盛り場放浪記

花街を歩くことが楽しみな会社員による、酒とアートをめぐる冒険奇譚。

熊本市現代美術館「大竹伸朗 ビル景」「浦川大志&名もなき実昌二人展」を観て、餃子を食べる

衝撃の「村上隆 バブルラップ」展から早1ヶ月。またまた熊本市現代美術館がやってくれました。大竹伸朗展!いや、ほんと、担当学芸員さんと桜井館長天晴れ。ここ数年、東京や大阪でも観られないレベルの現代美術展が熊本で開催されている。みんなおいでよ熊本!

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さて、「ビル景」展は、大竹伸朗が約40年間にわたって制作し続けてきた「ビル景」シリーズ800点以上、未発表作品から最新作まで展示しちゃう企画展。このあと水戸芸術館に7月13日~10月6日、巡回するそうです。

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「ビル景」とは、現実の風景をそのまま描いたものではなく、大竹の中に記憶された香港やロンドン、東京といった様々な都市の湿度や、熱、騒音、匂いなどがランダムにミックスされ、「ビル」という形を伴って描き出される仮想の風景。要するに都市や時代の心象風景ですね。

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通町筋から美術館を臨む。今回ののぼりはモノクロでおとなしめ。

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展示入り口は久々に右側から。展示室の使い方、毎回工夫が凝らされていて面白い。

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《bldg.》(1984年)よ、良さ~~!!冒頭のこの作品好きだ。シンプルな構図とは裏腹に、油彩のディテールが凝っていて見応えがある。

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見通しの良い展示。壁に絵画、展示台に資料やスケッチ。たしかに展示数が多くて、美術館の気合いを感じます。

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展示台。ここではあまり観たことのない什器だけど、こんなにたくさん持っていたのですね。国立近代美術館が好みそうな、アクリルを載せただけのシンプルなつくり。

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平日だからか、お客さんは少なめ。村上隆展もそうだったけど。おかげで独り占めできます。

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「日常とビルの窓」シリーズ。イカス。なんでこんなに格好良いんだ。《キカイダー好きの青い女》良い。

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「ボロッボロ」と題されたコーナー。以下抜粋。「『度を超えたボロッボロ』のモノに出会うと反射的に気持ちが反応する」分かる~~!!

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新作《ビル景A》(2019年、和紙・鉄)。これぞ詫び錆び。和紙の質感がたまんない。

これまで大竹さんの作品で一番好きなのは《直島銭湯「I♥湯」》でしたが、「ビル景」格好良いわ。数点ずつしか観たことなかったので、まとめて観て印象変わりました。すごく上手いし計算高いし、題材が好み。絵画の上で勝負できるアーティストなんだね。

熊本でこの展示が始まったの、本当にすごいし、私は熊本って「ビル文化」のある街だと思っている。美術館を出ると、あちらこちらにビルが集まっている。東京みたいににょきにょき高いオフィスビルじゃなくて、居酒屋やスナックやクラブやバーがぎゅうぎゅう入居するテナントビル。熊本の人たち、ビル名で会話したりするし。「今日の飲み会の店どこ?」「蘇州ビル!」「ああ、キャサリンズバーの向かいね」とか。ビルが日常の中で息づいているのが良いなと思う。そういえば「熊本ビル部」という、熊本の建物リサーチを行う素敵な団体の活動も活発だ。

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作品830点を収録し、特製活版画まで付いた画集も販売しています。10,584円とお値段も豪華!でも我々は横浜美術館の「村上隆スーパーフラット」展の図録が10,800円で、しかも発売が遅れまくったことを経験しているので、「よく展示に間に合ったなぁ」と感動しています。

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ギャラリーⅢでは、浦川大志&名もなき実昌 二人展「終わるまで終わらないよ」を開催中。この二人をチョイスした学芸員さんもスゴイ。

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展示の挨拶文を読んで、なるほどと思う。熊本地震を経験した地域だから、平成が終わろうとも復旧・復興が終わるまでは終わらないし、その後も終わることはないんだなぁ。

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今回の展示は、学芸員の佐々木玄太郎さんよりお話があったそう。この二人の作品はかなりエッジが立っている(ウェブから拾ってきた画像を無断使用、暴力描写アリ)ので、公立施設で展示されるとは思わなかった。

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元号「令和」が組み込まれた作品、初めて観たよ。

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ちなみに熊本市現代美術館は無料エリアが多く、市民の憩いの場でもあります。淺井裕介の作品で彩られたキッズスペースで遊べるなんて、熊本は本当すごい。

カフェが4月から閉まっていたので、業者さんでも変わるのかしら。新装オープンが待ち遠しいですよ。
さて、熊本市現代美術館に深々とお辞儀をして、街に戻る。めしにしましょう。美術館出て数秒で酒が飲める熊本、LOVE・・。いつもなら市役所勤めの友人やその辺で働いてる人たちに声かけるんですが、今夜はたまには一人飲み。餃子DAYにしたいからです。

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勢いのある餃子屋「弐ノ弐」。ハッピーアワーは焼き餃子とビールが半額なのです。18時前には市役所の人たちが続々と来店する。

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焼き餃子2人前と生ビール1杯で530円。安すぎて涙が出る。ここの餃子は甘みが強く、卓上に専用タレしかなくアレンジはできない。とりあえず4人前いただきました。

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お次は「扇里」。飲み屋のお土産として人気を誇る。イートインよりテイクアウトのお客さんの方が多いのでは。

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扇里の餃子は小ぶりで扇形。きれいに並べられたカリカリパリパリの餃子を1つ口に含み、冷えたビールで流し込むのが好き。

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コスパの良い居酒屋「アントニオ」で、焼き餃子・水餃子・豚骨餃子。シンプルな焼き餃子は地元民にも評判が良い。あと茹でタンも旨い。

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日本人は餃子好きと言われますが、私は常軌を逸した餃子好きなので、1日2食餃子でもいいし、1食につき30個は食べたい。餃子を食べたい日は、餃子以外のメニューは注文しなくてもいいくらい。ビール餃子餃子ビール餃子餃子餃子。餃子ってなんでこんなに美味しいんだろうね?ちなみに熊本では「ぎょうざの丸岡」もあるけれど営業時間が短いので要注意。

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熊本のシメはやっぱりラーメン。「ライフイズジャーニー」の濃い方「ここから」が本当旨い。人生とはサ、長い旅なんだヨと語りかける一杯が沁みます。

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アレッ何しに熊本来たんだっけ?と言うほど満喫してますが、仕事で阿蘇にも行きました。業務上写真は挙げられないので、「道の駅 あそ望の郷くぎの」に鎮座する「ラブチェア」をご覧ください。みんな熊本においでよ!

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性具です。「究極の全自動ピストンマシーン」と呼ばれ、海外で人気らしい。旧いラブホテルにもたま~にある。マジでなんで阿蘇にあるんだ?

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