは思わなかった。「読者です。応援しています。」と言ってもらえ、嬉しかった。まさかストリップ劇場で読者1号に出会うとは思わなかったけど、また書きはじめるかーと思うきっかけになった。その節はありがとうございました。

日付を遡りながら、ちょっとずつ更新再開していきます。