年末年始だらだら日記③
もうタイムアップだ。2022年のうちに韓国旅行記を書いておくつもりだったのに。予定外のストリップ感想文に力を込めすぎました。諦めて新年に持ち越します。
今日読んだ本。読みかけ含む。今年の出物は、弘前のセレクト本屋で見かけて買って以来ハマった季刊誌「tattva(タットヴァ)」。既刊ぜんぶ揃えちゃったよ。
ポストコロナのビジネス&カルチャーブックというコンセプトで、毎号「なるほどね(ニヤリ)」と唸らせる視点の切り口で存分に議論を広げている。アカデミックに身を置いていなくても学問し続けたい大人のための雑誌という感じ。哲学、美学、芸術学、社会学等、つまりは人文学をツールとして活用しながら様々な社会問題を考えている。学術誌とカルチャー誌のあいのこみたいな存在で、これまでありそうでなかった。執筆陣もバラエティ豊かですが、装丁や書籍デザインも凝っていて見ものです。
そのほか面白そうな新刊。1月中に1本原稿を書くのでその助走として。
映画館納めはジャックアンドベティでした。
「ソウル・オブ・ワイン」を観ました。
ワイン愛好家の聖地として知られるフランスのブルゴーニュ地方を舞台に、ロマネ=コンティなど、世界最高峰のワイン造りに魂を注ぐ人々の姿をとらえたドキュメンタリー。
ロマネ=コンティをはじめとしたブルゴーニュ地方のドメーヌに密着取材をして、四季を通してワインができるまでを学べる映像作品だった。
生産者や樽職人たちが土壌(テロワール)や生育環境といったワインづくりに関わる自然の真理について、ソムリエや醸造学者たちがワインやその歴史について語る内容は実に深く、哲学的でさえある。本編は、ナレーションなし、音楽もなし!説明的じゃなく絵画的なの。空に流れる雲を映したカット、畑に雨が降り注ぐカット、静かに熟成を続けるワイン蔵のカット、そのどれもが詩情に溢れていた。日本でもこういうドキュメンタリー作ってほしい。禅的な感じで。
作中、ワインに一家言あるフランス人たちがさんざん言葉を尽くして「ワインとは何か」「目の前のワインについて」語るのに対し、最後の最後に日本人ソムリエとシェフが登場して、1945年のワインの口にして「何も言えねぇ」と絶句しているのが良い「オチ」となっていた。あと、試飲する醸造家たちのシーンで「ウマすぎる。とても吐けない」とコメントしていたのが面白かった。味わうことと飲むことは別なんですよね。私なら飲んじゃうわ。
年末は、おおごちそう三昧でした。
明治五年、初代橋本吉蔵によって開業された「わかな」へ。
鰻、食べた瞬間から力がみなぎる回復食です。鰻自体も美味しかったですが器や内装も素敵でした。タレがキリっと締まっているのに後味も豊かでよかった。肝吸いも肝たっぷりで。
中華街もにぎわっていた。この龍の灯り見ると年末年始って感じ。今夜は爆竹ですね。
無性に激辛麻婆豆腐が食べたくなったので、「四川麻婆」で陣麻婆豆腐をいただきました。
「激辛」はたっぷりの山椒が効いてしっかり辛い。痺れる。でも美味しい!成都の陣麻婆豆腐を思い出させる本格派でした。
上海蟹がいたので蒸しで頼んでしまいました。久しぶりだね…。香水のような華やかな香り、ねっとり濃い黄身の味が大好きです。金で買える恍惚の時間。
殻に紹興酒を垂らして最後まで楽しんじゃう。指やネイルが汚れるのもお構いなしだぜ。
とは言え、やっぱ餃子〆でしょ。酢胡椒たっぷり付けてサッパリと。餃子+ビール=約束されたハッピーエンド。
大掃除…とまではいかない小掃除を終えて。
つくば時代からお世話になっている大先輩から毎年いただく卓上カレンダーを入れ替えたら、新しい年を迎える準備は万端だ。
2023年はもっと色んな文章を書く年にしようと思う。大学、大学院、社会人と10年以上色んなことにチャレンジしてみたけれど、結局いちばん追及したいのは「書くこと」だった。
自分がやりたいこと、自分に向いていること、自分に求められていること。たったひとつ磨きたい何かを模索する時間だったように思う。
ひとまず来年の目標は、1本小説を書くこと。これまで論考や批評、エッセイ的な文章ばかり書いてきたので、あまり取り組んでこなかった文学に手を出してみたいと思っています。書きたいこともようやく見えてきたので。物語を紡ぐための手段として言葉と格闘してみたい。のんびり、自分なりの文体をつくっていこうと思います。
これから友人たちと年越しそばを食べて、除夜の鐘を突いてきます。よいお年をお迎えください。
渋谷道頓堀劇場12月結・ささきさち3周年で渾身の「ベッドイン・ショー」を目撃する
ストリップ業界において2022年はどんな年だったか。
デビューする踊り子さんよりも、引退された踊り子さんの方が多いと感じるようになったのはいつからだろう。4月16日に蕨ミニ劇場で火災が発生し、本日に至るまで臨時休業が続いている。現役のストリップ劇場は、蕨ミニ劇場を含め全国で18館。どの劇場も頑張っている。頑張ってはいるが、10年後に果たして何館が現役で続いているだろう。この素晴らしい場所が、文化が、ずっと残ってほしい。だからこそ、行ける人は行ける時に行きましょうね。
さて、ストリップ納めは渋谷の道頓堀劇場で迎えました。大盛況でした。
【道頓堀劇場 2022年12月結の香盤】
1.萩尾のばら
2.蟹江りん
3.天咲葵
4.豊田愛菜(初来演)
5.ささきさち(3周年)
若手人気踊り子さんが揃った素晴らしい香盤ですね。華やかさとフレッシュさ、未来への希望を感じさせます。2022年を締めくくるのにこれ以上ないね。個人の意見です。
ささきさちちゃん、もう3周年かぁ。デビュー以来機会があれば拝見しています。昨年、同じ渋谷道頓堀劇場で2周年作を観た時もビックリした。少女のような可憐さと淫らな妖婦の一面を併せ持つ希少な人材です。
一言ずつ感想です。
1.萩尾のばら
先日シアター上野でも拝見しましたが、演目の振れ幅が大きくて毎回ワクワクさせてくれます。2021年1月デビューなのでもうすぐ2周年ですね。26日からは「ハート」、「箱庭」、「dokidoki」、「BAT」の4個出しでした。雪のように白い肌が眩しかった。萩尾望都の登場人物のような高貴さが素敵です。
2.蟹江りん
おかえり!休業・復帰して以来久々の拝見。完璧なプロポーションと弾ける笑顔は健在です。エモい邦楽のイメージが強かったので、ガンガン上がる洋楽尽くしの悪魔っこ演目が新鮮でした。渋谷のパキっとした照明とマッチしていた。セクシー悪魔衣装、似合いすぎィ!ダンスの切れ味がますますパワーアップしていましたよ。
3.天咲葵
2021年10月デビューなのでまだ1年ちょっとなんですよね。信じられない。「スノーサウンド」、「1周年作」、「スライガール」の3個出し。つやつやロングヘアと肉感ボディ(特におしりが最高!)でオナベ挑戦されてしまっては好きになるしかない。渋谷道頓堀劇場の人材の豊富さは何なんだ…。
4.豊田愛菜
渋谷初乗りおめでとうございます。「DONE」と「新作(ピンクモンスター)」の2個出し。可愛すぎる顔面、スレンダーかつグラマラスな国宝級ボディ、キレッキレのポーズにキャンディースマイル。あれ?アイドルのステージかな?と思うくらいキラキラしていた。2017年10月デビューなので、この香盤ではおねえさんとして圧巻の芸で会場を沸かせていました。
5.ささきさち
「touch」と「3周年作」の2個出し。もうね、何と言っていいのか分からない。「素晴らしい」――これは間違いない。「可愛い」――これも全会一致。「エロい」――そう、エロいんです。想像の100倍くらいエロかった。エロすぎた!!こんなにエロすぎていいんですか?いいんですね、ありがとうございます!
と、無性に誰かに感謝したくなるステージでした。
…何言ってるか分からないだろうなぁ。どれだけ言葉を尽くしても足らないし、あの場にいた観客だけが目撃したパフォーマンスなのは当然として、少しでもそのエッセンスを遺しておきたいと思う。んで、是非みんな観に行ってね!
今年は本業が多忙だったので遠征はほとんどできず、浅草ロック座の毎公演と数か月おきにシアター上野、大和ミュージック、渋谷道頓堀劇場、川崎ロック座、横浜ロック座、たまにアタミ銀座劇場に行くくらいしかできなかったんですが、なんとしても感想を書きたいと思ったのは12結の渋谷くらいかもなぁ。勿論どの劇場も最高に楽しかったですよ。でも、ささきさちちゃんの周年作はあまりに衝撃的だったので。。
まず「touch」。みんなが口ずさめるあの名曲から始まる、キュ~ト&コケティッシュな魅力満載の演目。動きの「止め」のキレが良くて、さちちゃんの体幹が桁違いにアップしていることが分かった。もしかしたらストリートダンスやヒップホップダンスをレッスンに取り入れたのかな。以前拝見した時よりもますます肩や肘の可動域が広がっていて、「音ハメ」のリズム感も抜群に切れていた。あと、表情の色気が増していて、流し目・伏し目・見下ろしの「キメ」の目線ぜんぶに射抜かれてしまった。
彼女の白目がきれいなんですよ。透明感があって潤んでいて。どこかに視線を移すたび、白目の軌跡が暗闇の中で光って見えた気がした。山本富士子、原節子、高峰秀子、若尾文子、京マチ子…私が好きな大女優たちは皆、目の演技、視線の置き方が美しく計算されている。
さちちゃんの視線の先に何があるのか。観客は固唾を呑んで確かめようとする。ダンスショーからベッドショーに移り行くころ、彼女の瞳に欲望の炎が灯る瞬間がある。愛玩したくなる小動物のような彼女が一瞬のうちに獰猛な肉食獣に変貌し、隠されていた鋭い牙と研がれた爪で獲物が捕らえられる。彼女に食われているのか愛されているのか判別もつかないうちに、傷口から大量の体液が流れ出て身体が冷たくなっていきそうだ。ベッドショーが始まったと思ったらいつの間にか終わってしまっている。悪戯そうな笑顔の残像だけが脳裏に残っている。その恍惚の表情といったら!
「3周年作」。これは、問題作です。一緒に観に行った友人は「ストリップの範疇を超えているよ。観客にとっては毒かもしれない。刺激が強すぎる」と衝撃を受けていた。エロさという観点では、これに対抗できるのは南美光さんのオナベ作品くらいじゃないかな。
識者に伺いたいのですが、これはジャンルでいうとオナベ?天狗?何でしょうか。いや、指の1本も挿入していないのでオナベではないのかもしれないし、挿入アイテムも使っていないので天狗でもないかもしれません。ジャンルで言うとパントマイム…なのかな。ひとつのお芝居を観たような感覚。尊敬の念を込めて「ベッドイン・ショー」と括りたいと思います。
どう書いてもネタバレになってしまうので、これから作品観る方に配慮しつつ記そうと思います。あとストーリーは私の勝手な解釈なので、全然違うかもしれません!
物語はプリンセスの降臨から始まる。愛されるために生まれてきたかのような百点満点のお姫様がステージに現れて、スカートに広がるたっぷりのフリルを揺らしながら笑顔をふりまく。その衣装の素晴らしさにウットリしていると、事態が一変していく。プリンセスは平穏な宮殿から離れて、戦場に赴き闘っている。豪華なドレスは一枚ずつ剥ぎ取られ、あっという間に戦士のような装いに。短剣を手に見事な武者ぶりを魅せ、やがて勝利を手にする(この戦闘シーンの力強さと彼女の必死さに心打たれてまず1回泣きました)。再び訪れた穏やかな時間、彼女が自分の力で勝ち取った平和のひととき。愛する人との逢引のため、暗色のケープを身にまといランタンを手に秘密の場所へと一人赴く。そして始まる、めくるめく睦事。
つまりはベッドショー=情事の表現=ベッドインなのですが、彼女の口と手を使った行為(あんまりこの言葉は好きじゃないんですが、分かりやすく言うと「ご奉仕」)や、まるで透明人間のパートナーと様々な体位で結ばれているかのような動きがスゴイ!
早く早くとディープキスをせがむ色っぽい表情、パートナーの口内に彼女の湿った舌先が侵入する繊細な動き、パートナーの衣服を下ろして舌を這わせ奥まで飲み込む表現、パートナーの上に馬乗りになって激しく腰をグラインドさせた時の喘ぎ声。そのどれもが美しく、とんでもなくエロかった。
ベッドショーの冒頭、劇場のスポットライトは勿論、ベース照明も落とされて、灯りはランタンのみ。洞窟か秘密の隠れ場で、禁断の愛が成就する瞬間を目撃しているかのよう。さちちゃんは細い腰を激しく揺らし、白い肢体を怪しくくねらせ、背中からは光る汗が滴る。吐息は熱く、頬は火照り、耳の先まで真っ赤に燃える。
「これは、演技じゃない」
…さちちゃんは本当に感じている、絶対そうだ。その場にいる全員にそう思わせる迫力があった。だって目の前にあるのは絶頂を迎えて痙攣する生身の女性の肉体だし、モニター越しで絡む男女のAVよりエロく真に迫っている。ただ、このステージはストリップでフィクションなので、演技以外の何物でもない。それは誰もが理解しているのに。事件はストリップ劇場で起こっている。
女。魔性の女。彼女は、尋常ではない集中力でもって、ステージ中に何かしらのキャラクターを「降ろす」憑依系のストリッパーなのかもしれない。さちちゃんの才能の得体の知れなさを、初めておそろしく思った。
蛇足ですが、なぜ彼女が今回こうした「疑似」ベッドイン・ショーに挑戦しようと思ったか、ちょっと考えてみた。
端的に言えば、彼女を応援するファンへの感謝の表現なのでは、と思った。周年作の物語の背景は明かされていないが、彼女のベッドのパートナーについての言及はステージ中一切ない。つまり、相手役(男性だと仮定して)は何者なのか、どんな姿かたちなのかは、観客の自由な想像に委ねられている。
彼女のパートナー役として、自分を想像する男性客もいたのではないだろうか。現実で彼女と交わることは不可能だけれど、約15分間のステージ上においては、観客の脳内においては、彼女に全力で愛されて結ばれることができる。もしかしたら現実のセックスよりも濃密で完璧かもしれない。ファンヘのプレゼントのようなステージだと思いました。
この作品を、彼女のホームの渋谷で観ることができてよかった。大勢の人が行き交う道玄坂、地下のシェルターのような劇場でしか体感できない、奇跡のような時間でした。誰かを心の底から愛すること、肉体ぜんぶ捧げて愛を伝えることは、人間が生きる上で一番幸せで大切な時間だということを改めて教えてもらったような気持ちです。彼女のステージを観ることで明日からの生きる活力を得たお客さん、たくさんいたと思う。
遅ればせながら、3周年おめでとうございます。これからもますますのご活躍を楽しみにしています。踊り子になってくれて、愛あるステージを見せてくれてありがとうございます。
さちちゃんを初めて観たのは2年前、2020年5月結のシアター上野でした。当時のブログを振り返ると生意気なことを言ってますが、当時から新人らしからぬオーラと可能性を感じていた模様。
ささきさち、三日会わざれば刮目して見よ!
実は初めて拝見したのですが、1ステージ観て確信。彼女は大物になる。いち客風情が偉そうなこと言って恐縮です。ただ、ものすごい集中力と豊かな感性をお持ちの踊り子さんだなと感じました。派手なパフォーマンスや豪華絢爛な衣装で観客を圧倒するというより、等身大の自分を包み隠さず明かすステージ。ありふれた日常のなかにある手のひらサイズの感動や感情、もしくは彼女がとても大切にしている秘密の宝物をそっと見せてくれるような、観ているこちら側の心があたたまるものです。ずっと観ていたくなるステージ。
劇場を出て、いつもの「麗郷」で打ち上げ。しじみ、焼きビーフン、腸詰、焼き餃子、瓶ビール、紹興酒のボトルという黄金の布陣で、たっぷり3時間しゃべくり倒しましたとさ。
あぁ、良いストリップ納めになりました。2022年もありがとうございました。来年もよろしくお願いいたします。
年末年始だらだら日記②
今日読んだ2冊は、小倉孝保さんの「踊る菩薩 ストリッパー・一条さゆりとその時代」と楠木建さんの「絶対悲観主義」。
どちらも良かった。
一条さゆり。伝説的なストリッパーだ。ストリップにハマってその歴史を紐解けば、いずれ彼女の名前に行きつくだろう。私は残念ながらステージを拝見したことはないけれど(1972年引退だし)、小沢昭一をはじめとした数々の評伝でそのドラマチックな人生や伝説的な芸を漏れ聞いたり、日活ロマンポルノ作品「一条さゆり 濡れた欲情」等で生前の姿を拝見したりした。
ただ不思議なことに、何冊か関連書籍を読んでも、彼女の全貌がまったくつかめなかった。一世風靡したストリッパーが引退公演で逮捕され、わいせつ裁判を通して図らずも「反権力の象徴」に祭りあげられ、しかし晩年は釜ヶ崎のドヤで孤独死に至ったというその過程や背景に何があったのか。真相は歴史の闇の中だった。
「一条さゆり 濡れた欲情」は引退直後の作品なので、本人が出演したと言ってもドキュメンタリー性はほとんどない。WIKIPEDIAに書かれている内容はどこまで真実か分からなかった。
その点、評伝「踊る菩薩」は一条さゆり関連の書籍において最も分かりやすく、よくここまで調べ上げたな!と衝撃を受けた。彼女の人生やその魅力、様々な問題を抉り出していて、さすが毎日新聞社の一流ジャーナリストの筆致!
極貧の幼少期、絶頂期、刑務所暮らし、夫の自死、大やけど、生活保護、ドヤ街での暮らし、孤独死……。昭和の男社会を、自分の身ひとつと真心で生き抜いた一条さゆり。芸に生きて芸とともに亡くなった彼女の伝説の正史は、この本とともに語り継がれることだろう。
「絶対悲観主義」は、若いビジネスマンに捧げたい一冊。弟に勧めようと思う。
絶対悲観主義とは「自分の思い通りにうまくいくことなんて、この世の中にはひとつもない」という前提で仕事をすることで、期待感やプレッシャーなく仕事ができ、落ち込まないで過ごすための処世術であるとのこと。
分かる!自分にも他人にも過度に期待しない方が、何かと傷つかずにすむよね。
著者オススメのライフハック、仕事やプライベートで失敗した時に、パーキングのレンタカーに乗り込み一人「そうは問屋が卸さない、か…」と呟く(声に出すのがポイント)のは是非実践したいと思った。
一番興味深かったのが、アメリカの心理学者ハーズバーグの「二要因理論」。1960年代に注目された古典的なモチベーション理論だ。詳細は省くが、「満足」の反対にあるのは「不満足」ではない――「没満足」という満足がない状態だというハナシ。
人に信頼されること、その仕事自体に意義を感じられる要因を大きくすればするほど、職務満足は高まる。一方の「給料や勤務条件、対人関係」といった、一般的に働くモチベーションとして考えられがちなポイント、昇給や昇進は「不満足」をなくすだけであって「満足」はもたらさないんだそう。どんなに不満足の要因を排除しても、「没不満足」になるだけで、決して「満足」にはならない。給料を上げても本当の満足にはならないということだ。
この理論を自分の生活に当てはめて考えてみると面白いと思った。今何の状態なのか、「満足」なのか「没満足」なのか「没不満足」なのか。客観視することで、すべきことやしなくていいこと、自分にとってのワークライフバランスがハッキリしそう。年末年始、人生の棚卸しをするのにオススメの1冊です。
年末ごはん記録。まずは池尻大橋。
池尻、初めて降りた…。レトロな街並みや素敵な個人店が多くて探索したい。銭湯もあった。
カウンターで和食をいただく「KAN」とっても良かった。
旬のコースで。涎が出る献立です。
天然きのことつみれ汁、あったまった。きのこがどれも肉厚で贅沢。
小鉢はどれもお酒に合う。柿の白和えもう1回食べたい。
ごはんをゆずで蒸して、ますこを散らしている。いい香り!
日本酒も色々ありました。ゆきだるま可愛い。
シメに鯛ラーメンとカレーも食べちゃいました。
池袋も行った。「もるとや」の25周年ボトルが呑みたくて。
野毛納めは「PEAT HOUSE」と「曇天」さんで。
2022年はあと2日間!残り時間は川上弘美の小説をたくさん読むぞ~。
年末年始だらだら日記①
今日読んだ2冊は、石神賢介さん「57歳で婚活したらすごかった」、xiangyu(シャンユー)さん「ときどき寿」。
どちらも面白かった。
「57歳で婚活したらすごかった」は、40代の時に「婚活したらすごかった」を書いた、フリーライターの続編。
やっぱり結婚したい!57歳で強くそう思った著者は、婚活アプリ、結婚相談所、婚活パーティーを駆使した怒濤の婚活ライフに突入した。その目の前に現れたのは個性豊かな女性たちだった。「クソ老人」と罵倒してくる女性、セクシーな写真を次々送りつける女性、衝撃的な量の食事を奢らせる女性等々。
さすが何十年もフリーライターとして様々な業界の魑魅魍魎と渡り合ってきた石神さん。クールに、しかし赤裸々に、そしてリアルかつコミカルに中高年の婚活を徹底レポートしている。数ページごとに笑いとオチを挟みつつ、結婚とは何なのかを考えさせられた。切実な人のための超実用的「婚活次の一歩」攻略マニュアル付なので、これから婚活する人は必携でしょう。
この本の原稿料と印税で、もうちょっと婚活ライフを延長して成婚にこぎつけてほしい。結婚相談所の入会金、マッチングアプリの会費、女性たちへの食事代、諸々の勉強代は経費として落とせたかが気になります。
「ときどき寿」は、横浜のドヤ街・寿町に住む「ヤマさん」との6年に及ぶ友好の記録。寿町については色んな方が文章を書いているし、私もたまに飲みに行くし、もはやかつてのキケンなディープスポットではなくなりつつあるのだけれど、このルポも現在のありのままの寿の姿を、等身大の言葉で記していました。
作中にあった、関内からみなとみらいに向かう途中にある「エッチな映画館」と、関内駅近くの「激安カラオケ店」がどこかを突き止めたい。「エッチな映画館」ですぐに思いつくのは「光音座」だけど、確かに18禁のポルノ&ゲイポルノを毎日かけているけど、みなとみらい方面とは真逆だしなぁ。
年末年始のBGMはこちら、「椎名林檎 TBK MASHUP MIX 2022」。
何度も聴き込んだ曲たちなのに新曲を聴いたようなフレッシュな感動がある。東京事変バージョンと、宇多田ヒカルバージョンも素晴らしい。
椎名林檎リミックスアルバム「百薬の長」も、こんな解釈があったのか!と目が覚める名盤です。これまでファンがアンオフィシャルに勝手にリミックスしていたのを、ご本人が面白がってオフィシャルで作ったのではないかと妄想している。
あと、アマプラでドラマ「僕の姉ちゃん」の1話を観たけれどピンと来なかった。友人たちがハマっているそうなのでそれならば…と思ったが。
アラサーOLのお姉ちゃんが、新米サラリーマンの弟を相手に、毎夜食卓で繰り広げる恋と人生についての毒舌&ぶっちゃけトークがウリのようだ。
弟「女の子のふと見せる素の部分とかいいんだよね」
姉「女に無意識などない!」
いや、人それぞれだろ!主語でかいな!
姉「その子、うちの部署のイケメン狙ってんだけど、その手口が癇かんに障さわるのよ。『きのう、アイロンかけながら観てたテレビが面白くて』とか、『いつも寄るお花屋さんの前で友達とばったり会って』とか言うの。『アイロンかけながら』とか、『いつも寄る花屋』とか、家庭的キーワードをいちいちい入れ込んでくるのが、癇に障るのよ」
心狭いな!単純にその子のことが嫌いなだけでは?
と、あまり共感できず。
第18代M-1王者「ウエストランド」の「悪口漫才」のように、悪口ドラマなのかな?(1話しか観ていないので、2話以降全然違うのかもしれませんが)
ウエストランドの悪口漫才はこんな感じ。人気YouTuberに対して、一部の方が薄っすら感じていた「いけすかなさ」(=嫉妬?)を代弁してバズった模様。
やっぱりウザい。結局ウザい。さすがにウザい! 再生数に取り憑かれておかしくなっている! 若くして大金を得ているからまともではない。それが明るみに出始めている!警察に捕まり始めている!
同じような「女子の生態」を赤裸々に明かす系の作品でも、瀧波ユカリ「臨死!江古田ちゃん」や、峰なゆか「アラサーちゃん」は好きなのに「僕の姉ちゃん」に首を傾げてしまうのは、原作の益田ミリがあまり得意でないからかもしれない。
という、これも悪口日記になってしまうという無限ループに陥るのであった。もー、みんな、悪口はそのくらいにして、子どもの頃好きだった駄菓子の話しよ!私はね、都こんぶ!
神奈川県民ホールギャラリー2022年度企画展「ドリーム/ランド」を観る
年の瀬。キリよく仕事納めが出来たので悠々自適の冬期休暇に入りました。この機会に積読を消化したり、朝から晩まで映画漬けになったり、昼間からストリップ鑑賞に耽ったり、溜まっていたブログ更新をしたりしようというワケ。
この機会に読みたかった本を20冊追加購入して、最近凝ってる音響装置から常時J-WAVEを流して、ふるさと納税で無農薬みかんを段ボール1箱分発注し、ネットスーパーで鍋の材料をたんと買い込んだ。エアコンと象印の加湿器で部屋は快適だし、もう1歩も家から出なくても1週間暮らしていけるだけの娯楽と環境は揃えた。猫も2匹いる。ここが天国だ。たとえ明日から緊急事態宣言と言われても余裕のヨっちゃんよ。
世間の皆様は忘年会や帰省といった外出イベントがあるようですが、こちとら社会的責任の薄い身の上なものでスケジュール真っ白けっけで気の楽なこと。ただ、そんな欲望のまま昼夜逆転生活をしていたらマジでアっという間に年を越してしまいそうなので、ひとつくらいイベントを設けようと気力振り絞って展示納めしてきました。
神奈川県民ホールギャラリーで開催中の2022年度企画展「ドリーム/ランド」
dreamlands.kanagawa-kenminhall.com
横浜の友たちは勿論、アート好きの界隈でもあまり知られていない気がする…が、私も県民ホールギャラリーでアート展示やってるなんてイメージなかったよ。しかも、ゴリッゴリの現代アートだし。
展示概要はこんな感じらしい。
ドリーム(夢)という言葉は「夢のような世界〈理想・楽しいこと〉」、「将来の夢〈願望・希望〉」など多様な意味合いを持ちます。油画、日本画、彫刻、刺繍、映像を制作する7人の作家によりこれらドリームがいかなる作品として展開するか?請う、ご期待。
「ちょっと何言ってるかわからんな(笑)」と首を傾げつつ、20年前に閉園した遊園地「横浜ドリームランド」に何か関連するのかもしれんという予感を持った。あそこは遠かった。
とにかく、神奈川県民ホールギャラリーで開催する現代アートの企画展は2014年以来らしい。出品作家を見るに一筋縄ではいかなそうでイイね。近いし軽い気持ちで行ってみよう。
中華街は混んでいたけれど県民ホールまで抜けると閑散としていた。受付で入場料800円を払い、早速中へ。
白い壁、白い床のホワイトキューブに散らばる1万円札とスーツケース。
よく見ると、一万円札は刺繍で出来ていた。青山悟さんの刺繍作品はいつ見ても精巧。
本物の1万円札と並べてみた。そりゃあ紙と刺繍は質感は違うものの、妙な存在感がある。通貨を作品にするというのは、赤瀬川原平の「模型千円札」へのオマージュだろうか。
制作過程のビデオも面白かった。
ドル札は本物より大きめに作られていて、訴えられないように配慮していたのかな。
次の部屋は悪夢のような光景が広がっていた。笹岡由梨子のインスタレーションらしい。法輪のような造形物にディスプレイがついており、映像投影されている人間の顔のパーツがレンチキュラーレンズで歪む。たまにキラキラモップが動く。コロナウイルスのワクチンを打った時、熱に浮かされながら見る夢はこんな感じかもしれない。
この作品に限らず、「なんでこれを作ろうと思った!?」「どうやって作った!?」と驚くものが多くて、常識や定型をぶっ飛ばしてくれて良かった。
膨大な量の写真(公募したらしい)がプロジェクションで壁に投影されていて、宇宙をさまようデブリのよう。高い天井の効果もあって浮遊感があった。この広い空間をまるごと一人で使えるなんて、作家冥利に尽きるだろうな。
映り込みがキレイなので白い服を着ていくのがオススメ。
イマーシブミュージアムなどの「体感型デジタルアート空間」が流行った2020~2022年、「プロジェクターの解像度がいまいち」「音響が微妙」「この作品でやる意味ある?原画観たいんだけど」など難癖をつけてどれもノリきれませんでしたが、この展示は面白かった。作品自体の出来がイイのは前提として、なんでかなと思ったんですが、ひょっとしたら他の鑑賞者がいないからかもしれない。
没入するためには人目を気にせずウットリしたいじゃん。宇宙にぽつん、放り出されたような気分で映像の中に入りたいじゃん。贅沢な時間。そういう意味では、この展示は平日真っ昼間に行くのが狙い目かもしれません。
いずれにせよ、横浜美術館のリニューアル工事が遅れている今、ハマの大箱で現代アートを観る貴重な機会なので是非どうぞ。
鑑賞後、産業貿易センタービルの地下のアメリカン・キッチュな雑貨屋を覗いたり、赤レンガ倉庫のスケートリンク場を横目で眺めたり、みなとみらい東急スクエアストアのフライングガーデンを冷やかしたり、みなとみらいの造船ドック跡地に誕生したシェアスペース「BUKATSUDO」に行ったりした。
たっぷり3時間歩いたので水分補給。野毛のぴおシティ地下街で17時までハッピーアワーの「太陽ホエール」でメガハイボール(350円)をグビグビ。生ビールもレモンサワーも230円、餃子も1皿230円とお財布に優しいね。立ち飲みなら「じぇんとるまん」もイイけれど、今日は歩いたし席に座りたい。
とりとめのない年末散歩。呑みながら駄弁るのはやっぱりヤマ・オチ・イミなしの垂れ流し四方山話。
昨日「Dr.コトー診療所」の新作映画を横浜ブルクで観た。ドラマ版から20年ぶん年を取った役者陣が集結していて、それぞれの役の事情(大抵は「老い」)と闘っていて良かった。心温まるハートフルストーリーは年末にピッタリだったものの、ちょっとバイオレンス成分が足らなかったので、アマプラで無料になっていた「ハーレイクインの華麗なる覚醒」を間髪入れず観たのは秘密だ。(マーゴット・ロビー最高!)
映画と言えば今年観て印象に残ったのは、旧作だけど「燃ゆる女の肖像」。新作ならば「偶然と想像」、「フレンチ・ディスパッチ」、「ハケンアニメ」、「RRR」がベストヒット。どれも何度でも観たい。
エンタメとして完成度が高くて感嘆したのは「トップガン・マーヴェリック」、「すずめの戸締り」、「ドント・ルック・アップ」。人には勧めないが個人的に好きなのは「NOPE/ノープ」、「ブレット・トレイン」、「TITANE チタン」。
小説だと、朝日まかての「ボタニカ」を読んで感動した。日本植物学の父・牧野富太郎の物語で、来年のNHK朝ドラのテーマにも選ばれている。瀬戸内晴美の「女徳」といい、桜木紫乃の「緋の河」といい、波瀾万丈な伝記小説が好みのよう。いつか書いてみたいな。
誰かの人生に憑依してその人の目線で世界を見てみたい。今年はそういう対象を数人見つけたので良い年でした。来年あたり、攻殻機動隊のように脳内ジャックVR技術がローンチしてもいいのではないだろーか。
1週間後には2023年を迎えている。残り6日間。もういくつ寝るとお正月。
ナンバガ再解散ライブ「NUMBER GIRL 無常の日」(ぴあアリーナMM)に行った
またひとつ青春が終わりました。
いや、とっくの昔にアオハルとは無縁の人生なんですが。
追っかけているバンド、NUMBER GIRLが解散しました。(20年ぶり、2度目)
NUMBER GIRLことナンバガは日本のオルタナティブロックグループです。知っている人は知っていて、知らない人は知らない。よければYoutubeで聴いてみて。
ナンバガは1995~2002年に活動して解散し、2019年に突然再結成しての2022年にまたも解散宣言。再結成の理由は、北海道のフェス「RISING SUN ROCK FESTIVAL」に出演したいから、とボーカルの向井秀徳は言っていた。
「2018年初夏のある日、俺は酔っぱらっていた。そして、思った。またヤツらとナンバーガールをライジングでヤりてえ、と。あと、稼ぎてえ、とも考えた。俺は酔っぱらっていた。俺は電話をした。久方ぶりに、ヤツらに。そして、ヤることになった。できれば何発かヤりたい」
幸運なことに、コロナ禍の復活ライブへ行くことができた。密を避けて、マスク着用、着席、ノー発声という、騒ぎたいロック好きには半ば拷問に近いスタイルだったものの素晴らしい時間だった。ちらっと昔書いていた。
復活してからの3年ちょっと、彼らはワンマンライブやフェス出演を精力的にこなした。すべてに足を運ぶことはできなかったものの、行ける時は現場で、そうでない時は配信で応援した。2022年になってからは、コロナ禍が落ち着いてきて社会生活が急激に早回しになって多忙が続いていたため、ちゃんと追いかけることが難しくなっていた。復活したしいつでも行けるでしょ、という甘えもあった。これがよくない。反省。
いつまでも あると思うな 親とバンド
2022年8月、向井がふたたび解散宣言を発した。
「2019年に再結成したNUMBER GIRLはふたたび解散します。再結成において大きな目的のひとつであったライジングサンロックフェスティバルへの出演を果たし、これを区切りとして各自の音楽活動に戻ります。
ライジング含め公演中止や延期などが立て続いたこの4年間でありました。この中、時を超えて集まったメンバーと鳴らした音は、やはり時を超えていました。そして聞いてくれた皆さんとも時を超えることが出来た。とても楽しかった。申し上げます。ありがとう。
私は稼ぎてえ、と切望しておりました。ひとりの取り分として結局1LDK築20年の中古マンションの購入価格くらいになっただろうか。計算しておらんがいずれにせよ私としてはこの目的を全くもって果たせていない。目的とは金銭のことである。これはくやしい。いや、プライスレスのヨロコビがあったではないか。そういうことだ。そういうことなのだ。
2022年12月11日(日) ぴあアリーナMM公演をもってNUMBER GIRLは解散します。 また稼ぎてえと思ったら、何度でも時を超えて我々は集まり、福岡市博多区からやってまいります」
「稼ぎてえ」という理由で再結成して、解散時に「ぜんぜん稼げなかった」とぶっちゃけるロッカーがかつて居ただろうか。いや、居ないんじゃないかな。「稼ぎてえと思ったらまた再結成するわ」と言ってるし。向井の言動にファンは振り回されてばっかりである。
ラストライブは「NUMBER GIRL 無常の日」と題され、12月11日に神奈川・ぴあアリーナMMで行うことも明かされた。
これはとんでもないことですよ。
キャパシティ約1万(着座)のコンサートホール。再結成時の豊洲PITは、スタンディングで約3,100名、着席で約1,500名のキャパだった。(一般的には)マイナーなオルタナティブロックバンドがヤれる規模・レベルの会場としては最高峰じゃないだろーか。
NUMBER GIRLの公式Twitterのフォロワー数は約6万人。休眠アカウントやなんやかやを入れても、だいたい6分の1の確率で行ける!!と意気込み、親兄弟、少ない友人知人、はては同僚上司に頭を下げて同伴者候補とさせてもらい、チケット獲得に全力を懸けた。これまでの人生でライブのチケットのために「一生のお願い」を10回以上しています。応援の言葉よりあなたのアカウントをくれ。同情するなら抽選に参加してくれ。
そんなこんなで、最終的にはぴあのクレジットカードを作ってもらい、見事当選し、同行者枠として行くことができたのでした。その人はナンバガ聴いたこともない音楽好きでしたが、ライブのために聴きこんでもくれました。本当にありがとうございました。
「楽器の音が大きくて、ボーカルが何言ってるか全然わかんない」と言ってましたね。ボーカルを聴くためにボリューム上げて、文字の小さい歌詞カードを凝視するのがナンバガ登竜門ですよ。
桜木町駅から歩いて向かう道中、クリスマスイルミネーションがきらきらと輝いていた。キャッキャウフフしているアベックに混ざり、黒っぽい恰好で暗い顔しているひとりもんは全員ナンバガのライブに向かう人に見えた。狂った街かどきらきら・・・
目の前は何度も通っていたものの、ぴあアリーナMMの中には初めて入った。入口近くには「チケット譲ってください」の紙を持った人たちがいた。当日になって機材席が解放されたものの、見届けられないファンも多くいただろう。
入場列は長く出来ていたものの、案外あっさり入れた。身分証明書の確認は結構しっかりしていた。電子チケットより紙チケットの方が早く入場できた。
会場は想像以上に広く、きれいで、座りやすい座席で助かった。ドームや武道館は尻に優しくない。
17:30すぎ、ほぼ定時で始まった。なお、開始直前になって向井がナチュラルに舞台袖から顔を出し、観客をぐるりと眺めて戻るという珍シーンがあった。この時点で、フツウじゃないライブになりそうな予感がビンビンしていた。
セットリストをまとめてくれた方がいたので、ありがたく拝借。
- 大あたりの季節
- 透明少女(1回目)
- OMOIDE IN MY HEAD
- ZEGEN VS UNDERCOVER
- 鉄風鋭くなって
- EIGHT BEATER
- DESTRUCTION BABY
- NUM-AMI-DABUTZ
- CIBICCOさん
- 桜のダンス
- 水色革命
- TRANPOLINE GIRL
- YOUNG GIRL 17 SEXUALLY KNOWING
- delayed brain
- MANGA SICK
- U-REI
- 透明少女(2回目)→休憩(ブレイクタイム)
- BRUTAL NUMBER GIRL
- 裸足の季節
- 喂?
- 排水管
- 転校生
- 日常に生きる少女
- 透明少女(3回目)
- TATOOあり
- タッチ
- I don’t know
アンコール
- はいから狂い
- IGGY POP FAN CLUB
- TRANPOLINE GIRL
Wアンコール
- 透明少女(4回目)
2022.12.11
— 六輔 (@a6sk) 2022年12月11日
NUMBER GIRL 無常の日
at ぴあアリーナMM
セットリスト#ナンバーガール#NUMBERGIRL#無常の日 pic.twitter.com/Eey9wXpE1T
ライブ直後のTwitterのトレンドに「透明少女4回」が入ったように、彼らは「透明少女」という代表曲のひとつを4回演奏した。バージョン違いとかじゃない、同じ曲だ。前代未聞だ。
これまでの再結成ライブでも2回(本編とアンコール)演奏することはあったので、今日も2回はヤってくれるんだろ~なと予想していたが、まさかの4回。
3回目は「えっ!?また『透明少女』?ヤってない他の曲も聴きたいな」と思ったが、4回目になると笑いしかなかった。観客が「聞き飽きたよ」「一生分聴いたよ」と思うくらいヤってくれたのか、コロナ禍で中止・オンラインに切り替えたワンマンやフェスでヤるはずだったリベンジ演奏をしているのか、真意は分からない。でも4回目の「透明少女」で会場の盛り上がりは最高潮に達していたように感じた。客側もノり方分かってくるしね。隣に座る初ナンバガライブの知人も、楽しそうに腕を振っていたし。
最高のセットリストに、最鋼の演奏。キめるところをしっかりキめてくれて、解散を見届ける機会を与えてくれた彼らには感謝しかない。
1曲1曲丁寧に選んで、心を込めて弾いてくれていた気がする。どの曲も今のナンバガで弾くのは最後になるから、それぞれの方法でお別れをしているようだった。
まぁ、向井だけは相変わらず自由だったけど・・・。
向井さんの理解不能ぷり
— suki (@sukinoshita) 2022年12月11日
最強
タバコ咥えて、人形伸ばして
プリクラだもん
最高#ナンバガ#ナンバーガール#無常の日 pic.twitter.com/4Wwmnxm6g1
ナンバーガールを知らない人に伝える用「ナンバーガールのラストライブがいかにとんでもなかったか!?」 pic.twitter.com/lnYRKo1Gre
— ナンバーガール2019 (@numbergirl2019) 2022年12月13日
曲の途中で急にギターを置いて、他のメンバーに「そのまま続けろ」とジェスチャーして、自分はビールをのんびり呑んで、タバコくわえて、しかも4本一気吸いして、葉巻まで吸い始めちゃって、びよーんと伸びる人形で遊び始めたんだよ。
並みの神経じゃできないっしょ。自身のバンドの解散ライブで、1万人以上の観客が一挙手一投足を見守る状況で、誰もが理解不能の行動をするって。アサヒスーパードライは4缶空けて、ライブ直前にメンバーと盛ったプリクラ撮ってそれを休憩中に流すし。向井半端ないって。そんなんできひんやん普通…。
そういえば以前の配信ライブでも、急に紙袋から何か取り出して、それがモデルガンだったことがあった。今年は安倍さんの事件があったから銃はやめたんだろうな。しかしなぜスーパーマンの人形に・・・?とFUSIGIでしたが、向井のツイートでナゾが解けました。
ビロリンマンは無敵の男だ。
— Matsuri Studio (@MatsuriStudio) 2022年12月12日
不死身の男であり、不滅の男だ。
伸びても伸ばされても蘇る。
何回だってやり直す。
俺もそうありたい。
向井秀徳 pic.twitter.com/iN9UHrIQSm
解散については終盤まで向井は口にしなかった。
マスク越しの発声が許されていたので面白いヤジが多発していたのだが、「解散すんなよ」「待ってるよ」という声もあった。「やっぱ解散やめるわ」と言ってくれたらどんなにいいか。
でも向井はあっさりと「今日の日の公演をもちまして、我々NUMBER GIRLは解散いたします」と述べた。観客に悲壮感はなく、妙なスッキリ感だけが残った。繰り返される諸行無常。
「無常の日とはなんだったのか」
解散ライブに行った人たちと酒飲みながらえんえんと語りたい。私にとって、これ以上なく楽しくて幸せなライブだったことは間違いない。
17歳の頃の自分にもし何かひとつ伝えられるならば、「生きていたらそのうちナンバガが再結成して、復活・解散ライブに行けるよ」と教えてあげたい。きっとその言葉を頼りに、日々をつないでいけるだろうから。
さて、明日から何を頼りに生きていこう。10年後くらいの自分が急に現れて「そのうちナンバガが再結成するよ」と教えに来てくれないものだろうか。待ってるぜ。
温泉、アート、食、遊園地。何度でも別府・大分を遊びつくそう
先日、別府に行きました。(1か月ぶり、今年4回目)
温泉が気持ちいい季節だからね。理由なんてそんなもんでいい。思い立ったが別府吉日。11月は結構忙しかったので、湯に浸かって頭カラッポにするためToDoを設けずノープランでGO。
大分空港からリムジンバスで別府駅に直行して、ちょうどお昼時だったので「手打ち蕎麦にはち」へ。ミシュランビブグルマン掲載店らしい。
「桜えびおろしそば(辛味大根)」(1500円)おいしかった。ちょい飲みセットも魅力的でしたが、このあと温泉行くので昼酒はがまん。店内は和の香りただよっていて素敵だった。「薬師寺そば」が気になって、鎌倉の薬師寺関係あるのかと尋ねたら、薬師寺さんという常連さんがよく頼むメニューだかららしい。そういうローカルさが別府らしくて好きだ。
さてどうしようかな。1か月ぶりの別府。何も下調べをしてきていないし、こないだアートマンスは終わったばっかだし、大分県美、大分市美にも先月行ったばかりだし、別府市美は休館だし。
こういうときは、あそこで情報を仕入れるにかぎる。
「にはち」のすぐそば、歩いて30秒ちょいの「SELECT BEPPU」へ。ここは別府のまちのセレクトショップ。おいしいお店、たのしいイベント、地域の人ならではのおすすめ旬情報を常にキャッチアップしている。(と、宣伝しまくると中の人たちが謙遜してしまうので、行った際はさりげなく聞いてみましょうね)
こんな感じに。
「どうもー、最近変わったことありました?」
「おかえりなさーい。そうですねぇ、鉄輪に『地獄温泉ミュージアム』がオープンしましたよ。去年のin Beppuが企画展で紹介されています」
まじか!それは行かなきゃ。ミュージアムと名のつく施設は古今東西足を運びたい。やっぱりここで聞いてよかった。
すかさずチラシラックも確認。明日からトキハ別府店で「東アジア文化都市 2022 大分県」の展示が始まるとか、清島アパートの人の展示が始まるとか、大好きな「よつめ染布舎」のワークショップの案内とか、ビビっと刺さる情報をたくさん拾えた。
こんな風に、まちの発信基地&特別なお土産が買えるショップが常に動いているってすごい。ありがたい。
予定をざっくり組み立てた。
まずホテル「アマネクゆらり」に荷物を預けて、バスで明礬温泉に行き、温泉入って、歩きかバスで鉄輪温泉に移動し、地獄温泉ミュージアムを見学し、温泉入って、19時までに別府に帰ってこよう。なぜなら19時すぎにごはんを予約しているから。
さくさく行動。定宿の「アマネクゆらり」(隣接する「アマネクイン」はビジホとして使い勝手最高)は駅・バス停・まちなかにすぐアクセスできる便利な立地で使い勝手がいい。
よし、向かうは別府八湯の中でもとりわけ薬効が高いと称賛される明礬泉。ちょっと離れているので訪れるのは2019年以来。明礬温泉に日帰り立ち寄り湯は色々あるけれど、せっかくなのでいちばん推しの「奥みょうばん山荘」に行っちゃおうかな。
https://okumyouban.kakurezato.com/
バス停「湯山」から徒歩10分くらい、坂道を登った先。湯の花をつくる小屋が立ち並ぶ。自然豊かで気持ちいい。
着いた。
奥みょうばん山荘のお風呂は全て貸切制。受付の建物に行き、空いているお風呂を案内してもらう。1人550円で1時間まで。室は全部で3室あり1人から利用できる。つまり、最高の泉質の温泉を、気軽にひとりじめできるのです。
ほんとは人に教えずに自分だけのいきつけにしたい名湯ですが、私が行けるのはせいぜい年に数回なのでぜひ色んな方に行ってもらって、応援してほしい。
受付のある館内は民家のようにアットホーム。日帰りだけでなく、宿泊もできるらしい。
ここが私だけの温泉に!!!
日によりますが奥みょうばん温泉のお湯は白濁していて、なんといっても湯の華の量が多い。硫黄成分を含む蒸気に地下水をブレンドすることで、このお湯を作り出しているそう。お客さんの「白濁した湯の華いっぱいのお湯に入りたい!」という欲求に応えるために日々データを取っていて、毎日、天候を確認しながら、今日はどのパターンで行くかを見極めているんだとか。曇りの日は濁りやすく、晴れた日は透けやすいらしい。
服を脱いでかけ湯をして、いざ。
はぁぁぁ~~~~~~♨♨♨♨♨♨♨♨
極楽とはこのこと。ちょうどいい湯加減、肌あたりの気持ちいい湯ざわり、カラッと乾燥した良い天気、ちょっと肌寒い気温、遠くで聞こえる鳥のさえずりと木々のざわめき、周囲に誰もいない解放感。
肩まで浸かったり、半身浴をしたり、外気浴をしたり、出たり入ったりを繰り返して1時間のんびり過ごした。人目を気にせずに気ままに文庫本を読むこともできる。
お風呂あがりのお楽しみ、地獄蒸し温泉卵と地獄蒸しプリンが受付で売っているので忘れずに。
プリンは120円と破格。明礬温泉では有名な「岡本屋」のプリン(330円)も超美味しいんだけど、カジュアルに食べられるここのプリンも大好き。
半熟の温泉卵(50円)はオーダーしてから作ってくれる。茹で具合が絶妙で、世界一美味しいんじゃないかな。かた茹ではテイクアウトして、翌日別府冷麺に入れて食べた。美味しかった。
奥みょうばん山荘が健在で良かった。また来ます。
のんびり過ごしたので、次の行先へはバス移動で時間節約。時刻表は奥みょうばん山荘の冷蔵庫に貼ってあるので逆算して動こう。バスは30分に1本くらいです。
鉄輪温泉に突如現れた「地獄温泉ミュージアム」。
「温泉が、もっと愛おしくなる」をコンセプトに、鉄輪温泉の歴史・文化・魅力などを次世代に伝える施設です。「アカデミック・エンターテインメント施設」を謳っているそうだ。設置主体は観光スポット「海地獄」らしい。
館内の内装がスタイリッシュで格好良かった。最近石積み流行ってるけど受付カウンターに使うの初めて見た。
鉄輪マップのイラストが可愛いしわかりやすい。まちあるきに役立つから配ってほしい。
展示構成。よく練られているし、映像や演出多めで気合入ってます。これが「アカデミック・エンターテインメント」か!床面映像で始まって期待感高め、写真映えしそうな空間で掴み、随所に体験を挟み、最後に大型シアターでまとめる構成が今っぽいなぁと思った。別府に今までなかったタイプの施設でいいね。
こういうトリックアート風写真も撮れるよ。
温泉場を模したシアターがニクい。風呂桶光るし。映像のCGも凝っていた。地獄蒸ししたどんこがぷりぷりつやつやで美味しそうだった。
シアターを出ると蒸気たっぷりの中庭へ。「目 in Beppu」思い出す光景。
ショップとカフェも素敵空間です。よくある観光地の(安っぽい&昭和っぽい)施設と違って、どこもハイセンスで写真に撮りたくなるミュージアムだったので驚いた。入館料がちょっと高め(大人1500円)なのも納得だわ。
ショップで売ってたこのジンジャースパイスシロップが激うまでした。カフェでも出してて、飲んで速攻ひと瓶買った。
今回は、企画展として「廣川玉枝による『地嶽祭』展 –地嶽ではぐくむ、芸術の源泉–作品展示について」をやっていました。
廣川さんは2021年-2022年にかけて別府で開催された芸術祭「廣川玉枝 in Beppu」で、別府に新たな祭『地嶽祭神事奉納』を創造したんですが(超面白かった)、その背景や実物資料を展示していました。
『地嶽祭神事奉納』で使用した神々の衣裳を始め、廣川さんが風土のリサーチのために蒐集した、別府にまつわる骨董品や絵葉書などを展示。これは貴重&必見ですよ!2023年11月30日まで開催しているので、ぜひ。
ミュージアムを出ると辺りは暗くなっていた。日が沈むのが早い。冬ねぇ。
鉄輪でも温泉に入ろう。お気に入りの「渋の湯」へ。地元のおばちゃまが「どっから来たん?」と話しかけてくれ、世間話をしたり。
バスの時間まで20分…もう1か所行けるね!と「すじ湯」をはしご。
いやぁポッカポカに温まった。バスに乗って別府に戻り、「アマネクゆらり」にチェックインして出かける準備をした。
「アマネクゆらり」はまちあるき・温泉ぶらりにピッタリなオシャレ籠を貸してくれる。水、ミニタオル、ポーチ、寒さ対策のインナーダウンを入れてちょうどいい。
今夜のごはんは、先月に山出さんが連れてってくれて大ハマりした割烹「春うらら」!
大将のおすすめコースで、その時に旬な地魚、地酒、地の野菜、地の肉などを組み合わせてもらえます。約2時間、料理上手であったかい大将、笑顔がチャーミングなママと濃厚なコミュニケーションを取りながら、大分をまるごと味わえます。
今夜はふぐ祭り!都内の料亭ならいくらするんだ?って量のふぐを、遠慮なくお腹いっぱい食べちゃいました。身がぷりぷり通り越してブリンブリンなの!なお、このふぐ刺しで2人前でした。
ビールで喉を潤した後は、ふぐのひれ酒で。も、濃厚で御出汁みたいなの。使うひれの量がとんでもないらしい。人生いち美味い。じょかに般若心経が書かれていた。
パンパカパーン!ふぐ尽くしナイト開幕です。ふぐ白子、ふぐ唐揚げ、ふぐ鍋。嬉しすぎて白目剥きそうなラインナップです。どれも最高。迷い箸をしてしまうほど魅力的。鍋のスープは魔法瓶に入れて持ち歩きたかった。白子をひとくち含んで、ひれ酒で追っかけて。濃厚な旨味と繊細な味が脳裏で爆発します。
豊後牛も出てきちゃうんですよ。刺しで食べられちゃうんですよ。あぶらが甘〜くて、口内の熱でとろけるよ。今回はお腹いっぱいで食べなかったけど、特製ハンバーグも地上一美味いです。
これから別府に来たらひと晩は「春うらら」だな。特にふぐコースは毎冬通おう、そう思った。
よし、胃が満たされたところで呑みに行くぞ。別府の夜は長い。
最初は「元町バー」に挨拶を。
https://www.instagram.com/beppumotomachibar/
インスタのストーリーに「大分来たぜ!」と上げると真っ先に「おかえり!」とメッセージをくれるマスター・ゆうたろう君。フルーツカクテルの種類が多いし、とってもリーズナブルだし、遅くまで営業しているので来別時はマストで寄りたい。
かぼすのカクテル、きんかんのカクテル。ここの店内で撮る写真は盛れるのでおすすめです。
https://www.instagram.com/bar_la_priere/?hl=ja
別府随一のオーセンティックバーへも。レアボトル煌めくバックバーを眺めながら、オーダーするカクテルを考える時間が好き。
よく飲んだ翌日の朝は温泉から。シャッキリ目覚めたら、「アマネクゆらり」自慢の朝ごはんで始めましょう。
和風、洋風選べますが、土鍋で炊き立ての白米が食べたいのでいつも和風を頼んでしまう。サラダ、蒸し物、本日のお魚、選べる小鉢、お味噌室。かなりのボリュームですがペロリと食べられますよ。
高級たまごの蘭王で卵かけご飯を。黄身が鮮やかなネーブルオレンジ色でハッとします。
食後も温泉へ。この日はいよいよもってフリーなので、ラクテンチに行ってみることにした。
駅前に、自転車の前カゴに乗って散歩する猫さんがいた。飼い主さん曰く「この子は小さい頃から散歩が好き」らしい。珍しい!器用にバランスをとっていた。
バスでラクテンチへ!
これまで、さんざん別府に足を運んでいるのにラクテンチだけは未体験でした。結論、行ってよかった!ファミリーじゃなくても大人も楽しめた。
キャッチコピーは「ゆりい・ぬりい・懐かしい!」。ゆるい感じが伝わってきます。園内はいたるところがレトロ感満載。1929年開業なので100周年が見えてきた。昭和、平成そして令和と、別府や大分の人間なら一度は訪れたことのある馴染みの場所らしい。古き良き昭和の世界に浸れます。
こんなふうに。
入園して最初にやるべき、ラクテンチ名物「アヒル競争」。8頭のアヒルのうち、どの色のコが一位になるかを当てるゲームです。1回150円。射幸性の薄い競家鴨です。
このコーナー自体が薄暗くて、はじめ営業してるのか不安だったけど、そのへんにいる人(影が薄くてスタッフか客が判別できない)に話しかけると、どこからともなくおじさんが現れて遊び方の説明を始めてくれます。(RPGか?)
「これからアヒルさんたちが1周するので、どのアヒルさんが勝つか考えて色を選んでね~。お前たち、顔を見えもらえ(一斉にこちらを向く)。お尻の具合も見てもらいなさい(お尻をこちらに向ける)。足もよく見てもらいなさい(小走りする)。回れ右、進むな(ピタッと止まる)」
おじさんとアヒルの掛け合いが面白すぎて、これだけで150円ぶんのモトは取った気がする。1等を当てると景品がもらえるそう。たくさんのお客さんと賭けたら楽しいだろうな。昔、1回のアヒル競争で1万円近く儲かったとか…。
どのアヒルが勝つかなんて、見ただけでは分からないので8分の1の運だめしなわけですが。
当たりました。
景品でアヒル型のシャボン玉をもらい、園内で自慢げに吹きました。
その後、恐竜に食われそうになったり、
パンダ号に乗ったり、
白いインド象に乗って飛んだり、
尻フェチが作ったであろうオブジェを見つけたり、(※帰京後、友人が制作者ということが判明した)
1人でフロッグホッパーの上下運動を楽しんだり、
園内いたるところにある謎のヌード彫像を探したり、
食堂で別府冷麺を食べたり、
別府湾を見渡せるビュースポットで街を見下ろしたり、
奇天烈な軌道で乗客を混乱させるフラワー観覧車にはしゃいだり、
カピバラやヤギなどの生き物を愛でたり、
全然怖くない安全な吊り橋を渡りながら「意外と楽しかったし、結構遊べるねー」と名残惜しく思ったり、
侮れない遊園地「ラクテンチ」でした。
2~3時間あれば十分楽しめます。なんと温泉もあってしっかり入りました。お土産コーナーがしょぼかったのでもうちょっと頑張ってくれたら買い物するのにな。年パスも販売していて、近所の人は孫連れて散歩しに来るのかなと思いました。私なら、毎日通ってアヒル競争の勝ち筋を掴みたい。
ホテルに戻り、マリーナ・ベップ・サンズこと「アマネクゆらり」のインフィニティプールとテントサウナで遊びました。屋上に温水プールがあって宿泊者は自由に入れます。要水着着(貸出もあるよ)。テントサウナは120度の蒸気で最高。水風呂と交互に入って整っちゃう。
まだ自慢げにアヒル競争の戦利品を首から下げています。
整った後はお腹が空きますね。「ふくや」でおでん食べて胃をあたためましょう。
別府でおでんといえば一番に「ふくや」が上がります。さっと食べられて美味しいファストフード、でもおでんダネが酒に合いすぎてつい長居してしまうスローフード。
実は私が入店した時はすでにいっぱいで座席がなかったんだけど、お客さんたちがちょっとずつ詰めて、奥から予備イス持ってきてくれた。ちょうど食べ終わりのおじさんが「俺もう出るよ~そろそろ次のスナックに行かなきゃ~」と言ってくれたし。「スナックは『満月』って店だよ。待ってるね~」と言い残して。
1軒目だし軽く4~5品食べて次行くところ考えようかな、と思っていたのに結局おでんコンプリートしてビールと純米酒も飲んでしまいましたよ。
満席だし新しいお客さん来たから席譲ろうとお会計したら、隣のおじさんが「次の店決まってる?近くにいいとこあるよ」と声かけてくれて、流れでそこに行くことに。(そのおじさんはまだ行かず、店に電話して席取っておいてくれた)
通りすがりの一般人が無料案内所役を買って出る街、別府…!
その店は、以前もひとりで行ったことのある酒場「くいしん坊」でした。
佇まいがシブくて好きなのです。チャキチャキ働くおねいさんたちが素敵です。
隣でひとり飲みしていたおじさん。鹿児島から、知人の結婚式で別府に来たらしい。息子さんが川崎で店をやってるとのことで、今度行ってみようと思う。
「くいしん坊」を出て、せっかくなのでさっき席を空けてくれたおじさんが行ったスナック「満月」に足を運んでみた。
カラオケで熱唱するおじさん。デンモクの履歴が演歌や昭和歌謡ばかりなのがよい。
美人ママも歌ってくれた。「満月」は3000円飲み放題歌い放題と良心的なお値段で、お客さんがみんな地元の方々で、ヨソモノにも優しくて居心地がいい。にしきのあきらさんが来店した写真もあった。
せっかくなので何曲か歌いました。明菜ちゃんや百恵ちゃんを。コロナ禍、人とカラオケに行くなんてしてなかったので久々に声出して楽しかったな~。
お、そろそろ予約の時間だ。バー「HELL」のケンゾーくんの2店舗目「TANNEL」に行こう。
https://www.instagram.com/tannel_beppu/
場所分かりにくいと聞いていたけれど、意外とすんなり行けました。竹瓦温泉の近くにこんな道あったんだねと。秘密基地っぽい入り口のデザインが素敵です。
写真の通り「TANNEL」はバーなのですが、「HELL」が初めてお酒を飲む若者が最初に行って楽しめる「大人の遊びの入り口」的なバーだとしたら、こちらは「よりディープに、まだ知らない大人の遊び」を求める人にピッタリのお店です。
レコードで音楽を聴く楽しみを知った人が、もっと高音質なスピーカーや音響システムに興味を持つように。
ロングカクテルを飲んでお酒の味を覚えた人が、もっと色んなスピリッツやウイスキーの味を知りたくなるように。
大学や社会に出て自分と全然違う考えの人と出会って仲良くなって、もっと深い話をして仲を深めたくなるように。
私は大学時代にバーでアルバイトして世界が開けた人なので、たまたまイイ店でイイお客さんたちに育ててもらったと思っています。一般的には義務教育までは親が子を育てるものだけど、それ以降は社会が人を育てるよね。遊び人の先輩たちが、後輩たちに遊ぶ方法と失敗の仕方を身をもって教える場は大事だなぁとしみじみ思いました。
ちょっと酔いがまわってきた頃合いですが、念願の「ヒットパレードクラブ」の最終回に行きました。
「ヒットパレードクラブ」は、オールディーズの曲を生演奏するライブレストランです。懐かしい音楽、歌を聴いて歌って踊れる別府の人気クラブ。全国からオールディーズファンが訪れるほどの人気だそう。
現在の入場料は女性3000円、男性3600円ですが、22時45分以降の入場は割引で安くなってる。バイキング方式で食べ放題・飲み放題。食事はパスタや唐揚げ、カレー、ドリンクはハイボールなどがありました。
バンドが登場すると会場が揺れるほど盛り上がる。わざわざドレスアップして来場するお客さんも多く、ステージ近くに行き踊りまくってました。かっこいい!
眺めてるだけのつもりでしたが、クールスの「シンデレラリバティ」がかかった瞬間、立ち上がって踊りに行ってしまいました。好きなんだもん…。
ボーカルのお兄さん(GENEさん)と写真撮ってもらいました。リーゼントが決まってるゥ!
いやー、昨夜は飲んで歌って踊った。この満足感を得るためには、遊ぶぞ!と決めた日の酒量は翌朝に残らないギリギリを攻めるのがポイントですね。別府の場合、温泉に入るとHPがフル回復するので問題ありませんが。
昨日まで好き放題遊びまわったので、最終日はアートに触れたいな。ということで、「東アジア文化都市2022大分県」事業の成果展を観にトキワ別府店へ。アーティスト・イン・レジデンスをした2名のアーティストの作品を展示していました。
手前の作品はコンクリで別府の建物を、竹細工で別府の湯けむりを表現しているらしい。このアーティストはどこの温泉に入ったのかなぁ、どこの道かなぁと想像する。
そんなこんなしていると、友人の利光さんが迎えに来てくれた。利光さんはアートで人生が変わった人で、アート版トキワ荘「清島アパート」のBBQで出会って以来仲良くさせてもらっている。今年書かせてもらったLIFULL HOME'S総研の別府のレポートでもインタビューに協力してくれた。
「おかえり~先月ぶり。今日はOPAMで清島の連中が展示してるからまずはそれ観て、山香町の『カタスミカイカイ芸術祭』のパレード観に行って、豊後高田の昭和のまちに行こう」
利光さんはアートに詳しいだけじゃなく、別府のツアコンとしても非常に優秀なのでいつも甘えさせてもらっています。土地勘のある車持ちじゃないと無理でしょ、この行程。
大分県立美術館(OPAM)の駐車場がやたら混んでると思ったら、ポケモン展目的のファミリーでした。子どもたちよ、清島アパートのアーティストの展示も観てってね!
アートで遊ぶ子どもたちに交じるアラサー。
大分市から杵築市山香町へ!向かう道中、全然違う互いの生活や職場の話をするんですがそれが楽しい。
山香町に着いたーと思ったら、虹色の装飾物に囲まれた全身青色のおじさんに出くわした。どう見てもアーティストですね。聞くと、本日のパレードを仕切る「レインボー岡山」さんらしい。第一町人が最重要人って、私たち持ってますね。
芸術祭の全貌を知らないまま訪れたけれど、利光さんがすぐにアート友達を見つけてくれるので、全体マップとおすすめアートスポット、パレードを含めた回り方を教えてもらった。人口約6000人の山香町民、みんなお祭りらしく浮かれた格好していて良い。
まちに点在する古民家や商店、旅館などが会場。杵築市山香町で育った写真家・甲斐扶佐義の写真と地元のアマチュア作家を含む、県内外の美術家の作品を展示していました。
お昼どうしよ~と参加アーティストにおすすめの店を聞いたら「店はないから、スーパーで惣菜買ってその辺で食べてるよ」と返ってきた。確かにレストランや喫茶店はなさそうだなと、まち一番の繁華街(スーパーとコインランドリーがあるのみ)に行くと、弁当屋があり、そこが定食を出していることが分かった。「肉まる」というお店だ。そこがすごかった。
あたたかい食事が取れれば十分というゆるい気持ちで入ったが、上の記事にある通り食いしん坊御用達の特盛めし屋だった。唐揚げ定食680円で、ごはん味噌汁お代わり自由、卵や漬物も食べ放題だった。
カウンターに座ったお兄ちゃんが「まんが日本昔ばなし」並みの山盛りごはんを2杯お代わりしていたり、部活後の飢えた男子高校生たちが御櫃をカラにしたり、コストパフォーマンスで言えば最高の部類に入る店だった。私はごはん1杯、利光さんは頑張って2杯食べた。このまま縁側で寝たくなりますね。
看板猫ちゃんがいた。
食後、慌ててパレード会場へ。ちょうどパレードが盛り上がっているところでした。レインボー岡山さんを先頭に、町民が手作りの仮面をつけて龍のお神輿を担いで練り歩いていた。
今まで観てきたどの芸術祭よりも小規模で手作り感に溢れていたけれど、どの地域にも負けないくらい面白くてあったかかった。
メイン会場の古民家や酒蔵も面白かったな。
日本最古の石造り沈下橋。川が増水したとき、水没する橋らしい。「龍頭橋」と呼ばれていた。さっきのパレードにも龍が出てきたので、きっと龍にまつわる民話があるんだろう。
川に降りて観察するのも楽しい。
足を延ばして豊後高田へ。昭和レトロな街並みの残る商店街は、色々な映画やドラマのロケ地としても有名。
むむっ、あっちの路地が気になる!と奥に進むと酒場があった。現在の町の規模からは想像できないくらい多くのスナックがありました。
唐揚げ食べ放題500円は安すぎだろう。山香町の「肉まる」といい、どうなっているんだ。
お好み焼き、今でも350円で食べられるのかな。
ナイトセンターは閉業していて廃墟になっていました。
「ドラえもん」でしか見たことがない「空き地に土管」というシミュレーションに思わずニンマリ。
リアル街並みが迫力あって満足してしまったので、観光施設「昭和ロマン蔵」はさらりと。
昔の校舎などが残されていました。豊後高田、今では移住促進頑張っているらしく、住みたい田舎ランキング10年連続ベスト3を記録しているそうだ。無償や格安で住居を提供したり、職を斡旋したり。チームラボのミュージアムもいくつか出来ていて驚いた。
帰りの飛行機の時間が近づいてきた。大分空港まで送ってくれる利光さんに最後のワガママ「ラスト温泉行きたい」と伝え、連れてきてもらいました。
国東温泉「スパランド真玉」は宿泊も可能で、立ち寄り湯400円でした。あったまったー!
お風呂上りにはすっかり日が暮れて、灯りの乏しい山道を通って空港に向かう道すがら、今日来たルートを復習しながら大分県(国東半島)の広さを実感しました。あんだけ車で走ったのに、ここまでしか行けていない。ここから先は行ったことがない。未知のエリアに思いを馳せ、来年はいつ来ようかなと計画を立てるのでした。ほんと、1か月くらい移住したいですねぇ。